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あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 67話 怖い話

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。






池図女学院部室棟、あーかい部部室前。




「あら?開いてる……。」




白ちゃんが窓から中を覗くと真っ暗なのに、部室の鍵が開いていた。




「……ま〜〜たあさぎちゃんねえ?」




こんなことは初めてではなく、たまにあさぎが真っ暗な部室で何かコソコソしていることが何度かあったので、白ちゃんは思いっきりドアを開け放ってみることにした。




「やっほー、元気?」


「白ちゃん先生!?……は、早いですね。」




ビンゴ。




「なに?今度は黒魔術でもやってたわけ?」


「そんな、オカルト研究部じゃあるまいし……。」




部室のテーブルの上に置かれた一本の蝋燭の炎が揺らめくと、あさぎの襟足が左だけ微かに揺れた。




「……ま、いいわ。火の始末だけ気をつけてくれればね?」


「おお、寛大だ……!」


「知らなかった?」




白ちゃんはどっかりといつものパイプ椅子に腰を下ろすと、テーブルを挟んであさぎと向かい合った。




「んで、今日は何してたの〜?」


「ええっと……、怖い話?」


「1人で……?」


「1人じゃないかも……なんて。」


「なに?やっぱここにはお化けでもいるっての?」


「さ、さあ……どうでしょう?」




あさぎの右の襟足が微かに揺れた。




「じゃあ練習の成果を聞かせてもらおうかしら?」




白ちゃんはテーブルに身を乗り出すと、あさぎの瞳に揺らめく蝋燭の炎を見つめた。




「ええ……!?」


「それとも……私に嘘ついて、何かわるぅ〜いことしてたのかしら?」


「…………そ、そこまで言うなら受けて立ちますよ。1人でトイレ行けなくなっても知りませんからね?」


「帰りにオムツ買うから大丈夫!」


「えぇぇ……。」




ほんの少しの沈黙を経て、あさぎが咳払いをした。




「では、これは私が実際に体験したことなのですが……。」


「実体験は怖い話の鉄板よね♪」




あさぎはいつもよりちょっぴり低い声で淡々と語り出した。




「幽霊と言えば井戸の底や障子の向こうなんかに現れるものですが、それも今は昔。人の技術は進化したもので、電話やテレビなんてものが出てきたこの頃。」




淡々と話す傍らで、あさぎはどこからともなく自前の扇子を取り出すと、扇子を受話器に見立てて耳に当てたり、テレビのリモコンに見立ててボタンを押す仕草をした。




「科学がオカルトを解き明かすなんて言われて久しいものですが、不思議なことに心霊の話は絶えずどこからか湧いて出て来るものです。」


「そういえば前に落語の壁打ちしてたことあったわね……。妙に手慣れてやがる。」


「……今も昔も変わらぬことがあるとすればそれは、『幽霊は何かを隔てた向こう側に現れる』と言うことでしょうか。」


「あ〜、確かに貞子も画面越しよね。」


「そんな幽霊は今もどこかで、何かを隔ててこっちの様子を伺っているのかも……。そう、私が体験したあの時のように……。」




あさぎは回想に浸るように、ボンヤリと窓の外の遠くを見つめた。




「ここまで枕だったのね……。」


「これはいつかの、じっとりとした生暖かい雨が連日連夜降り続けた時のこと……。私の家はオートロック付きの集合住宅なのですが、




あさぎはまっすぐ伸ばした人差し指をそっと押し出すような仕草をしてみせた。




「『ピンポーン♪』って、誰かが私の部屋のインターホンを鳴らしたんですよ。」


「まあ、ここまではある話よね。」


「私の親は仕事が多忙なもので、夜中まではほぼ1人で過ごす日々だったものですから、当然私が受話器を取って応答ボタンを押したんですよ。」


「うんうん、」




あさぎはまた扇子を受話器に見立てて耳に当てた。




「いつもなら『こんにちはー』だの聞こえて来るものですが、この日はいつもとちょぉっと様子が違うっ。」




あさぎが眉を顰めた。




「受話器の向こうはまるでテレビの砂嵐。微かな音で、『ザザ……、ザザァッ』って。……ただこれがまた不可解なもので、砂嵐はまるで意志を持っているかのように……息遣いがあるんですよ。」


「え……。」


「耳を澄ますと、途切れては微かに『……す。…………い。』って……!」




あさぎは迫真の演技で怨みのこもった声を腹の底から絞り出した。




「もう怖くなっちゃって!咄嗟に受話器をガチャンと戻して、その日は布団にくるまってブルブル震えていましたよ。」




あさぎはまたまたどこからか大きめの手拭いを取り出すと、隅っこを摘んで布団を被る仕草をしてみせた。




「確かに1人でそれは怖いわね……。」


「……で、また別の日です。外は蒸し暑くて、ほんのり空気に鉄の匂いがするどんより、シトシトした日にまた……『ピンポーン♪』。」




あさぎは慣れた手つきで手拭いを綺麗に畳みながら話を続けた。




「いちいち手慣れてやがるな……。」


「受話器を取ると、やっぱり『……す。…………い。』って、何を言っているのかは聞き取れないけど、この前と一言一句同じことを言っているのが耳元の振動からビリビリと伝わって来るんですよ。」


「同じ人……?」


「私もそう思ったものですが、この前と違うことが1つ。……『声』が違うんですよ。」


「じゃあ別人……?」


「もう身体の芯から震え上がるのを必死に堪えて、口を手で覆って息を殺しながら耳に意識を集中すると、やっぱり『……す。…………い。』って。」


「うわ……。」


「それでわかったのが、なんと言いますかね?この前よりも……生気がないんですよ。言葉に抑揚が無くなって、冬でもないのに唇が震えているような感じで。そう、まるで……


「「幽霊。」」




あさぎが目を見開いた。




「その言葉が頭をよぎった瞬間、私は受話器を『ガチゃぁぁあん……ッ!』って、もう叩きつける勢いで通話を終了しちゃいましたよ。」


「なんなのかしらね?」


「それでまたまた別の日、やっぱり『ピンポーン♪』って、インターホンが鳴るんですよ。」




「もうインターホンの音を聞くだけで身体が震え上がりましたけど、勇気を振り絞って受話器を取った。すると、これもやっぱり『……す。…………い。』って。前よりも更に生気がなくなって、まるで死人のような声で何かを訴えかけて来る……ッ。」


「うっわ……。」


「この日も怖くなって、『ガチゃぁぁあん……ッ!』って咄嗟に受話器を戻して通話を終了したんですけど………、




あさぎは俯いて黙り込んでしまった。




「けど……!?」


「……これが不味かった。」


「え、何……!?」


「受話器を戻す時、パニックになっていた私は誤って『解錠』ボタンを押してしまっていたんです……。」


「ひっ……!?」


「受話器を戻したとき、ボタンが押される音で気づいたけれども時既に遅し。どうしよう、どうしよう……!?声の主が入って来る!?……そう慌てていると、




あさぎは言葉を止めて沈黙を作ると、白ちゃんに手の甲を向けて逆向きの手招きをした。




「『コン……、コン……ッ』って、誰かがドアを叩いてる。」


「ヒッ…、」


「もう喉から心臓が飛び出そうなのを必死に飲み込んで、抜き足、差し足でドアの前まで辿り着いて覗き穴で外を見ると……、


「み、見ると……!?」


「……真っ白なんですよ。」


「え……、」


「いや、正確には真っ白じゃなくて、蒼白い死人のような人の肌……ッ。」




あさぎは自分の腕をさすってみせた。




「よく見ると、わずかに骨張っていて、それが手の甲であることがわかったのですが、そんなことを気にしている余裕は無し!」


「で、でしょうね……。」


「どうしよう、どうしよう!?ってパニックになっていた私ですが、同時にこんな考えが頭をよぎる。……『これからずっと悩まされるくらいなら……。』。」


「え……ちょっと、あさぎちゃん……!?」


「私は最後の勇気を振り絞ってドアを勢いよく開け放つと……、見えたのはずぶ濡れで雫が落ちる真っ黒な髪の毛に、死体のような青紫の唇が『ニィ……』って


「いやぁぁぁああ!?」


「私は咄嗟に『すみませんっ!ごめんなさーい!』って、もう謝ることしかできませんでした。」


「そ、それで……、


「ずぶ濡れの女性はそんな私を見下ろして、光のない目でただ一言。」




あさぎは少し黙って溜めを作ると、




「……『判子か、サインを』。」


「いやぁぁぁあああ!!??」




部室の窓が割れそうな悲鳴が部室棟中に響き渡った。




「……って、判子?」


「ま、その時はサインだけして荷物受け取ったら帰ってもらったんですけどね。」


「……。」


「……?」




・・・・・・。




「ただの宅配便やないかいッ!!」








あーかい部!(4)




あさぎ:投稿完了


白ちゃん:はあ……お疲れ様


ひいろ:なんだ白ちゃんテンション低いな


あさぎ:教頭先生にこってり怒られたからね


きはだ:なになにぃ?ガラスでも割ったのぉ?


あさぎ:割れるかと思った


きはだ:わっっるう……


白ちゃん:悪いのはあさぎちゃんだから!


あさぎ:白ちゃん先生が話せっていうから話しただけなんですけど……


白ちゃん:うるせえこっちは怒られ損じゃい


きはだ:話が見えてこないなぁ……


ひいろ:読んでくるか






きはだ:怖がり過ぎでしょ〜……


あさぎ:だよね〜


白ちゃん:おい


ひいろ:オムツはちゃんと買えたのか?


白ちゃん:買っとらんわ!

白ちゃん:活字だと伝わらないのが悔しい……!


あさぎ:いやあそれほどでも


ひいろ:ならこんど怖い話大会でもやるか?


きはだ:いいねぇ


白ちゃん:無理無理無理無理却下よ却下!


ひいろ:あさぎはどうだ?


あさぎ:とても良いと思う


きはだ:わぁい過半数〜♪


白ちゃん:黙れ0.3票ども

白ちゃん:アンタら全員束になったとて顧問の許可は降りませ〜ん


ひいろ:大人気(おとなげ)無さすぎだろ……


きはだ:1票の格差はいけないんだよぉ?


白ちゃん:そうだったわね0票ども


きはだ:うわぁ

あさぎ:うわ……


ひいろ:こうなったらおばさんに副顧問を


白ちゃん:大人気(おとなげ)ないぞぉぉおお!!


あさぎ:だって未成年ですし


きはだ:お寿司ィ!


ひいろ:寿司でもとって百物語するか


白ちゃん:お寿司で釣ろうなんて、卑怯な……!


あさぎ:釣られないでくださいよ……


きはだ:いよっし、夜通し百物語だぁ〜


白ちゃん:ちくしょうめぇぇえ!!

あさぎ:あ、ごめん夜なら無理


きはだ:にゃにい!?

きはだ:あさぎちゃんが1番ノリノリだったではないか


白ちゃん:信じてたわあさぎちゃん……!


あさぎ:夜はプライベートなので

あさぎ:牡丹さんの許可も降りないと思う


白ちゃん:そうよそうよ、夜はプライベートなのよ♪


ひいろ:驚いたな

ひいろ:まさかおばさんに却下されるとは


きはだ:なんですとぉ!?


あさぎ:やっぱり?


きはだ:おやおや、わかってる風だねえ?


あさぎ:夜は学校入っちゃダメなんだよ知らないと思うけど


白ちゃん:あさぎちゃんがまともな事言ってる!?


ひいろ:頭でも撃ったか


あさぎ:それヘッドショットされてる


きはだ:もう1回撃つか……


白ちゃん:あと106回ほど余分に撃っときなさい


あさぎ:私煩悩じゃないです


あさぎ:というわけで夜の学校には入っちゃダメですからね白ちゃん先生?


白ちゃん:なんで私なのよ!?


きはだ:草ァ!


あさぎ:中で牡丹さんがお寿司とってても知りませんよ?


白ちゃん:ひいっ!?


ひいろ:怖がるところそこなのか……?


白ちゃん:1番怖いのは生きてる人間なのよ


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