説得
暫くして落ち着いたイモーテルは「私より…。」と話し始める。
「…私はある程度覚悟はしていましたが、マリタイム様とオール様のお二人が心配です…。お二人の説得はスムーズにいくのでしょうか…?」
彼の言葉に「あぁ…そうだった…。」と思い出す。
「そう…だね。不安しかないけどどうにかするよ…。」
僕は不安しかない未来に溜息を吐いた。
まず僕が動いたのは二人に手紙を書くことだった。
イモーテルの予想通り二人に手紙が届く頃、二人が屋敷に押しかけて来る。
「どういうこと⁉︎トルー君!」
「何故ですか⁉︎トルー様!」
僕は二人に落ち着いてもらい、順番に説明する。最後まで話を聞いた二人は「重婚は⁉︎重婚は出来ないの⁉︎」と告げる。しかし、この国は重婚が許されていない。それを説明しても二人は引き下がらず「重婚が出来る国に行こう!」と言ってきた。
流石にそれは出来ないと再び説得すると漸く諦めたようにガックリと項垂れた。
「申し訳ありません…勝手に決めてしまって。言い訳もありません。」
そう頭を下げると二人に謝られる。
「あっいや、こっちこそゴメンね…トルー君の気持ちも考えずに自分の気持ちを押し付けてしまって…。」
「私も残念ですが…そこまで話が進んでるのなら諦めるしかありません…。」
コールだけは半泣きである。分かっていたことだが罪悪感が半端ない。気まずい雰囲気が流れる中、コンコンッというノックと共にサンバックが入ってきた。
「話しは済んだのか?」
「うん、今ちょうど終わったところだよ。」
僕は助かった…と思い微笑む。
サンバックはスッと二人の前に立つと「二人共すまない、先々決めてしまって…。各々がトルーを想っているのは知っていたがトルーの気持ちを知った後、早くどうにかしなくてはという気持ちが優ってしまった。」と頭を下げる。
するとオール様が慌てて「いいえ!僕達もサンバック様の同じ立場なら同等のことをしていたはずです!」とフォローする。さらにコールまで「トルー様…お幸せに…。」と泣き出してしまった。
僕はコールの様子におろおろしてしまったが、サンバックは「…そう言ってもらえたらありがたいが…。」と気恥ずかしげに視線をさ迷わせている。
僕はこの雰囲気にホッとしつつ、これでなんとか結婚について報告が出来たかな、とコールを慰めたのだった。