自己紹介2
それから僕は「どうぞ。」と席を勧め、彼女に座ってもらう。
「あの…突然の申し出にも関わらず足を運んで頂いてありがとうございます。」
「いや、私にも色々と事情があってだな…結婚を急がされてるんだ。」
「…といいますと?」
「私の年齢を知っているだろう?22歳という年齢はもう行き遅れと言われても仕方のない年齢なんだ。だから両親から早く嫁に行けと煩く言われていて…。」
なるほど…お互いの利害が一致したというわけか。
「そこでだ、もしトルー君がこのまま私とのことを真剣に考えてくれるなら結婚を前提に考えて欲しい。ただ、正直言うと私は嫁という立場には向いていない、麗しい令嬢の様に大人しく家で待っているなど出来ない性分なんだ、それでも良ければだが。」
彼女の服装、話し方、佇まいを見ればよく分かる。
「そうなんですね、分かりました。正直に仰って下さって嬉しいです。僕もペリドット様からすれば頼り無く見えるかもしれませんが、先ずはお互いのことを話していきませんか?」
僕がそう提案すると彼女はニコッと微笑む。
「そうだな…。まず私から幾つか質問させてもらってもいいだろうか?」
「はい。」
「私が1番懸念しているのは相手が年上でも気にしないかということと結婚相手が外で働いて家事をあまりしなくてもいいかどうかということだ。」
「僕は年齢に関しては気にしません。まぁ自分の両親より年上だったら少し気にしますけど。あと結婚相手の条件ですが、危険の伴わない仕事ならやって頂いても構いませんし家事なら僕がしてもいいです。ペリドット様の服装からして兵士か何かのお仕事をされているんですか?」
そう言うと彼女は自分の服装をチラッと見る。
「ああ、騎士団に所属している。時と場合によっては女性しか建物内に入れない場合もあるからな。元々、私は他の令嬢がするような裁縫や習い事など昔から嫌で殆どしてこなかった。10歳を過ぎてからは騎士団の入団試験を受け、合格してから騎士団の寮に入っている。」
「なるほど…そのお話で納得しました、きっとそうなんだろうとは思ってましたが…。あの…失礼ですがペリドット様の様な方は僕みたいな者より騎士団に所属している逞しい体格の方を好まれるのではないですか?」
きっとペリドット様は僕の様なひ弱な奴はタイプじゃないだろう。すると彼女は困った顔をして口を開いた。
「…まぁ本音で言うとそうだな…。私がこんな風だから出来れば自分より体格が大きい人を好む。しかし、それだけじゃ恋愛は出来ないのは分かっているし、この際そんなことは言ってられない。」
「…ちなみに理想の方とかいらっしゃるんですか?」
彼女はウーンと考えると「そうだな…遠くから数度、拝見したことしかないが私の理想といえばルート様の護衛をされているサンバック様だろうか…。」と呟いた。