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出会う奇跡の咲く道に  作者: はなさき
第三章 前を向いて進む一歩
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最終話 笑顔で

今回でこの話完結です。

書かなかったので分かりづらいかと思いますが、藍sideと咲sideに分かれています。

私はあの頃に会った咲の好きな人の友達に会って良かったと思っている。

第一印象は、とても明るくて元気な人だと感じた。それがあんな事言われるなんて……。


数日前の事。その日は、咲のお見舞いに皆で行く前日だった。皆で咲に会いに行く事は誰しも思っていたに違いない。けれど、拓弥からメールがきた。


「急でごめん。明日、二人で話したい事がある。誰にも言わないで午後一時に××に来て欲しい」という内容のメールだった。

なぜ、私は二人で話したい事があるのか文章を見て謎に思えた。


「いいけど、皆で決めた事だし、咲のお見舞いに行かないって伝えたほうがいいんじゃない?」



僅か二、三分後に返信が届いた。

メールを開くと、

「頼む、誰にも言わないでくれないか」と簡単な文章だけが並んでいた。医者で多忙な拓弥にとっては珍しい。


「分かった」

私はそれだけの文字を打って返信をした。けど、納得はしてない。頭の中で疑問が深まるばかりだった。


________


翌日、私は拓弥に言われた場所に着く。既に拓弥が先に来ていた。


「来るの早すぎ」

私が拓弥に向かって第一声を発すると、拓弥は辺りをキョロキョロと見渡した。


「何よ」

「いや、誰も一緒じゃないよな」

拓弥の行動と言葉に頬を膨らませた。


「私が信用出来ないんだ」

「ごめん、そういう訳じゃないんだ。ちょっとどこか寄ろうぜ。俺が(おご)るからさ」

真剣な顔で私を見つめて言う拓弥。見つめられるとドキッとしてしまうけど、一方でその真剣な顔が怖いと感じてしまう。私は黙って頷いた。

すると、拓弥は嬉しそうに笑顔を浮かべた。


(それも怖いんだってば……)

そう心の中で呟いた。



数分後、私達はカフェに来ていた。

「そういえば、話って何? ここに来て内密にするくらいだから重要な話だよね?」

話があるって言っていた拓弥が(しゃべ)り出さないのを疑問に思って、私は口を開いた。


「俺達、距離置こう」

不意に拓弥が小さな声でそう言った。


『距離を置こう』たったそれだけの言葉なのに心に鋭く刺さった。

「どうして。どうしてそんな事を言うの?」


私は拓弥がそんな事を急にわざわざ呼び出してまで言うのか理解が出来なかった。

数秒間、時が止まるように私の思考が停止していた。


「それは、言えない」

拓弥の言葉に私は立ち上がり、背を向けようとした。拓弥の顔を見れず、早くここを立ち去りたかった。

けれど、次の瞬間だった。


「待ってくれよ。まだ話があるんだ」

拓弥が私を引き止めようと私の腕を掴みながらそう言った。私はそれに対抗しようと、無言のまま腕を振り払った。そのまま背を向けて拓弥より先にカフェを後にした。



それから、暫く拓弥とは話すことも顔を見ることも出来ない日が続いた。

衝撃的な場面に出くわす事でもっと信じられなくなるとは知らず。


*****



私は、ある会話を耳にする。


「僕はすーちゃんを信じるよ。すーちゃんは今まで龍輔の事を想っていた。いや、今も想っているよね。拓弥がいくら龍輔に似ているからって抱きしめたりしないよ」

「秀、ありがとう」

「どうだか。私には信じられません」

「ちゃんと拓弥と話したの?」

声を聞いて私は部屋に誰がいたか分かった。というよりは中にいる誰かにここに来るように言われていたから理解出来た。私が部屋の扉を開けて中に入ると、それぞれ聞こえていた声の人物達が私の方を振り向く。


「咲ちゃん、こんにちは」

鈴香さんが苦笑いしながら、私に挨拶をする。その苦笑いの原因はおそらく秀さんと藍姉のまわりに漂う気まずい空気だと思う。私もその空気に気まずさを感じた。


「咲ちゃん、さっきの聞いてたでしょ? それにすーちゃんと拓弥とその場に一緒にいたし、どう思っているか聞かせてくれないかな」

突然、秀さんが少しばかり機嫌悪そうに私に聞いてきた。あの時を私は思い出す。

秀さんの言う通り、私は鈴香さんと拓弥さんと一緒にいた。その時、目の当たりにした拓弥さんの様子は一瞬にして別人に変わり、鈴香さんに話しかけていた。本当に拓弥さんとは思えない言動でもあり、行動をしていた。

だから、私は鈴香さんのとった行動が信じられないとは言えない。でも、今の立場で私はそのまま思った事を伝えるしかできない。


「あの時、拓弥さんは違うと言ってました。その前に聞いた言葉は拓弥さん本人からの言葉とは思えませんでした。鈴香さんの言っていた龍輔さんが現れたとしか。けれど、今話している藍姉達がよりを戻すのは私達が割って解決するのはどうかと、」

すると、秀さんが顔を曇らせた。


あくまでこれは藍姉と拓弥さんの問題。私には今の秀さんが無理矢理解決させようとしているしか思えない。

「ほら、秀。二人の事は気にしないでそれぞれ任せよう。私達は見守る事しか出来ないよ」

鈴香さんが冷静に秀さんを納得させようとする。


「分かった」

数秒間の間を置いて、秀さんは鈴香さんの言った事に頷き納得した。

そして、黙ってしまった。


「私、いい事を思い付いたのよ!」

突如、鈴香さんの大きな声が響き渡った。

『?』

その場にいた私、秀さん、藍姉が一斉に揃って首を傾げた。

次の瞬間、鈴香さんは秀さんにこそこそと小声で耳打ちする。五秒もしないうちに秀さんが不気味な笑みを浮かべていた。

すると、顔を見合わせた鈴香さんと秀さん。何かを企んでいるのは見え見えだった。



それから、数分後の事。

「鈴香ちゃん、秀が急変ってどういう事なんだ!?」

ノックもせずに病室に慌てて入ってくる拓弥さん。慌てた表情を見せたのは一瞬。拓弥さんはこの場を見渡すと、戸惑いを見せた。正確には、ある人物を見つけての戸惑いだった。


「藍、いたのか。ごめんな」

「どうして謝るの? 鈴香さんの事が好きだから?」

久々に拓弥さんと藍姉の会話を聞いたのに、その会話から直ぐに不穏な空気を漂わせる。


「何でそう思うんだ。俺の話を聞いてくれよ」

拓弥さんがそう言うと、それを聞いていた鈴香さんと秀さんがそそくさと病室を後にする。


「咲ちゃん、咲ちゃん」

病室を後にした二人の様子を見ていた私は秀さんが扉の前で私の名を小声で呼んでいるのに気付いた。


もしかしてってことなのかな?


察すると、鈴香さんと秀さんがどこへ向かうかも知らずに後について行った。その後の藍姉と拓弥さんの話がどんな話だったのか気になるけれど、ここは引いて、二人を信じつつ委ねる事にした。


それからとはいうものの鈴香さんが秀さんのリハビリに付き合って私は一人待っていた。

その時間はあっという間に過ぎていった。


________


数時間経つと、私達は(くつろ)げる広場に向かった。

たどり着くと、私と鈴香さんは置かれている椅子に座った。鈴香さんと秀さんは楽しそうに会話しているけど、私は黙っていた。どうしても藍姉と拓弥さんの事が気になっていて心の中がそわそわしていた。気を紛らわそうと他の事を考えた。

すると、ちょうどある事を思い出した。


「あの、一つ気になったのですが、()()さんに会わないんですが、」

そう口にする。


「え? えーと、」

私の言葉に秀さんが困った表情をしながら頭を掻き、苦笑いを浮かべていた。私は首を傾げた。


「実は、芽衣とは別れたんだ。向こうから話があるって連絡がきてね。会ったら別れ話ってわけ」

「それで、良かったんですか?」

「芽衣から別れたいって言ってたけど、正直言うとね、僕も芽衣の性格とかで疲れちゃってていいかなって」

「そうだったんですか」

「でね、すーちゃんと付き合う事になったんだ!」

「え!?」

予想外の事を聞いて驚いた。でも、声を上げたのは私じゃない。鈴香さんが驚きの声を上げた。


「知らなかったんですか?」

「告白されてたけど、すーちゃんに応えたのは今だよ。ね?」

「告白なんてしてない! ばーか」

そう言う鈴香さんだけれど、その表情はどことなく嬉しそうだった。

その事がきっかけで会話に入れて、笑いが絶えなかった。


*****


あれから、月日が経った。


あの後、藍姉と拓弥さんは話し合った結果、よりを戻し、藍姉が「今日も二人きりでデート」だと言って張り切って出掛けていった。


一方、鈴香さんと秀さんは話を聞くところによると、まだ秀さんが歩けない状態にも関わらず、数日後には式を挙げるらしい。

私達に式の招待状が届いた。嬉しそうな二人の姿を想像すると、楽しみになる。

あの時の出会いがきっかけで、私は色んな意味で強くなった気がした。


そういえば、私が事故にあった直後の出来事。あれは、私が優真さんともう一人。鈴香さんの写真に写っていた龍輔さんに会ったんだと認識出来た。この事は誰にも言っていない。今後も言わず心の中に忘れないように閉まっておく事にした。

私と鈴香さんの出会いがきっと向こうの世界でも繋がったのかもしれない。

もしかしたら、優真さんと龍輔さんの出会いが私達を出会わせたのかもしれない。

どっちにしても、出会って良かったと実感している。


優真さんはまだ見守ってくれてるのかな。


これから、後ろを振り向く事があっても前を一歩ずつ進んでいこう。笑顔で。




出会う奇跡の咲く道に -End-

拙い文章だったのにも関わらず読んでくださった方ありがとうございます。

次回作未定ですが、今後とも宜しくお願いします。

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