ブルーマリーの暴走
僕は嫌な予感を感じつつも「そうなんですね。」と返しておいた。
僕は授業を受けながらマリタイムの"昔から心に決めた人がいる"という情報について考える。
「(…いくら考えてもそうとしか考えられない…あの発言はきっとそうだ…でも僕、何をやらかしたか全く覚えてない…マリタイムに聞こうにも変に接触したくないし…。)」
と考えていると、ふと机をコンコンッと叩かれる。
パッと見上げるとブルーマリーが立っていた。僕がボケっと見つめると「次、移動教室よ。」と教えてくれる。
なんと僕はあれから1時間ほど現実逃避してたらしい。
僕は慌てて立ち上がると「ありがとう!姉様!」と言って教室を出て行った。
僕はブルーマリーのおかげでなんとか授業に遅れることもなく、終えることができた。
しかし、事件は僕が教室に戻った時に起こる。
僕は授業後、着替えを済ませ、教室までの道のりを歩いていた。そして教室の入り口が見えたところで中からブルーマリーの怒鳴り声を聞く。
「私は知っているのですよ!?貴方、授業後にルート様に何か贈り物をしていたでしょう!?」
その声に僕は何人かの野次馬を押し退けて中を覗く。するとヒロインに怒鳴り込んでいるブルーマリーの姿を見つけた。
ヒロインはブルーマリーに怒鳴られ「そっ…そんな…!誤解です!」と涙交じりに釈明している。
しかしブルーマリーは聞く耳を持たない。
「誤解ですって!?貴方がルート様に何かを渡してるのを私、この目で見ましたの!ルート様には私という婚約者がいるのですよ!貴方、婚約者がいる方に何か贈り物をするなど貴族社会ではしてはいけないことだとご存知ないの!…場合によっては貴方を処分します!」
確かに…公爵家であるブルーマリーと男爵家であるヒロインとでは階級が全然違う。ブルーマリーが権力を振りかざせば今ならヒロインは退学させられるだろう。
暫く様子を見ていた僕はふと周りの生徒から「この事態を止めてくれ!」という視線を浴びていることに気付く。
まぁ僕としてもなんとか穏便にコトを進ませたいのは事実なので、ゆっくり2人の間に割って入った。
「姉様、その辺でお止め下さい。」
ヒロインは驚いた表情で僕の方を見る。
「退きなさい、トルー。その者に貴族のルールをキチンと教えなければなりません。」
「…お気持ちは分かりますが、ルート様に確認してからでも遅くはないかと。本日はルート様もまだ授業が残っている為、学校にいらっしゃいます。もし彼女がルート様に気に入られるために贈り物をしてたのなら処分を考えてもよろしいとは思いますが、誤解であったなら、彼女に失礼ではありませんか?」
「でっ…でも…「それで誤解だった場合、ルート様がお怒りになることを想定していますか?」
と僕が詰めるとブルーマリーも押し黙る。
「僕が代わりにルート様に確認して参ります。…皆様、お騒がせ致しました。もうすぐ授業も始まりますので席に着いて下さい。」
と僕は告げるとコトの成り行きを見ていた次の担当の先生に「行っても宜しいですか?」と許可を取る。
先生は無言でブンブンッと首を縦に振り了承を得られた。




