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掌編小説集

掌編小説 其之弐

作者: Bibliophiles


目の前に階段があった。


深い緑色。


奥の方は、ほぼ黒色だ。


踊り場がずっと下の方で、微かに見えた。


周りを見渡すと、何処か見覚えのある場所。


灯りはない。


はて、何処だったろうか


何をするでもなく、ただ、階段を見下ろしていた。


どれくらいの時間が経っただろうか。


不意に、誰かに背中を押された。


浮遊感


頭からまっ逆さまに落ちてゆく。


風が顔をすり抜ける。


耳がビューと、鳴った。


踊り場にぶつかる、後、五センチ。


視界が暗転した。

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