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植物人間と理系女子(1)  作者: 夏みかん
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はじまり


初めて書く小説です。

植物人間と女子大生、そして理系男子との恋愛モノです。

たくさんの人に読んで頂けたら嬉しいです(*^^*)

朝8時。

いつも通りの時間に、大学の研究室に辿り着く。授業が始まるのは9時からなので、この時間の大学構内はまだ学生も少なく閑散としている。


研究室のドアを開け、中に入ると、白衣を着たまま自分の机に突っ伏して寝ている先輩がいた。きっと、昨日の夜中まで1階の実験室で実験をしていて、研究室に上がってきてレポートを書いていたところ、寝落ちしたのだろう。

先輩を起こさぬよう、電気は点けずに自分の机にリュックを置き中に入っていた白衣を着ると、植物の水やり用のジョウロと、肥料と記録用紙を取って、静かに研究室を出た。

地上2階にある比較的明るい研究室から、1階にある実験室を通り過ぎ、地下にある薄暗い植物栽培室に向かう。


階段を降りてすぐのところに、透明なオートロック式ドアと、その手前に水道がある。

水道でジョウロに水を入れ、暗証番号を入力すると、ウィーンという音をたててドアが自動で開いた。


中に入ると、ほんのりと暖かく感じる。

植物が育ちやすいように、適切な温度と湿度が機械によって保たれているのだ。

薄暗い室内では、人工の青白い光が青々とした植物たちを照らしている。

トマトとポテトを合体させたポマトや、あらゆる害虫を食べてくれる食虫植物、世にも珍しい虹色のバラなど、研究によって生み出された珍しい植物たちが並ぶ中、1番奥の厳重に守られたガラスケースの中にそいつはいる。


「よお、実」

いつも通り、そいつは私に挨拶した。

「お腹がぺこぺこだ、早く水と肥料をくれよ」

こいつは、私が実験ミスで生み出してしまった、植物人間だ。

パッと見は普通の植物だ。

土からは緑色の茎が伸び、葉っぱもあり、小さな紫陽花のような薄紫色の花が咲いている。しかし、その花の下には茎と同じ緑色の顔がある。目もあるし口もあるのだ。

「はいはい、今あげますよ」

「ところでお前、いつまでそんな地味な格好してんだ?華の女子大生だろ?メガネ外してコンタクトにするとかさあ、あと髪型も、他の女の子みたいに茶髪にしたりパーマかけたらどうだ?あと洋服も…」

「あ〜もう、うるさい!!水あげないよ!」

「わーっ、わーってごめんて!水くれないと死んじゃう、俺死んじゃう!!」

両手…というより、両茎?両葉?をブンブン振り回して、水を懇願する植物人間。

「分かったから、静かにして、うるさい」

指紋認証システムに親指をかざすと、五角形のガラスケースの一番手前の面が、パカっと開く。そして、ジョウロで体全体に水をかけてやった。

「ふぃー!朝の水浴びは最高だ〜」

次に、肥料を土にまく…のではなく、口に運んで食べさせてやる。

「うん、美味い!ところで実、俺に構うのもいいけど、そろそろ彼氏作れよ!もう6月だろ?7月に入ったら夏だろ?夏は恋の季節…」

「えっと、温度も湿度も光量も異常なし…っと、土の酸性度も上がってないし、花と葉の色もまだ綺麗な緑色ね…」

「またお前は、俺の話を無視する」

「植物に恋の話なんてしてもしょうがないでしょ」

「え〜、俺は早く実の恋バナが聞きたい」

「うん、必要なことはもうチェックし終えたから、もう行くね。また放課後来るから」

「おい、まだ授業まで時間あるんだろ?もっと話していけよ!」

「ごめん、予習あるから」

「真面目ちゃんだなあ」

小言を言いながらも、植物人間は葉っぱを揺らして見送ってくれる。

私も、本当は彼にもっと色んな話をしてやりたい。今日は友達とインスタ映えするカフェに行った、とか、彼氏と水族館に行ってぬいぐるみを買ってもらった、とか。

でも、出来ない。

私は、彼氏どころか、友人が1人もいないのだ。

彼が、あの植物人間が、私の唯一の友達だった。






読んでくださりありがとうございます。

数回に分けて連載しますので、続きが気になった方は是非読んでください(^^)

まだまだ未熟者ですが、頑張ります!!

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