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悪役令嬢の弟  作者: ミイ
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壁画

僕とルート様の会話が落ち着いた頃「トルー、実はルート様の元に来たのは結婚の報告以外にも目的があるんだ。」とサンバックが僕達の会話に入ってきた。


「どういうこと?」


「その説明は私からしよう。トルー、君は前世でもあり別世界の記憶があると言ったね?それによって、もしかしたらバイオレットの残した壁画の意味も分かるかもしれないと。前からサンバックから壁画を見せて欲しいと頼まれていたが、許可が下りるまで少し時間がかかってしまった。それで今日は君にバイオレットの壁画を見てもらおうと思っている、急なことだけど大丈夫?」


流石に驚いたが、せっかくの機会を逃すわけにはいかない。


「はい!是非、お願いします!」


僕はそう勢いよく返事をするとルート様に着いていった。






それからルート様の案内の元、バイオレットが投獄されていた場所へと辿り着いた。そこは罪人の中でも大罪を犯した者や異常に魔力が高い者だけが入れられる地下牢らしい。


「コッチだ。」


地下へと続く階段をサンバックに手を引かれながら歩いていく。


「彼女はココにいたそうだ。」


彼女が居たという牢屋をランプで照らしてもらう。


そこには今はもう使われていないランプが机の上に置いてあり、地面は石畳。そして簡易なベッドが用意してあるだけ。


「(今までの彼女だったら想像できない生活だろうな…。)」


そんなことを思いながらライトを壁に向ける。そこには事前の話通り男女の絵姿とやはり日本語が描かれていた。


まず僕は日本語に目を向ける。彼女が亡くなって1年以上経っているせいか、所々消えているところがあるが、なんとか前後の内容から予想出来る。




この世界で私はヒロイン

そう思ってた


誰も私のことを見てくれない

現実世界でも必要とされない


なんで誰も私の言うことを聞いてくれないの


誰が悪いの

私が悪いの


どうしていつも私だけ


この世界は私を受け入れてくれない

ならこの世界に意味はない


さようなら

次生まれ変わるなら

きっとヒロインに






大きく描かれているのはこの文章だけだ。次に絵姿を見る。その絵はおそらくヒロインであるバイオレットと幸せそうに並ぶ男性の姿だ。


あの文章を見る限り、きっとヒロインは現実世界でも誰にも必要とされない悲しみをゲームを使ってハーレムエンドをすることで誰かに必要とされたかったのだろう。そこでゲームの世界だと思われるこの世界にトリップしてきた。そこでヒロインは本当に自分を必要としてもらうために奔走した。


しかし…。


僕だけがその意味を分かってしまい、哀しくなる。僕の様子が変なことに気付いたサンバックが背後から「どうした?」と声を掛けてくる。


「兄様…。」


僕は思わず彼に抱き着いた。

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