認識
それから数日、ペリドット様のことはバレずに過ごすことが出来た。そしてまたセイロンから手紙が届く、次も令嬢だと。
「(今日はどんな人かな~。)」
僕は1人目がかなり良い人だった為、気を抜いていた。それを僕は後々、後悔することになる。
「まぁなんて素敵な方なの!貴方は私に相応しい方だわ!」
そんな台詞と共に今回現れた令嬢はピンクのドレスを着用し従者に日傘を差してもらいながら颯爽と現れた。
「あっ…初めて、トルーと申します。アジュル・マラカイト様でしょうか?」
「ええ、貴方には特別にアズと呼ばせて差し上げますわ。」
「ああ、はい…ありがとうございます。」
その後、彼女と話した結果分かったことは彼女はこちらの都合もお構いなしにグイグイ来る超肉食系女子だということだ。もちろん従者の手前、あからさまなお誘いは無かったが、こんな僕にも「貴方のことが気に入ったから直ぐにでも親密な関係になりたいわ。」と誘って来る程だ。良い風に言えば情熱的、悪く言えば自己中心的。こちらの爵位に拘らないという点でいえば、とても良い相手なのだが余りにもグイグイ来られると僕としては引いてしまう。結局、僕はこの話をお断りし次の方に期待することにした。
それから更に数日後、ある事件が起こった。
ついこの間、友人となったペリドット様からサンバックを紹介してくれ、という手紙が届いたのだ。
彼女のことだから僕がこれを断ったとしても友人関係になんの影響もないだろう。それにサンバックの気持ちを知りながら彼女を紹介することは僕には出来ない。
そこでふと思う。
「(僕…サンバックのこと盗られたくないのかな…。)」
普通なら僕の気持ちはまだサンバックにはないはずだから紹介しても何の問題もない。しかし彼女に紹介するとなるとなかなか踏ん切りがつかないのだ。
「ゔ~ん…。」
僕は悩みながらサンバックのことを考えた。
じゃあこれが、イモーテルなら?オール様、コールならどうだろう?
そこで自分の気持ちに気付く。
僕の隣にいて欲しい心から愛する人のことを。