意外と…？
しかし、そんなことを告げても信じてもらえない為、僕は口を紡ぐ。
「僕はね、ありきたりな反応に飽き飽きしていたんだ。そんな中でトルーみたいにあからさまに嫌がられた態度を取られると落としてみたくなるのが男の性ってもんだよね？」
とランドモスは怪しく微笑む。
「(えっ…ちょっと待って…！ランドモスってナルシストキャラだよね？なんで、ドSっぽくなってるの？シナリオとは別のことが行われるとゲームのキャラってこんなに変わるもの…？)」
と僕はランドモスの変化について行けずにいた。
「トルー…君が僕の気持ちにすぐに応えれないことはわかってる。でも、僕が君を好きでいることは自由だ。君に迷惑はかけたくないとは思ってるけど、好き故に起こしてしまう行動は許して欲しい…。」
僕はそんなセリフを言うランドモスを不本意ながら男らしいと感じてしまう。
「(いや、あくまで同性としてね！)」
「…ランドモス様…僕は正直、今のところ恋愛する気はありません。それは僕にある目的があるからです。それを遂げるまでは僕に自由はありません。申し訳ありませんが、変に期待させて待たせてもダメですし、お断りさせて下さい。」
と僕は頭を下げた。
するとランドモスは「はぁ～…。」と溜息を吐くと「その目的って達成するまでに時間がかかるもの？」と聞いてくる。
「…少なくともランドモス様が在学中には達成出来ません。」
ランドモスは今3年生だ。だから、来年の夏休み明けにあのイベントが行われるとしたらランドモスはあの場にはいない。
余談だが、ヒロインの攻略対象である会長やランドモスは3年生の為、この2人を攻略するには他の人に比べて好感度を上げる期間が少ない。よって、割りとハッピーエンドを迎えるには難しい対象である。
その中でも会長はツンデレ属性ということで最初はヒロインに素っ気ない。相当頑張って生徒会の手伝いをしながら会長に近付かないといけないらしい。
姉さんは攻略本やネットでヒントを見ない派だったが、会長だけはハッピーエンドを迎える為に渋々ネットで攻略法を検索していた。
ヒロインが昨日やらかしているのを見た時「(…僕はその攻略法を知ってるからやろうと思えば会長を攻略出来るけど、僕が攻略したところでどうしようもないしね。)」と思っていた。
ランドモスは既に届いていた料理を僕に勧めると「そっか…。」と呟いた。
「トルー…正直に言ってもらえて嬉しいよ。そうハッキリ言われると僕も潔く諦められる…かな。でも君がこの学校にいる間だけでもいい、たまにはこうやって僕と食事をしてくれないかい？」
ランドモスは哀しげな笑みでこちらを伺ってくる。
僕はランドモスのその返事に快く頷いた。
