表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の弟  作者: ミイ
103/148

反省

「うっ…うっ…。」


僕はここで泣くのは余計に彼を心配させてしまうと懸命に涙を止めようとしたが、色んな感情が駆け巡り止められない。


「トッ…トルー…。」


サンバックは目に見えて狼狽していた。自分が泣かせた手前、手を伸ばしていいか迷っているようだ。


「にっ…にいさま…ごめ…んなさい…。僕…みんなに…心配…かけてた、でも…それに気付いてもなかった…。本当にごめん…なさい。」


僕は頭を下げて謝る。


「いや…俺も言いすぎた…すまない…。」


「…ううん。にい…さまは謝らないで…僕…が悪いんだ。彼女を優先しすぎて周りが見えてなかった…。これからは兄様の許しが出るまで彼女に近付かないようにする…。」


僕はそう言うと彼に向かって安心させるように微笑んだ。きっと泣いて不細工な笑顔になってたと思うが。しかし、サンバックはいきなり僕を抱き締めると「トルー、俺がお前を護ってやる。だから安心しろ。」と告げた。








それから1ヶ月ー。


結果としてはヒロインは謹慎処分を受けた。


最初に出された期間は1ヶ月。しかし、その1ヶ月は彼女の反省の度合いで期間が延ばされるという未だかつてない処置だった。何故なら彼女は窃盗という前科がある、更に謹慎処分を告げられた時の彼女の反応は反省ではなく激怒だった。


"私は悪くない"の一点張りで先生やルート様も呆れ返り学校長と相談した結果、この処分がなされた。


僕は兄様の言いつけ通り彼女とは関わっていない。元々、僕が彼女を追いかけ回していたようなものなので自然とその距離が離れるのも頷ける。僕は彼女が謹慎処分を受けたと聞かされた時、どこかホッとしていた。中には彼女の退学を希望する人もいたそうだが、僕としては彼女はルート様を助ける重要人物なので彼女が学校を去らないことに安堵していた。


「(これでとりあえず一安心なのかな…。)」


彼女がいつ戻ってくるかは分からない。しかし来年には戻ってきて欲しいのが僕の本音だ。僕は空席になった隣を見ながら度々、そんなことを考える。






この1ヶ月の出来事といえばこれといってなんの変化もない。ブルーマリーもヒロインと対立することがほとんどだったので、その相手がいないということは怒る理由もない。ある意味、穏やかに日々を過ごしている。僕といえばもうすぐ期末テストが行われるのでそれの勉強をしているくらいだ。


ついこの間、中間テストをしたばかりなのにもう期末なんて…。何故かこの1ヶ月が穏やか過ぎて嫌な予感がする…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ