表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/30

❄✧☆【OTA1】雪のこぼれ話と小さなグノームたち(1/3)☆✧❄

✧・゜: *✧・゜:* ❄️ *:・゜✧*:・゜✧


      【 OTA1 】

  雪のこぼれ話と小さなグノームたち

        (1/3)


✧・゜: *✧・゜:* ❄️ *:・゜✧*:・゜✧


✰✰✰


【OTAについて】


OTA(Original Text Animation)は、

本編とは少し距離を置いたかたちで描かれる

“外伝的テキストアニメーション”です。


物語の流れから一歩外れ、

季節の空気や、特別なひとときを、

より自由に、気ままに切り取ります。


今回は――

雪と灯りに包まれた、小さな冬のお話。


どうぞ肩の力を抜いて、

あたたかい気持ちでお楽しみください。


❄️ それでは皆さま、よい冬を。

  ――少し早めの、メリークリスマス&ハッピーホリデーズ。


✰✰✰

「走れソリよーーっ!!」

『風のようにぃぃーーっ!!』

「月見原をぉぉーー!!」

「『 パドゥル パドゥルゥゥゥ!!!

ぷはははははッ!! 』」


「……な、なにそれ……?」

気むうが、じと〜っとした目でうちを見てきた。


「っははは、ちょ、これこれこれ!!」

うちは腹抱えて、イスシアの方を指さす。


『こっちのオタク文化、マジで腹筋死ぬわ、姉ちゃん。

ほらほら、もっと探しぃ!!』


「はいはい、お嬢さん方。歌っとる暇あるなら歩け歩け。

この辺から雪、だいぶ深くなってきてるぞ。」


マイルズがそう言って、前を行くうちらに呆れた視線を向けた。


見渡すかぎり、一面まっ白。

……いや、マジで全部真っ白やん。

けど本来なら、もうすぐ果樹林エリアの出口に着くはずなんよな。


ちなみに──

ここ数日、その果物たちはガチガチに凍ってもて、

木にぶら下がっとる状態のまま、完全に“冬眠”しとる。


寒さの方はというと……

三日前、見事に風邪ひいて死にかけた。

せやけどマイルズが、冬用の簡易魔術を教えてくれてな。


「体温だけをちょい上げる」、そんな冬仕様のスペル。

人間ストーブにならんギリギリの調整やけど──

……これが、めっっっちゃ便利なんよ。


魔法って、ほんま実用的やな。


『……なぁ、お前ちょっと黙れへんか、猫。』


……。

マイルズは全然反応せん。

聞こえてへんらしい。


『ふん。』


「で、イスシア。……そっちはどうなん? 地球、今どんな感じなん?」


『んー? ちょい待ち……

“地球”ねぇ……

はいはい、そっちの世界の──

ああ、これや。


……ふむふむ。めっちゃ華やかやん。

イルミネーションと緑の飾りだらけで、完全に“冬の祭りモード”。

どう見てもクリスマス直前やな、これ。』


「そらそうやろ。人間ども、年末で金むしる気満々やし。

クリスマスなんて、一番ええ“稼ぎ時”なんよ。」


『人間の経済とか、うちは興味ないわ。

ああいう社会のゴタゴタ、関わったら負けやろ。』


「まあ、そやな。

もしうちがあんたみたいな“全知全能っぽい薔薇”やったら……

経済とか社会とか、全部どうでもええわ。」


『……話分かるやん、姉ちゃん。』


相変わらず、道中は全員で止まらん雑談大会。

いつものことや。


そんな中──

うちらの前を、野ウサギみたいな勢いで

人型の小さな影が、ぴゅっと横切った。


身長は……せいぜい、うちらの太ももくらい。

ちっさ。


全員、思わず足を止めて、その光景を見送った。


「ちっさ……え、ドワーフやん!!」

そう叫んだ瞬間、うちはもう走り出してた。


「待て、神い!!」

マイルズが慌てて追いかけてくる。


「……はぁ……」

気むうも、心底めんどくさそうに後ろから続く。


「ははっ、なんて行動力だ。ほんと冒険者向きだねぇ!」

最後尾から、フルカフトの呆れ混じりの笑い声。


その小さなドワーフは、

凍りついた果物を木箱に詰め込んだまま、

明らかに焦った様子で走っていた。


「ひっ……!?」

後ろを振り返って、うちらに気づいた瞬間、

びっくりした声を上げて──


さらにスピードを上げた。


「ふふっ。」

そう言いながら、うちは遊ぶみたいに追いかけた。


ドワーフは必死で、

木々のあいだや、太い根っこの隙間──

自分だけが通れる場所へと、するする潜り込んでいく。


「おい、待てって!!」


うちは枝を避け、根っこを飛び越え、

必死に追いつこうとするけど……

いや無理やって。

さすがに、体格差ってもんがある。


「うぐっ!!」


「神い!! ちょ、落ち着け!!」

マイルズの焦った声が後ろから飛んでくる。


「……うぅ。」

気むうは、何か言いたそうにして──結局、黙った。


「ロアァァッ!!」

フルカフトが、枝をかき分けながら唸る。


その頃──

哀れなドワーフはというと。


完全に涙目、冷や汗だらだら。

“理性ちょっと怪しい集団”に追われてるとは思えん勢いで、

死にもの狂いで逃げ回っていた。


「や、やめてくれぇっ……!

な、なにも持ってないから!!」


ドワーフはそう叫びながら、

二本の木のあいだへ、必死に身体をねじ込んだ。


「ま、待てって――!」


……その瞬間。


──ズルッ。


「っ……!」


足元の太い根っこに引っかかって、

うちは派手に前のめりに転んだ。


「ま、待っ……――あっ……?」


顔を上げた、その先。


そこに広がっていたのは──

小さな村。


それも一つや二つやない。

見渡すかぎり、

ちっちゃな家、ちっちゃな道、ちっちゃな広場。


数えきれんほどのドワーフたちが、

笑いながら、話しながら、

村じゅうを飾り付けていた。


灯り。

緑のリース。

雪に映える色とりどりの装飾。


……作り物ちゃう。

ほんまもんの、

あったかいクリスマスの空気や。


「……おお……」


思わず、声が漏れた。


「神い!!」

マイルズが追いついてきて、息を切らす。


「……なんだ、これは……」


「いやぁ……こりゃあ……」

フルカフトも足を止め、

目の前の光景に、素直に息を呑んだ。


立ち上がろうとした、その瞬間──

目の前に、数人の小柄な影が立ちはだかった。


軍帽みたいな帽子をかぶったグノームたち。

そして、その中央に立つのは──

これでもかってくらい立派な、長く白いヒゲの老人。


その背後には、

さっきまで必死に逃げていたあの小さなグノームが、

怯えきった顔で隠れるように立っている。


「おい!!

お前、ウィリーに何をしようとしてた!? あぁ!?」


老人が、低く響く声で怒鳴った。


「ひっ……!

い、いえっ……な、なにもしてません!!

えっと……だ、大きな……えらい……方!!」


「ワシは“ドワーフ”じゃない!!

……グノームだ!!」


「し、失礼しました!!

偉大なるグノーム様!!」


「……ふん。」


鋭い視線が、うちを貫く。


「それで……

お前は何だ?

チュクワル人か? それとも魔女か?」


「に、人間です!!」


「……人間?」


老人は白ヒゲを撫でながら、

ゆっくりと言葉を反芻する。


「人間……人間……

聞いたことのない種族だな。」


「あ、えっと……

わたしたち、別の位相から来まして……」


「……別の位相?」


「はい。」


「………………ふむ……」


その一言で、

場の空気が一段、重くなった。


「ぷ、プリーズ……!

飾り付け、手伝わせてくださいぃぃ……!!

ずっとやってみたかってん……お願い、お願い、お願いぃぃ!!」


地面に座り込んだまま、

うちは両手を合わせて、必死に拝み倒した。


「う、うーん……

まぁ……人手は、確かに足りてへんけど……」


「やったぁぁぁ!!」


その瞬間、ぴょんっと立ち上がって、

服についた雪をばさばさ払う。


「ほらほら、みんな!!

デコレーション行くでーーっ!!」


「……やれやれ。」


気むうが、いつもの調子で小さく息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ