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悪役令嬢の弟  作者: ミイ
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返事

次の時間は現代でいうHRの様なものが行われた。


「では、来月行われる新入生歓迎会について話し合いを始めます。」


ヒロインの声で会議が始まる。


実はこの前の顔合わせの時、この新入生歓迎会についての話し合いが行われていた。


この新入生歓迎会は各学年が2人組となり3学年…合計6人で1グループとなる。更にその2人組というのもランダムで決められ、前日にならないと教えてもらえない。それは上級生に関しても同じで当日にならないと誰とグループになったのか分からない仕様になっている。


僕はこの話を聞いた時、嫌な予感がした。


「(確かヒロインは必然的に攻略対象とペアで他の上級生も攻略対象だったはず…。)」


僕はヒロインとペアになれなかったのはある意味、残念だったが、少しの間離れることが出来て安堵していた。


「(いくら監視しないといけないといっても四六時中は辛い…。そういえば…同じ1年生の攻略対象って見たことないな…。)」


僕は姉さんに言われていた同級生の特徴を思い浮かべる。


隣のクラスで確か美術部に所属している金髪碧目の可愛い系の男の子。15歳には見えない幼い顔にぷくっとしたピンクのほっぺ、女性の庇護欲を唆る容姿をしている。しかし、その正体はTHE・ツンデレである。


会長もツンデレだが、こちらは典型的なツンデレで、照れ隠しに「~してやってもいいんだぞ!」とか言ってしまうタイプだ。姉さんはこういうツンデレはあまり好きではないらしくほとんど相手にはしてなかった。


僕としてもあまりお近付きになりたくないのだが、そうも言ってられないだろう。


「(いつかは関わるんだろうな…。)」と思いながら淡々と会議を進めていく。


僕はえらくご機嫌なヒロインを余所に来月行われる行事に不安を覚えながら会議を終えた。







帰りの馬車の中を重苦しい空気が埋め尽くす。僕が搭乗した時からこの雰囲気だ。


イモーテルは緊張した面持ちで「おかえりなさいませ。」と出迎えてくれたが、その表情はやはり晴れない。


僕は朝、自分で言ったことをすっかり忘れていた為、イモーテルの顔を見てアッと思い出した。


僕はイモーテルから話し始めるのを根気強く待っていたが、一向に口を開く気配はない。急がないともうそろそろ家に着いてしまう。僕は痺れを切らして「イモーテル…?」と声を掛けた。


するとイモーテルは意を決した様に「トルー様!私はトルー様をお慕いしております!」と叫ぶ。


「あっ…「しかし!トルー様を私のモノに出来ないのも分かっております…こんなに魅力的なトルー様が他の方から好かれないはずありません…!それに比べて私ときたら一介の従者のくせに主人に恋い焦がれるなどおこがましい…私は従者失格です…どうぞトルー様の思うがまま処分なさって下さい!」


と何故か辞めるところまで言い出した。


僕は「ちょっと!」と話を遮り「なんでイモーテルが辞めるところまで話がいってるの!?」と驚く。


「僕はイモーテルが辞めたいって言うまで側にいてもらう気でいるよ!?」


「でっ…ですが…!」


「…そりゃあイモーテルの気持ちを僕が今すぐ受け入れるかって言ったら難しいよ…だって今までそういう目で見たことないんだから…。ただイモーテルが僕の側にいるのが辛いって言うなら僕は止められない…自分でも勝手なことを言ってるのは分かってるけど、僕は物心ついた時からイモーテルが側にいて、沢山励ましてくれたことに感謝してる。だから、そのイモーテルが居なくなるのは正直凄く寂しい…。」


「トルー様…!」


「それにこのチューリップをくれた人だって僕の返事を急かしている人ではないんだ。だから、もうちょっと僕に余裕が出来たら返事をしようと思ってる…。その時期は多分、来年の夏以降…だから僕がイモーテルの気持ちをキチンと返せるのは同じ時期だよ。それまでは僕、誰とも恋愛する気はないし、出来ないと思う。それでもイモーテルが僕の返事を待ちきれずに側にいるのが辛くなったら教えて?その時は哀しいけど…お別れだ…。」


僕は自分の思っている気持ちを素直に告げた。


イモーテルは少し考えた後「わかりました、しかし私はトルー様に辞めろと言われるまで側にいます。」と答える。


僕はその健気な気持ちに「ゴメンね。」と謝るとイモーテルに手を貸してもらいながら馬車を降りた。

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