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転生勇者(♀)の異世界旅行記《トラヴェローグ》  作者: 青咲凛
第2章 ナザレの夢魔

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35. 石材?


「思った以上に長く使えたなぁ、これ……」


 魔力回復用のポーションを呷り、私は切れたMPゲージを横目に呟いた。


 私の現在の最大魔力量は80点。

 〈金属操作〉の消費魔力量は、スキルレベルが上がったことによって30秒に1点にまで緩和したが、3本の手斧を同時に使うとなるとそれなりに消費速度は速くなるみたいで、それでも30分は連続で使い続けることができた。


 〈金属操作〉で振り回した武器で、威力を出すコツもなんとなくつかんできた。

 このスキルで物を動かしている間は、それを手にもって振り回しているのと感覚が少し似ている。

 だから、威力を出す際にはどちらかと言えばタイミングを合わせてスキルを解除することで、慣性を利用したほうが威力は大幅に上がるのである。


 これに気づいてからは木を伐る速度が大幅に増えた。

 1分もしないうちに3本の背の高い松の木を切り倒し、ストレージに運ぶというのを繰り返して早1時間。

 私のストレージの中には、今や約120本分の木材が集まっていた。


 帰ったら枝の剪定……いや、これもストレージの中でできたりしないだろうか?


 あたりを見渡して、魔物や動物の気配がないのを確認しながら、とりあえず落ち着けそうな場所を探して歩く──と、数分ほど歩いた先で、地面がそれまでの柔らかめな土の質感から、硬い石畳に変わっていることに気が付いた。


「なんだろ?」


 そういえば、なんだか木の密度も低くなってきている気がする。

 それによく観察してみれば、ところどころの木の根元にはめくれ上がった白い石畳のようなものが見受けられた。


 少し、嫌な予感を覚える。


「マップ」


 呟いて周辺地図を呼び出した。

 すると、どうやらこの先200mほど行ったあたりに広い空間があるらしいことが見てとれた。


 湖──ではない。

 何か広場の様な感じだ。

 円形の空間で、等間隔に柱が並んで──って、これもしかして、遺跡か何かか?


「こういう地形だと、大抵フィールドボスがいるんだよねぇ……」


 前世、数々のMMOを渡り歩いてきたゲーマーの直感が告げるのに従って、私は手斧を収納して代わりに刀を引っ張り出した。


 〈気配察知〉はまだ届かない距離なので調べる術はない。

 マップにも特に敵影が潜んでいる様子もない──が、警戒は怠らない。


 ステータスが万全であることを確認し、念のためにまだ使ったことがないスキルにも目を通しておく。


「〈成長促進〉か……」


 〈木神の加護〉で使えるようになったスキルの一つ。

 そういえばまだ使ったことがなかった。


「効果は……植物や動物などの成長を促進させる……」


 植物の種に使えば一瞬で成長して木になっちゃう、みたいなことだろうか?

 つまり、ストックが必要、と。


 〈金属操作〉も一応ストックは必要だが、相手の武器なんて大体金属製だし物に困ることは無い。

 その点を考えると使いどころを選ぶスキルになりそうだ。


 あとは、そういえば〈二段跳び〉もあんまり使ったことがないな。

 今まで使うタイミングがなかったしなぁ。

 それからあとは……あ、〈障壁〉なんてスキルもあるじゃん!

 そういえばそんなのあったな、完全に忘れてた。


 〈土神の加護〉で獲得した〈障壁〉。

 どれくらいの衝撃まで耐えるかは未知数だし、いきなり実戦で活用するのは怖いよなぁ。


「とりあえず、念のために覚えておくくらいするか」


 そうこうしているうちに、例の遺跡が目と鼻の先に迫ってきた。


 円形に並べられた白い石畳。

 それらを囲うようにして崩れかけた煉瓦塀と折れた石柱が8本、円を描くように設置されている。

 かつてはこの上に天井でもあったのだろうが──その面影は今になってはかけらもなく、ただ中央に小さな瓦礫の山を残すのみとなっていた。


 ──いや、これはただの瓦礫ではないな。


 数歩近づいた時だった。

 微弱な殺気を感じ取った私は、反射的に半身を反らした。


 ──直後、風切り音が鼓膜を掠め、髪が数本宙を舞った。


「なるほど、〈気配察知〉はあくまで生物や魔物の気配を察知するもので、機械の類まではそこまでの精度で察知できないんだね」


 ということは、私が得意にしている〈気配隠蔽〉や〈認識阻害〉も効かないと見た方がいいだろう。


 目の前で蠢く瓦礫の山。

 やがてそれは螺旋を描くように宙を舞うと、紫色の球体を中心に次々と合体していき──やがて、2階建の家ほどもある巨大な人型ゴーレムが完成した。


 察するに、あの瓦礫の中に埋もれていった紫色の球体がコアなのだろう。

 それが破壊されるか、あるいは魔力の供給が止まるまでは容赦なく動き続ける。

 あれは、そういうたぐいのものに違いない。


 私はにやりと笑みを浮かべると、刀を〈障壁〉で覆った。

 あんなのに普通に打ち込んだらたぶん折れるからね。

 どれくらい役に立つかわからないけど、まぁ、無いよりはましでしょ。


「グァァァァァアアアア!!!!」


 どこか録音した音声のような咆哮を上げると、ゴーレムはその真っ白な瓦礫に包まれた拳を振り下ろした。


 巨体に見合わず動きは速いが、加速された思考が世界を緩慢にさせる。


(あの速度で突っ込んできたら石畳が割れる。

 そうなるとだいたい散弾みたいな感じで破片が飛ぶだろうから、安全圏は──)


 跳躍し、ゴーレムの拳が着弾するその真上に身を翻す。

 すると、やはり予想通りに床の石畳が散弾のように周囲に飛び散った──が、その軌道が、一瞬空中で急停止する。


「マジか!?」


 はじけ飛んだ石畳の破片が、私の方に向けて──否、正確にはゴーレムの拳に向けて集約する。


 おそらくゴーレムに搭載されていると思われる自動修復機能の応用だろう。

 螺旋を描くように突っ込んでくる瓦礫を、私は再度空中で跳躍して何とか回避する。


「危なかったぁ……」


 空中で姿勢を制御して、近くの柱の上に着地する。


 なるほどな、あくまで本体はあの紫色の球体で、そいつが周囲の瓦礫を操作してあの巨人の体を作ってるわけだ。

 だから岩の体をいくら攻撃したところでHPにはほとんど影響がない……厄介だな。


 しかも、積極的にその修復機能の応用を戦略に組み込んでいる。

 この分だと人型をしているというのも一種のブラフと考えた方がいいだろう。


「──となると」


 ゴーレムが柱に向かってパンチを繰り出してくるのを狙って、私はその腕の上に飛び乗った。


 コアは瓦礫の内側に吞まれて姿は見えない。

 しかしゴーレムを形作る段階である程度の位置は把握している。


 胸の中央──そこに向かって衝撃を叩きこんでかっ開く!


 私は腕の上を駆けて胸のあたりを目指して飛び込んだ。

 〈障壁〉がどこまで衝撃を吸収してくれるかわからないけど、このスキルも魔力を消費するなら、ある程度イメージを固めさえすれば──!


「せやぁ!」


 気合一閃、鋭く放たれた直線状の刺突は、岩の装甲を砕いて紫色の球体をその背面へと突き出した──が。


(手ごたえがない──自らパージした? ということは──!)


 貫いた瓦礫の巨体が蠢きだすのを感じて、私は慌てて刀を抜いてゴーレムの巨体から離れた。

 直後、瓦礫が大波のように球体に吸い寄せられて元の形へ戻っていく。


 あのまま追撃していれば、私はあの瓦礫の波にのまれてぐちゃぐちゃになっていたかもしれない。


「つくづく相性が悪すぎるな……」


 床に着地して、さてどうしたものかと思考を巡らせる。

 剛体のくせにまるで液体のようにふるまうゴーレム。

 何をしようが暖簾に手押し。

 

「何か、何かないか……?」


 頭の中で、同時にいくつもの案が駆け巡る。


 自分が使えるスキルの再評価。

 そこから導き出される戦略と、ゴーレムの動きの予測。

 あるいは、周囲の地形に何かヒントが隠れていないか。


 コアの位置は一定じゃない。

 破壊されそうになると、多分どのパターンでやっても自分で体を崩して逃げる。

 つまり、逃げるならまずは捕まえなきゃだめだ。


(どうやって?)


 こういう時は構造だけを抽出して簡単にしてから改めて考えるのが鉄則だ。


 だからコアを──例えば水の中で逃げ回る魚のようなものとする。

 その魚を捕まえるにはどうすればいい?


「グァァァァァアアアア!!!!」


 再び頭上から拳を振り下ろしてくるゴーレム。


 私はその衝撃から逃れるように宙へと身を翻した。

 先ほどと同じように、石畳が砕け、散弾のように瓦礫がこちらを襲う──それを見て、閃く。


 そうか、水から魚を追い出せばいいんだ!


「ストレージ!」


 宙を蹴って再度回避した私は、ストレージから数本の松を取り出した。

 ここに来るまでに切り倒してきた、松の木。


 私はそれに向けて、〈成長促進〉のスキルを使用しながら、新たに作り出した〈障壁〉で樹木をゴーレムの方へと押し出した。


「グァァァァァアアアア!!!!」


 メキメキメキ、と音を立てて繁茂する針葉樹。

 その枝葉が、ゴーレムを形作る瓦礫を呑み込み、からめとっていく。


 すると、衝撃から逃れるように紫色の球体が自らパージされた。

 さっきまでと同じなら、ここから他の瓦礫をかき集めて修復するところだろうが、今は松の枝にからめとられて、表面を薄く覆うくらいしかできていない。


 この程度なら〈障壁〉で強化した刀でも充分だ。


「──ッ!」


 薄紫色の〈障壁〉が、瓦礫の鎧ごとコアを打ち砕く。

 その手ごたえは、想像以上に滑らかだった。


『剣術スキル関連アーツ〈鎧徹し〉を獲得しました』


現在の悠里のステータス


 +++


■ステータス■

 名前:鑑 悠里 Lv.8

 性別:女

 種族:異世界人 Lv.1

 職業:ノービス Lv.1

 称号:〈異世界人〉Lv.1

    〈臆病者〉Lv.2

    〈何にも束縛されない〉Lv.2

    〈無謀な挑戦者〉Lv.2

    〈導師見習い〉Lv.1

    〈追跡者〉Lv.1

    〈暗がりに潜む者〉Lv.1

    〈呪術医見習い〉Lv.1

    〈樵見習い〉Lv.1


 HP:80/80

 MP:80/80

 SP:110/110


 筋力:25

 活力:9

 速度:9

 知能:9

 感覚:15


 残りステータスポイント:0


■スキル■

◇武術系◇

 〈剣術〉Lv.5

  └〈偃月殺法〉Lv.1

   〈聖柄の太刀〉Lv.1

   〈居合抜き〉Lv.3

   〈鎧徹し〉Lv.1

 〈体術〉Lv.1

  └〈空気投げ〉Lv.1

   〈投擲〉Lv.1

   〈卍蹴り〉Lv.1


◇魔術系◇

 〈呪詛マスタリ〉Lv.1

 〈魔法〉Lv.1

  └〈術式理解I〉Lv.1

 〈結界〉Lv.1

  └〈反転結界〉Lv.1


◇身体操作系◇

 〈身体操作マスタリ〉Lv.1


◇防御・回復系◇

 〈自動回復〉Lv.2

 〈食い縛り〉Lv.1


◇耐性系◇

 〈驚愕耐性〉Lv.1

 〈痛覚耐性〉Lv.1

 〈負傷耐性〉Lv.2

 〈転倒耐性〉Lv.1

 〈気絶耐性〉Lv.2

 〈トラウマ耐性〉Lv.1

 〈脱水症耐性〉Lv.1

 〈熱中症耐性〉Lv.1

 〈精神攻撃耐性〉Lv.1

 〈拘束耐性〉Lv.1

 〈呪詛耐性〉Lv.4

 〈隷属無効〉Lv.1

 〈恐怖耐性〉Lv.3

 〈不意打ち耐性〉Lv.1

 〈閃光耐性〉Lv.2

 〈麻痺耐性〉Lv.1


◇隠遁系◇

 〈忍足〉Lv.2

 〈気配隠蔽〉Lv.2


◇感知系◇

 〈洞察〉Lv.2

  └〈名推理〉Lv.1

 〈気配察知〉Lv.5

  └〈霊感〉Lv.1

   〈先の先〉Lv.1

 〈魔力感知〉Lv.1

 〈遠見〉Lv.1

 〈暗視〉Lv.1


◇生活系◇

 〈交渉〉Lv.1

 〈高速思考〉Lv.2

  └〈並列思考〉Lv.1


◇ギフト系◇

 〈水神の加護〉Lv.1

  └〈水中呼吸〉Lv.1

   〈水上歩行〉Lv.1

   〈水袋勁〉Lv.1


 〈木神の加護〉Lv.1

  └〈成長促進〉Lv.1

   〈効力増強〉Lv.1

   〈笑桜勁〉Lv.1


 〈火神の加護〉Lv.1

  └〈二段跳び〉Lv.1

   〈燃焼無効〉Lv.1

   〈火鳥勁〉Lv.1


 〈土神の加護〉Lv.1

  └〈障壁〉Lv.1

   〈土圧無効〉Lv.1

   〈捻央勁〉Lv.1


 〈金神の加護〉Lv.1

  └〈金属操作〉Lv.3

   〈即死耐性〉Lv.1

   〈拡金勁〉Lv.1


 〈五行神の加護〉Lv.1

  └〈気功法〉Lv.1

    └〈遠当て〉Lv.1

     〈沈墜勁〉Lv.1

     〈纏絲勁〉Lv.1

     〈十字勁〉Lv.1


 残りスキルポイント:0


 +++



読んでいただきありがとうございました!

次回もよろしくお願いいたします!


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