終点ですよ(男女ver)
内容ほとんど変わってません。どうぞ。
駅員:♀お客さんにウザ絡みされる人
客:♂ ウザ絡みする人
駅員「お客さん、お客さん?終点ですよ、終点」
客「へ?接点??」
駅員「貴方とは一度たりとも会ったことないですよ終点です、終点」
客「来店?」
駅員「ここはお店じゃありません。電車の中です。終点です!終点!」
客「沸点?」
駅員「怒りの沸点ならとうに来てますよ、終点です!」
客「寒天!」
駅員「私を指差してなに阿呆なこと言ってるんですか!終点です降りてください!」
客「まぁまぁそんな固いこと言わずに俺の話を聞いてくれよ」
駅員「嫌ですよ」
客「じゃあ降りねぇ」
駅員「鉄道警察呼びますよ」
客「ちょっと聞いてくれたら、すっと、降りるからよ」
駅員「ほんとですか?」
客「おう、俺の目を見てみろよ」
駅員「はい?」
客「この純粋な目、テキトーなこと言うような目か?」
駅員「……めやに付いてますよ」
客「汚ったね!」
駅員「うわっ、取っためやに飛ばさないでくださいよ!」
客「どうだ?取れたか?聞いてくれるか?聞くよな?」
駅員「取れました取れました。なので、ゴリ押しはやめてください」
客「で、どうなんだよ?」
駅員「はぁ……じゃあ聞きますよ。そしたらほんとに降りてくれますね?」
客「あったぼうよ!そんな人に迷惑になるようなこと、俺がする訳ねぇだろ?」
駅員「現在進行形でしてるんですよ」
客「まぁまぁまぁまぁ」
駅員「私をなだめてる暇があったらスパッと話してください」
客「この雰囲気じゃちょっと話しづらいな……嬢ちゃん、酒持ってない?あとつまみも」
駅員「持ってる訳ないでしょ」
客「ちっ、しょうがねぇなぁ……」
(客、鞄を漁る。)
客「ほら、缶ビール、これしかなくてごめんな」
駅員「仕事中に飲める訳ないでしょ」
客「いいからいいから……(鞄を漁る)はい、お酌してお酌して」
駅員「しないですよ」
客「え?ここはサービスの悪い店だねぇ」
駅員「サービスいいお店に行きたかったらとっとと電車から降りてくださいね」
客「ま、そう言わずにな。かんぱーい!」
駅員「ああああ、ちょっとお客さんなに始めちゃってるんですか」
客「くぅぅっ!綺麗な嬢ちゃんを見て飲む酒は美味い!」
駅員「はぁ……」
客「でな、話ってのがさ俺の女房がおっ死んじまったんだよ」
駅員「はぁ……そうなんですか………って、ええええ!?ちょ、さらっとなんてこと言ってるんですか大変じゃないですか!」
客「おうよ大変だよ、こんな時に大変じゃねぇなんて言えるやつはど畜生だね」
駅員「それで、貴方はこんなところでなにやってるんですか?」
客「なにって、分かんだろ。酒飲んでつまみ食って、そんでもって嬢ちゃんと話してんだよ」
駅員「そうじゃなくて!そんな家が大変な時に、貴方はこんな所でなにやってるんですか!」
客「あぁ?うっせぇなそんなの俺の勝手だろ」
駅員「公共の場で勝手なことしないでください」
客「真面目だねぇ、嬢ちゃん。そんなんじゃいい男捕まんねぇぞ?……ま、俺のは他界他界しちまったんだけどな!はははは!」
駅員「うるさいなぁ。ほっといてください!」
客「ほぉぅら、やっぱし居ねぇじゃねぇか」
駅員「警察警察……」
客「なんだよ、人が折角ジョークで和ませてやってんのに」
駅員「ジョーク下手ですね。だからキャバにも行けないでこんなところで……」
客「あー白けた白けた!嬢ちゃんのせいだからな」
駅員「理不尽ですね。それじゃあ、帰ってくださいよ」
客「交通事故だったんだとさ」
駅員「なにが!?……あぁ、奥さんが……」
客「俺の女房はそれはもう愛想のなくて飯が不味くて家事もほとんどやらねぇデブで汚くて小遣いも寄越さねぇ酷い女房でな……なんか思い出したら腹が立ってきた……あんにゃろ帰ったら殺してやる」
駅員「だからお亡くなりになられたんでしょ?」
客「ああ、そうだい」
間
客「それでもな、俺にとっては最高の女だったんだよ。それを……それを……ッ!」
駅員「心中、お察しします」
客「そうか、そうか、分かってくれるか。嬢ちゃんいい奴だな。なんで結婚できないのか不思議なくらいだ」
駅員「一言余計ですよ」
客「よぉし、なら俺と結婚するか?」
駅員「二言、余計ですよ」
客「あーあ。振られちまったよ」
駅員「さっ、おかえりを」
客「……優しい嬢ちゃんにゃ、俺の秘密を教えてやるよ」
駅員「……(舌打ち)なんですか?」
客「実はな?今日、俺の女房を殺したやつに復讐しようと思ってんだ」
駅員「なっ!?そんな、やめてくださいよ。きっと奥さんも望んでません!」
客「んなこと、分かってんだよ!それでもな、そうでもしなきゃ俺の腹ん中の虫が治ねぇんだよ!」
駅員「……そうですか。因みに、目星は付いてるんですか?」
客「あぁ」
駅員「それは……?」
客「この電車だよ!」
駅員「は?」
客「俺の女房はこの電車に轢かれて逝っちまったんだよ!」
駅員「先日の事故は客様の奥さんでしたか」
客「そうだ、とんだ曇天模様の、あの日の事故だよ」
駅員「確か……線路に侵入してそのまま」
客「転倒してポックリな……絶対許さねぇ」
駅員「いや、それ完全に自業自得じゃないですか」
客「止まれなかったアンタらの責任だろうが」
駅員「んな、無茶苦茶な」
客「機転のひとつでも利かせて横転でもすりゃ助かったんだ!」
駅員「言い掛かりも甚だしいですよ!」
客「だから俺はこうやって復讐してんだよ。後はこの空になった缶を嬢ちゃんの頭に叩きつければ俺の復讐は終わりだ」
駅員「貴方相当ヤバい事言ってるの分かってます?
いくらなんでも気が動転してるの域を越してますからね?」
客「あぁっ!?うっせぇな、そんなの俺の勝手だろうが!」
駅員「勝手じゃないですよ、私の命がかかってるんですから」
客「じゃあどうしたらいいってんだ!」
駅員「このまま帰って、奥さんの好きだったお花を供えてあげてくださいよ」
客「あんた、優しいんだな。甲斐性ねぇくせに」
駅員「決めつけないでくださいよ!」
客「はぁ……なんかあんたに色々話したらスッキリしたよ。ありがとな」
駅員「………じゃあ帰ってくれますか」
客「いや、もう1つ話を聞いてくれ」
駅員「まだあるんですか」
客「実はーーー」
客、電話が鳴る
客「もしもし?なんだよお前か。俺は、あれだよ。サテン行ってたんだよ。ほら、駅前の。いや、嘘じゃねえってマジだって、お天道様に誓ったって……んあ、どうした?あ?酒買ってこいだ?お前、旦那をパシリかなんかと勘違いして……え、小遣い減らす?待ってくれよ!分かった、分かった買ってくっから!小遣いだけは、ありがとうございますありがとうございます、では切らせて頂きます」
電話を切る
駅員「今の、誰ですか?」
客「誰って、俺の女房だ」
駅員「さっき奥さん亡くなられたって」
客「ありゃ全部デタラメだ。
ここで嬢ちゃんと酒が飲みたくて話を振ったんだよ」
駅員「……は?」
客「それじゃおつかい頼まれたから俺は帰るわ」
駅員「ちょっと、もう1つの話って何だったんですか」
客「あぁ……実はな?俺、無賃乗車なんだよ」
駅員「警察!」
客「あーばよっと!」
客、走って逃げようとするも電車とホームの隙間に落ちる。
客「おぉうい!助けてくれぇぇい!」
駅員「ふふっ……お客さん、これが私にとっての好転ですよ」
客「ぎゃーっ!」
暗転
〜終〜




