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猫旅  作者: ダージリン
2/3

第2話 檻の中

結局、川は見つからなかった・・・・

やばい、腹ぺこぺこ・・・・。駄目だ俺のスリムな体がさらにスリムになってしまう。食い物は何処・・・・

フラフラしながら一歩、また一歩と歩き続けること30分。サクラはやっとの思いでジャングルを抜けた。少し達成感を感じかけたサクラだったが、一瞬でそれは消え去った。


サクラの目に映る景色は、どう見ても一面砂のオンパレード・・・・・

「何なんだよ・・・・・これ・・・」

実際に見たことは無いが、テレビで見たことがあるぞ。これは砂漠と言うやつだ。

もう俺の体に砂漠を越える気力は残っちゃいねぇ・・・・・・

「砂のバカ野郎ッ・・・・・・・・あ、もうダメ」

――――――バフンッッ。

サクラは砂漠の端っこで前のめりに倒れた。



* * * * * * * * * * * 



・・・・ガタンッ・・・ガタンッ・・・・ガタッ

「・・・・・・・んあ?」

激しい震動にサクラは目を覚ました。

・・・・・・ここは何処だ?俺が意識を手放した場所は砂漠の熱い砂の上・・・・・だったはずだが、今下敷きになっているのはどうやら冷えた鉄のようだ。それにしても暗い・・・・・・俺、目開けてるよな?・・・・ま、何でもいいや。とにかく、一刻も早く食料調達しねぇと。俺死んじゃう。

サクラはとりあえず立ち上がって一歩踏み出した・・・・・瞬間――――――


ゴツンッ!!


かなり鈍い音が響き渡った。

「・・・・・ッつ~~!!!イってぇー・・・」

何かにぶつかった。多分鉄だ・・・・・・ぶつかった処に手を伸ばしてみた。どうやら全面鉄という訳ではないようだ。所どころ手が突き出せる。

・・・・ありゃ?・・・・この縦に並ぶ鉄の棒・・・・あまり考えたくないが、もしかして俺、檻の中に居るのか?

・・・・・・・なんで俺捕まってんの?・・・・もう訳分かんねぇー。考えんの疲れた。寝よ・・・・

激しく揺れる暗い檻の中でサクラはまた眠りに着いた。

当然、寝心地は最悪だった。



* * * * * * * * * * *



サクラが次に目を覚ました時、彼は大勢の見世物となっていた。当然、檻に入れられたまま。

(何で見世物になってんだ?俺。しかも相当珍しそうに見てんなぁ~皆さん)

呑気にそんなことを考えているサクラだが、実は内心かなり動揺している。囚われの身だからではない。サクラの最も動揺する点は、彼の周りを囲む民衆たちの姿かたちだ。はっきり言って人間は一人もいない。いるのは動物ばかりだ。動物と言ってもサクラの居た世界のそれとはかなり懸け離れている。彼らは二本足で歩き、言語を扱い、衣服まで(まと)っている。そう、まるで人間のような仕草をしているのだ。

(・・・・・ここは動物の世界なのか?なら俺は珍しくないだろう。俺だって動物だ。猫様だ。見世物になる意味が分からん)

サクラは不思議に思い、一度自分の姿を見て、再び大勢の民衆たちを見渡す。・・・・・何か、違和感を感じた。

(・・・んん?・・・・・あらら??)

サクラはじぃ~ッと見物人たちを凝視し、ある事に気づいた。

(猫がいねぇ・・・・)

これだけ色んな動物がいるというのに定番中の定番である猫がいない。犬はいるのに何で猫がいないんだ。普通この二種類はセットだろうが・・・・ポチとタマのタマはどうしたんだよッ!・・・・もしかして、猫がこの世界にいないから俺、こんな感じに見世物になってるわけ?――――――――――――

ま、いいや何でも。とりあえずこの檻から出ないとな。ここに居たって元の世界には戻れんし。

んんー・・・どやって出よう?俺マッチョじゃないし、この檻ぶち壊すのは不可能。俺を檻に閉じ込めた野郎と穏便に話し合って鍵開けてもらうとか?・・・・そっちの方がさらに不可能か。あ~あ・・・もしここで大爆発でも起きたらこの檻ぶっ壊れるかな~・・・・いや、そんなことになったら俺、また別の世界に行っちまうわ。天国という名の世界に・・・・

とりあえず、ダメもとで檻の格子に力を入れてみる。押しても、引いても、叩いても、蹴っても、ビクともしない。だんだんムカついてきた・・・マジこの檻大爆発でもして吹っ飛ばねえかな――――

本気でそんな事を考え始めたサクラは、突然体に違和感を感じた。

(・・・何だ?体の中が熱い・・・何か力が漲ってくるみたいだ)

漲るエネルギーは体の中心から手へと徐々に移動していく。すると、掌に赤く輝く光の球が出現した。その不思議な球はどんどん大きくなっていき、ついに自分の顔のサイズほどまで膨らんだ。

「な、な・・・何だこりゃッ!どうすればいいんだ、コレッ!!!」

俺が不思議な球に動揺していると、俺を見物していた奴らが血相変えて逃げて行く。

「えッ!!ちょ、ちょっとッ何で逃げんの!!何、コレって逃げるほどヤバいのかッ!!!!」

周りの反応にさらに動揺するサクラはコレをどうにかしようと必死に考えてる。はずなのだが、

「どうする!どうするのッ!投げちゃう?コレ投げちゃう?コレ投げてもいいもんなわけッ!!!」

サクラは大混乱していて、まともな考えが思いつかない。あたふたしていると、光の球がより一層輝きを増した。

(―――――ッ・・・これは何かもうヤバいんじゃねえッ!!)

結局、投げつける以外なにも思いつかなかったサクラは格子目掛けて思いっきりぶん投げた。サクラは投げてすぐに地面へ伏せる。そして、格子と光の球がぶつかった瞬間――――――――――――――


ドッガラガッシャッッッッッッーーーーーーーーーンッッッ!!!!!!!!


大爆発発生。檻は木端微塵だ。うん、俺の望んだとおりだ・・・・望んでみただけで、本当に起こるはずじゃなかったんだけどさ。後もう一つ、想像してた結末にならんで良かった。俺はまだ天国へ旅立ってはいない。

サクラは瓦礫の中からゆっくりと起き上がる。辺りはさっきまでの活気は何処へやら・・・・瓦礫と自分以外何も見当たらない。みんな逃げたのか、それとも巻き込まれたのか・・・・うん。前者ということにしておこう。これは不可抗力だ。

「はあー・・・・どうしよ、これから・・・」

元の世界に戻るって言っても手掛かり自体どうやって掴めばいいんだ。これからの果てしない面倒事に嫌気がさし、サクラは大きな溜息を吐く。すると、突然・・・・


ガラッ・・・ガラン――――――――――


瓦礫が持ち上がった。


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