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出会う奇跡の咲く道に  作者: はなさき
第一章 初めての出会い 
1/16

1話 出会い

今回、前々から考えていた合併作品を作ろうと執筆しました。

自作の「桜の咲くころに」「イノセント クライム(第5章 嘆き)より2作品からのオリジナル合併作品です。

1月1章、2月2章、3月3章と章ごとに週2の水曜と日曜更新予定です。

あれから、あの人が亡くなって五年の月日が流れた。


私は今、大きな附属病院の外来待合室の椅子に座って、ある人を待っている。


私が待っているベンチには他にも何人かの人達が座っていた。おそらく、診察を待っている人達やその家族が待っているのだろう。

私は石のように固まって待機していたけれど、数分間すると退屈してしまって立ち上がった。そして、病院内を見渡しあの人が来ないか気になって仕方がなかった。それも約束の時間から、数十分も経っていたからだった。

しかし、待ち合わせの人が一向に現れず、(うな)()れて力尽きたようにまたベンチに座る。


昨日の約束したのは嘘だったのだろうかと不信感を抱き始めた。不信感を紛らわす為に私は近くにあった雑誌に手を伸ばした。ペラペラとページを(めく)って読んでみる。その雑誌には私が興味がない事が載っていた。それもあくまで時間潰しの為に仕方なく読んで待つ事にした。



一時間くらいが経った時だった。


「咲ちゃん! 待たせてごめん。患者の対応で遅れちゃった。ってあれ、咲ちゃんだけ?」

待ち合わせしていた人が側まで近付いてくると、私の名前を呼んで待たせてしまった事に対して謝っていた。

「大丈夫ですよ、拓弥さん。あっ、藍姉は遅くなるそうです」

私はその待ち合わせ人の名前を呼ぶと、疑問に答えた。

「ありがとう! って遅くなるって俺が来たの一時間くらい経ったぞ!? 会いたいのによ」

拓弥さんは元気な声でお礼を言ったかと思うと、残念な顔をして、とある言葉を漏らした。

『会いたい』という言葉に私は笑みを零した。私もあの人に会いたかったのに亡くなってしまった。


当時は寂しい思いでまたあの人に会いたいと桜が咲く春にはこの病院の庭にある大きな桜の木の下に行っては傍に居る藍姉や拓弥さん、それに律さんやあの人のお父さんに元気づけられどれだけ支えてもらっただろう。そのおかげで私は今なんとか笑えている。


そんな事は置いといて、拓弥さんが言った『会いたい』には理由がある。実をいうと、拓弥さんと藍姉は付き合っている。どちらから告白したかというと、意外にも藍姉からだった。

拓弥さんは私の大好きだった優真さんの事もあり、私を元気付けようとしていた為、藍姉からの告白に少々戸惑っていた。


けれど、

『私の事は気にしなくても大丈夫です。自分の気持ちに正直になって答えてあげて下さい』と言うと、日にちを置いて藍姉の告白を受け入れたそう。


あの時、まだ優真さんが居た時にはきっと拓弥さんと藍姉は気が合ったんだろうなと思っていた。


私は思いに()けっていた事に気付き我に返ると、拓弥さんの方を見る。どうやら辺りをキョロキョロと見渡していた。


「藍姉なら、時間掛かると思いますよ」

私は拓弥さんの行動が不思議で、落ち着かせようと言葉にした。


すると、

「いや、他に会わせたい人がいるんだけど、その人も誰かと待ち合わせているみたいで」拓弥さんがそう言う。

私が思っていた事とは違かったようだ。


「あっ、居た居た! 咲ちゃん、待ってて」

どうやら、拓弥さんは私に会わせたい人を見つけたようだ。その後、その場から離れてしまった。


数分後、拓弥さんが男女を一人ずつ連れてきた。一人は拓弥さんと同じこの病院で働いているのだろう、男の人が白衣を着ていた。もう一人もおそらくこの病院で働いているのだろう、ナース服を着ている女の人だった。


「拓弥、さっき言ってた会わせたい人って、この女の子?」

「あっ、そうだぜ。以前言ったろ? 病気だった俺の友人が亡くなったって。そいつの、彼女だぜ!」

「えっ!? 拓弥さん、」

私は拓弥さんのあまりの言葉に思わず言葉が出てしまった。


「って事は咲ちゃんなのかな? 可愛いね」

男の人は、突然私の名前を確かめるように問い掛けて微笑んでいる。

「もう、秀ったら。気持ち悪いよ。ごめんね」

女の人が男の人の言葉に冷めた表情をして、男の人の代わりに私に謝った。


「大丈夫ですよ。それより、どうして私の名前を? それに、拓弥さんどういう事ですか? 私が優真さんの彼女なんて、」

どうして、名前を知っていたのか気になって質問をした。それに、拓弥さんの言った言葉も気になって拓弥さんにも質問をした。


「それは、拓弥に聞いて、ってあれ? 拓弥、僕達の事を咲ちゃんに言ってないの? それに亡くなった人の彼女ではないのかな? 拓弥!」

男の人は拓弥さんを責め立てるように説明してという目で拓弥さんを睨みつけていた。


「ちょっと待てって。言ってなかったのは悪かった! だけど、二人がいつも一緒に居て、二人が好きだって言ってたからそういう関係なのかと、」


「……」

その場にいた男女の二人は、何故か私の答えを待つかのように無言になった。


「優真さんの事、好き、でした」

私は数秒の間を開けて、ゆっくりと言葉を口にした。恥ずかしくなって私は顔を両手で覆って隠した。おそらく、私の顔は火照って赤くなっていたと思うけれど、それを晒すこと何て出来なかった。


「やっぱりな。恥ずかしくなる事ないぜ!」

拓弥さんはそう言っていたけれど、誰かを好きだと言うことを表に出すのは恥ずかしかった。例え、好きな人が亡くなっていたとしても。


「咲ちゃん、純粋だし可愛い。どっかの誰かさんとは大違い」

女の人は男の人を冷たそうな目でチラッと見て言った。

「それは、すーちゃんもね。あはは」

男の人が笑いながら言い返していたけれど、目は笑っていなかった。そのやり取りを見ていた私は気になった。

「あの、名前は? それと、お二方は付き合っているんですか?」

『!?』

二人は私の質問に驚くと、苦笑いして見つめ合っていた。悪気はなく聞いたのに、空気が少し気まずくなっていて少しの罪悪感を感じた。


私が謝ろうと口を開こうとした時だった。


「僕の名前は(たち)(かわ) (しゅう)だよ。僕達は幼馴染みなだけだよ。ね、すーちゃん」

「私の名前は(くら)() (すず)()。秀の言う通り私達は幼馴染みだよ。実はもう一人、私達の幼馴染みがいてその人と私が婚約してたんだけど、癌で亡くなっちゃって、」

女の人はそう言うと、どこか寂しそうな表情を見せた。


「あっ、あの、ごめんなさい」

『癌で亡くなった』という事を聞いて、私は悪いことを聞いてしまったんだと焦ってしまい、頭を下げて謝った。


「いいよ。咲ちゃんもある意味私と同じ状況だから、気にしないよ」

優しくしてくれる鈴香さん。私は鈴香さんの暖かさを感じた。


そっか、私と同じ大切な人を亡くしたんだ……。


そんな事を思っていると、突然拓弥さんが声を出した。

「長居もあれだし、二人共この後空けてあるだろ。どこか行こうぜ!」

「そうだね、待って直ぐ着替えてまたここに戻ってくるよ」

「私も私も!」

拓弥さんの言葉に秀さんは白衣から私服へと、鈴香さんはナース服から私服へと、それぞれの更衣室に向かう為、その場から去っていった。


ん? 私は忘れてかけていた事を思い出した。


「あの、拓弥さん、藍姉がまだ、」

「ん? 嗚呼、連絡しとくから大丈夫!」

拓弥さんは私の言葉に笑って答えた。


何か企んでたりしないかな?


こうして、鈴香さんと秀さんと会った事が本当に拓弥さんが企んでる事なのか、それとも偶然なのかは分からないけれど、お二方と初めて会った瞬間だった。

いかがでしたでしょうか?

拙い文章ですが、是非興味ある方はこれからも宜しくお願いします

次回、2話は1月20日の水曜日予定です。

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