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エッセイ

こんにちわ

作者: 榛李梓

 こんにちわ。榛李梓と申します。この度はこちらのページを開いていただき、ありがとうございます。


 上の文を読んでモヤモヤした気持ちになった方も多いのではないでしょうか。タイトルで既に嫌になって、開きもしないという人もいたことでしょう。

 この「こんにちわ」という表記、たまに見かけます。

 絶対に許せないという人、逆によく使うよ、という人、自分は使わないけど他人が使っていても気にしないという人、様々だと思います。


 言うまでも無く、現代仮名遣いでは「こんにちは」が正しく、「こんにちわ」は誤りとなっています。私は当たり前だと思っていたのですが、 Yahoo!知恵袋に「どちらが正しいか」などという質問があって驚きました。何故そんな疑問が生じるのか不思議でなりません。


 この「こんにちわ」を撲滅したいという人達もいるようです。

 一方で、私が以前教わっていた日本語学の教授は「こんにちわ」は別にいいんじゃないかと仰っていました。曰く、元々「こんにちは」は「今日(こんにち)は、ご機嫌いかがですか?」や「今日(こんにち)は、いいお天気ですね」といった文を省略したものだが、現代ではそういった本来の意味はほぼ失われている。それならば発音と表記を合致させても問題無いのでは、とのことでした。

 確かに理に適っているのですが、私はやっぱりあくまでも「こんにちは」が正しいものであってほしいと思います。何故かと言われると、「こんにちわ」では落ち着かないからとか、慣れの問題かもしれないので強くは言えませんが……。


 なお、私は「こんにちは」派ですが、「こんにちわ」について完全に否定しているわけではありません。そういう表現があってもいいと思っています。

 「こんにちわ」には「こんにちは」では表せないニュアンスがあるからです。

 小説の登場人物が「こんにちわ」と話した時、その人物に対してどういう印象を持つでしょうか。若い、幼い、ノリが軽い、胡散臭い、等々、様々なイメージが浮かぶかと思います。ある種の役割語のような働きをしていると言えるのではないでしょうか。

 多彩なキャラクターの表現方法の一つとして、この表記もアリだと思うのです。


 ただそうは言っても、時々「こんにちわ」と書かれている文章を見て、何かモヤモヤとした気持ちになることがあるのも事実です。

 例えば、「小説になろう」の活動報告で以下のような文があったとします(私が適当に作ったもので、実在のものではありません)。



(1)こんにちわ~。最新話更新しました(`・ω・´)

   みんな読んでね~!


(2)こんにちわ。最新話更新致しました。

   お暇があればお読みいただけると幸いです。



 私の感覚だと、(1)の文はあまり違和感が無いのですが、(2)の文にはかなり違和感があります。

 上述した通り、「こんにちわ」表記は「幼い」や「軽いノリ」等のイメージを想起させます。そのため全体的にくだけた感じの文体で書かれた(1)では馴染んでいるのですが、硬い文体の(2)ではイメージが矛盾するので、違和感が生じるのだと思われます。

 (2)の文は、書いた人の意図がよく分からないのです。照れ隠しのように、冗談めかした「こんにちわ」でその後の丁寧な文章を大仰で滑稽な感じに見せたいのか、それとも「こんにちわ」が正しい表記だと思っているのか、どう受け止めていいものか分かりません。それがこういう文を目にした時のモヤモヤの原因なのかな、と。


 小説や漫画のキャラクターに喋らせる以外に、現実で「こんにちわ」を使用できる場面は限られているように思います。

 まず、「こんにちわ」は現状では正式な表記ではないため、ビジネスシーンなど改まった場面では正しい表記の「こんにちは」が使用されます。

 となると、もっと気軽な雰囲気の場面で使用することになりますが、その中でも「こんにちわ」が使用可能な場面はさらに限定されるのです。軽いノリでのやりとりをする相手というのは、友人等ある程度親しい間柄の人物であると想定されます。しかし、そもそも親しい相手に対しては、そういった挨拶は省略される場合が多いのです。

 つまり、友人というほど親しくはないけれども軽く冗談なんかも言い合える、くらいの微妙な距離感の間柄で使うのが適当ということになります。難しいです。自分と相手の親しさに対する認識に差があるかもしれませんし。使いどころを間違えると相手に不快感を与えかねません。


 結論としては、現実社会で「こんにちわ」を使うのは、どんな場面であっても控えた方が得策である、ということです。

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― 新着の感想 ―
[一言] あーっ、私も良くやります。でも確かに私の中でも、誰かのお宅の玄関で奥の方にいらっしゃる方へ声を掛ける時のイメージは『こんにちわ~』の方ですね。文章で読んでも『は』を『わ』と読めない時がたまに…
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