問題
僕は走りながら先程の出来事を整理できる場所を探す。
「(教室?いや、あそこじゃ無理だ…!中庭!?中庭なんて無い!温室!?温室は普段、鍵が掛かってる!)」
いつもより焦っているせいか、なかなか良い場所が思い浮かばない。
「(あっ!図書館!図書館なら昼休みでも開いてるはず!)」
やっと答えの出た僕は図書館へと走る。
図書館の扉を開けると、まだ昼休みに差し掛かっていない為、無人だった。
「(助かった!)」
僕はなるべく人目につかない奥の席に座り、呼吸を整える。
「ハァ…ハァ…ハァ…。
(なんで…なんであの人があんなセリフを…!?前から怪しいとは思ってたけど、あんな展開ゲームには無かったはず…!前にぶつかった時の嫌な予感はこの事だったのか!?いや、とにかく落ち着こう…スコッチ・マリタイム…スコッチ・マリタイム…何か、何か姉さんは言ってなかったのかな…!?隠れルートでさえ、この人の名前は出てなかったはず…!う~!思い出せ!何か関係があるはずだ!)」
僕は一生懸命、姉さんが言っていたことを思い出そうとしたが一向に思い出せない。
「(じゃあ僕がトルーとして生きてきて何か関わりがあった…?僕…ブルーマリーにくっ付いてたから誰と関わったとか殆ど覚えてない…正直ブルーマリーしか見えてなかった…!どっ…どうしよう…。マリタイムにあんなセリフを言わせるぐらい僕は何かをしてしまったんだ…!)」
結局、僕は結論の出ないまま午後の始業のチャイムによって慌てて教室に戻ることになる。
そして案の定、僕は午後の授業に全く身が入らず、上の空のところを先生に注意されてしまった。
帰りの馬車の中、相変わらず僕とイモーテルの間には微妙な空気が流れていたが、正直僕はそれどころじゃない。
先日、ランドモスの一件があり、改めて僕はブルーマリーのことを解決してから自分の為に生きると決めた。それなのにこうも周りで色んなことが起きると頭の中で整理出来なくなってしまう。
「(ランドモスのことに関しては何とか解決出来たとして、会長の行動も謎だし、オール様のことがあってからイモーテルの様子も変だし、よく分からない上に次はマリタイム…?あっ!後はサンバックの反応もだな…。とにかく今日、サンバックにイモーテルのことを聞けるからそこは解決出来るとして、問題はマリタイムだ…!どうしよう…どことなくサンバックに聞いてみる…?)」
僕はグルグルと考えを巡らせながら帰路に着いた。
夕食後、僕の部屋にサンバックが訪ねてきた。
僕はサンバックが後ろ手に何か隠しているのに気付いていたが、敢えて何も聞かなかった。
「トルー、イモーテルがあんな態度をとる理由はわかったか?」
「…ううん、昨日と今日と一日考えたけど結局分からなかったよ。」
「…そうか、じゃあそんな鈍感なお前にはコレをやろう。」
そう言ったサンバックが取り出したモノは3本のバラだった。
「…バラ…?それも3本?」
僕はよく分からないままそれを受け取る。
「兄様、どうしたの急に?」
「…なぁ、トルー。花言葉って知ってるか?」
「花言葉…?そりゃあ、あることは知ってるよ。」
「じゃあバラの花言葉は?」
「えぇ?ハッキリとは分からない…けど、バラって好きな人に告白する時に渡すものじゃないの?」
「ああ、そうだ。流石に鈍いトルーでもそれは分かったみたいだな。いいか、お前がオールに貰ったチューリップはな、色別で花言葉がある。その中でも赤とピンクの花言葉は"愛の告白"、"愛の芽生え"、"誠実な愛"だ。要はお前はオールに遠回しに告白されたってことだ。」
「えっ…えぇ!?」
僕は余りにも驚いて叫んでしまう。
「えっ…そうだったの!?僕、全然気付かなくて"ありがとうございます"とか言っちゃった!」
「…まぁ、そんな焦らなくてもいい、オールはお前の様子を見て、きっと気付いてないことは予想できているはずだ…それとイモーテルのことだが…。」
とサンバックが言いかける。
「あっ…えっ…じゃあ僕がオール様に告白されてイモーテルが嫉妬したってこと?」
「ああ、やっと気付いたか。」
僕は自分での言うのも恥ずかしいがイモーテルにはやたらと好かれている自信はある。なので、そのヒントで答えに辿り着いた。
「イモーテルはチューリップの花言葉に気付いたんだね。」
「そういうことだな。しかし、トルー…気を抜くのはまだ早いぞ。」
「…?」
「俺がさっき渡したバラ3本の意味はわかるか?」
「ううん?」
「…"お前を愛している"だ。」




