僕の告白
「(ふぅ~…ここまで来れば安心かな?あの人、攻略対象じゃないから、どんな人か分からなくて怖いんだよね~。攻略対象だったらある程度どんな人か姉さんに聞いてたから構えれるけど、何も知らない人だと1から関係を作らないといけないし…。僕が親しい友達を作るのは自分の没落ルートが回避できてからにしよーと。)」
と僕は思いながら図書館へ辿り着く。
図書館内に入ると案の定、オール様が図書館の受付をしていた。
「オール様、お疲れ様です。」と近付くと「あっ…ああ、トルー君、こんにちは。」と若干疲れているように見えた。
心配になり聞いてみると原因はヒロインだと言う。
「昨日、授業でペアになった子にお世話になったからと1度お茶に誘われたんだ…。でも僕は先輩として当たり前のことをしただけだから断ったんだけど…今日はやたらと身体を密着させてきてね、流石にちょっと引いたよ…。」
と告げる。
「(ヒロインー…!積極的の意味がちょっと違うから!この人限定の攻略方法で積極的にいかないと意味ないじゃん!)
そっ…そうなんですか…それは災難でしたね…。ちなみにオール様のペアの相手のお名前は?」
「ニア・バイオレットさんだよ。」
「(知ってるけど知らないフリしとこう…。)
…僕の席の隣の女性ですね…ちなみに今日彼女はクラスの委員長に、僕は副委員長になりました。」
「えっ!?そうなんだ…。じゃあ今後その子には委員会とかで会うんだ…でもトルー君に会えるのは嬉しいな。」
「本当ですか?そう言って頂けて僕も嬉しいです。」
と僕達の間にほのぼのとした空気が流れる。
その時、僕はオール様に渡すクッキーのことを思い出した。
「あっ、オール様。僕、オール様にお渡ししたい物があるんです。でもここではお渡しできないので、オール様の係が終わるのを待ってお渡ししますね。その時、また声をかけて頂いても宜しいですか?」
「うん、わかった。もう少し待っててね?」
僕達はそう会話するとオール様は仕事を再開し、僕は適当に本を探し始めた。
「(歴史書も捨てがたいけど、やっぱりここはファンタジー小説を読もう。)」
僕は目に付いた小説を何冊か取り、席に座る。
どれくらいそうしていただろう…。僕は本に夢中でオール様に声を掛けられるまで集中してその本を読んでいた。
「ホントにいいの、あの本?」
「はい、大丈夫です。また行った時に読みますので。」
結局、僕は先程の読みかけの本を借りずに置いてきた。
「でも、途中だったんでしょう?」
「はい、でもまたオール様に会いにいきますので、その時に読めたら十分です。」
と僕が言うとオール様は目を丸くする。
「…えっ…そんなに僕に会いに来てくれるの?」
「そりゃあ勿論、僕はオール様のことが好きですからね。」と告げる。
「えぇっ!?」とオール様は顔を真っ赤にして僕を凝視した。
「あの…それってどういう…意味?」
オール様が恥ずかしそうにモジモジしている。
僕は笑顔で「…だって、オール様は僕にとって唯一、趣味を共有できる大切な友達ですから。」と伝えると何故かガッカリされた。




