ド・Mの俺に毎日地雷を投げつけてくる、このド・Sの女に俺は恋をする!
”ド・Mの俺に毎日地雷を投げつけてくる、このド・Sの女に俺は恋をする!“
俺はバイト先の女に地雷を投げつけられるような罵声を毎日味わされて
いるのに、何故なのか俺はこの女が気になって仕方がない!
そもそも俺自身が、”ド・M“で子供の頃から怒られるのが凄く好きだった。
だから俺はワザと弱い態度を取り、わざわざイジメられるようにもって
いっていたのだ。
普通の奴じゃ耐えられないようなイジメもたくさん受けてきた。
その度に俺は、家に帰って自分の部屋で興奮していたのだ。
・・・だか俺が学校でイジメにあっているのを母親が知り、
直ぐに俺へのイジメは終わってしまう。
俺みたいな特殊な奴は、イジメに遇う事を望んで楽しんでいる奴なんか
他に居ないのだろう。
自分からイジメに遭いたいと思ってみていても、大概は俺を避けて通っていく。
案外俺はイジメにあわないのだ。
*
だけど? 久しぶりに俺はバイト先で知り合ったバイト仲間の女に
目を付けられる。
『”鬼頭さーお前、今から1分でコンビニに行っておにぎり2つ買って来て!“』
『えぇ!?』
『おいおい、畑瀬もう直ぐミーティングがはじまるのにやめろよ!』
『お腹が空いたのよ! 口出ししないで!』
『鬼頭、お前行かなくていいからな。』
『・・・い、いや、大丈夫、おにぎり買ってくるよ。』
『畑瀬のせいで鬼頭がミーティング遅れたらどうすんだよ!』
『”じゃあー絶対に1分で戻って来い。“』
『・・・お、お前な!』
『ありがとう、井沢さん、でも大丈夫だから。』
『・・・き、鬼頭、』
『早く喋ってないで買って来いよ!』
『分かったよ、じゃあ行ってくる。』
『早く行け!』
『・・・・・・』
俺は内心、嬉しくて嬉しくて興奮が収まらなくなっていた。
”また俺をイジメる奴が現れたんだと嬉しくてついにやけてしまう。“
『買ってきたよ。』
『セーフ! 時間ピッタリじゃん! やるなー鬼頭!』
『鬼頭、』
『お金は給料日の次の日に払うわ。』
『あぁ、ううん、』
『今すぐお金ぐらい払ってやれよ!』
『いちいち私に口挟むなよ井沢!』
『鬼頭をこれ以上、扱き使うなよ!』
『・・・まあ、考えとくわ!』
【もう直ぐミーティングがはじまるから会議室に皆、集まってください!】
【分かりました。】
それからもこのド・Sの女は何かある度に俺をネタにイジメをはじめる
ようになった。
俺はバイトを週4から週6で入るようにした。
しかも? この女が入っているシフトに出来るだけ合わせて入れるようになる。
ただ俺にとって邪魔なのは? ”俺を心配してくれた井沢だ!“
本当ならこんなに親身に心配してくれる人が居る事は有難いのだろう。
”ただ俺はド・Mだ!“
こんな女に目を付けられて俺は嬉しくてたまらないのだ!
『”今日は鬼頭トイレ掃除ね!“』
『・・・で、でも? ボク、昨日トイレ掃除したばかりで。』
『”私が今日、トイレ当番だから代わりにやれって言ってんの!“』
『畑瀬、また鬼頭をイジメてんのか。』
『井沢さん、ボクは大丈夫だから。』
『大丈夫じゃないだろう! 無理してそんな事言わなくていいんだよ。』
『”あのさ、鬼頭は私に扱き使われて喜んでるド・M男なの!“』
『そんな訳ないだろう! なあ、鬼頭。』
『・・・・・・』
・・・まさか? このド・Sの女、俺がド・Mだとちゃんと分かってて
やっていたらしい。
なんか俺は【M】の臭いでも出しているのか?
確かに、ド・Sの人はド・Mの人が直ぐに分かると誰かに聞いた事がある。
磁石のように引き合う関係なのか?
だが、俺はこの女にイジメられる事に爽快感を感じていた。
毎日、バイト先に行くのが凄く楽しくて仕方ないのだ!
この女のおかげで俺は毎日、生きてるのが楽しい。
ただな、井沢のせいで俺がこの女からイジメられなくなるのは絶対に嫌だ!
だから仕方ない、スマン井沢。
【昨日、急に井沢君からバイトを辞めると電話がありました。
これから忙しくなるので求人募集はしますが、気を張って皆で
頑張りましょう。】
『えぇ!? 井沢くん辞めたんだ、』
『誰も井沢くんが辞めるって聞いてないの?』
『鬼頭は、井沢くんから何も聞いてない?』
『聞いてないよ。』
『ふーん。』
『畑瀬さんは井沢くんから何の聞いてない?
『聞いてないよ、多分ね。』
俺は邪魔者の井沢をバイト先から追い出す事に成功する!
これで思う存分、ド・S女に扱き使われると思うと夜も眠れないぐらい
興奮して眠れない。
ただ、ド・S女は井沢がバイトを辞めたのは俺が原因ではないのかと
疑っていた。
【勘もいいんだな。】
そういうところも俺はこのド・S女が好きだよ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




