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昼食

ご都合主義なメンバー紹介。

雲ひとつない青空、頂点に太陽ひとつ。


ここは城塞都市の中、真ん中に天使像のある広場。端のほうにある駐車区画で荷物を広げるキャラバン。あくまで仮の場所。すぐに商売ができる場所に移動する予定なので出すのは必要最小限。


「セーラにケール、早いとこ降りてきて食べちゃって。あなた達と違って、他のみんなは用事をこなさなきゃいけないんだからね。その前に片付けちゃって。」


不承不承といった表情で馬車の屋根から降ってくる二人。相変わらず重力がどこかに行ってしまったような動き。

声をかけたのはメイド服を着込んだクールビューティーな長身のお姉さん。名前はメアリー。


「まったく、小さなクオンでさえお手伝いしてくれているのに。」


「私は好きでやってる。」


メアリーの追撃に返しながら、降りてきた二人に昼食を渡すのはクオン。幼女と少女のちょうど真ん中くらいの見た目、背はちっこい。


「イーッ、」


歯をむき出しにして少し前かがみでつま先立ちなあざとかわいいポーズをとるのはセーラ、隣で無言であかんべーをしているのはケール。とにかくふたりとも可愛い、何かが傾くくらい可愛い。が不思議とそっち方面のトラブルは何故が皆無。いや、まったく起こらない。

もっとも、今ので目の前のメイドさんは完全に堕ちたようだが。


ふたりともしっかり昼食を握りしめて、テトテトとみんなの輪から離れて騎獣を繋いだままの荷車に乗り込み食事を始める。


「美味しかった。食器はどうすればいいのかな?」


クオンより歳は上そうな、まあ成人にはもう少しくらいの少女が聞いてくる。


「まったく、姫でさえ働いてくれてるというのに。」


「失礼な、私はいつでも動いてるでしょ。」


天使のようなふたりに撃墜されながらも小言を続けるメアリーに言葉を返したのはティーナ。姫っぽいと言うことで誰かが呼び始めたらしいが、いつの間にか全員がそう呼ぶようになっていた。まるきり本当に正真正銘で姫様では無いようだが。挙動はまるっきり全然姫っぽく無いのに何故かそれすらも姫っぽいとは満場一致。容姿はセーラとケールのさらに上をいく。こちらも何故だかそっち方面のトラブルはゼロ。


「ごちそうさまでした。ロンザ。」


おとなしげではかなげななかにもしっかりと生命力を感させる立ち居振る舞いの美少女は丁寧に料理人にお礼を言う。


「お粗末様でした。シーラ。」


クオンとティーナの間くらいの見た目の少女に言葉を返すのは料理人のロンザ。天才である、体形はいかつい、国家騎士団の分隊長くらいいかつい。実力も見た目のまま。そして本気を出したらこちらも何かを傾けるレベル。美貌でも剣でもなくて料理でではあるが。


「うーん、なんか少し足りないかな。おかわりは無いのかい。」


高イケメンのニクスがロンザに声をかける。ニクス、身長は常識の範囲内の高身長。引き締まった身体。とにかく雰囲気がただ者では無いのだが、何故か高レベルの人間にしかそれが感知できない。普通の人が見たらただのイケメン優男。


「悪いな、間に合わせなもんで。」


ロンザの返事にニクスは向かいに座っているマキシムに声をかける。


「だってさ。」


「これで十分だ。」


マキシムが答える。とにかくデカい。2mは超えているだろう。その上に良質筋肉。服の上からでも分かる筋肉。とにかく筋肉。


「ははは、人をダシに使うなよ。」


割って入ったのは魔法使いのダリ。見た目はどこからどう見たって屈強な歴戦の戦士。着ているのはローブでは無く軽鎧で、実際に見た目どうりの強さではあるがあくまで本職は魔法使い。なんなら魔法のほうが得意まである。




そして少しの時間が過ぎて、執事服のイケオジのウイルが口を開く。オジと言う年ではないがとにかく誰がなんと言おうと雰囲気がイケオジだから仕方ない。彼もデカい。マキシムほどではないがとにかくデカい。体形は細身に見えるがつくものはきちんとついている。


「さてさて、皆さん食事も終わったようですし、午後の活動を始めましょうか。」



そんなウイルの言葉に


「私は市場をまわってキャラバンに必要なものをそろえて来ます。」


とメアリー、


「俺も食材の買い出しがあるから市場かな。」


とはロンザ、


「荷物持ちでおともしましょうか」


とニクスが言えば、


「私も行きたい。」


とサトリ、


「私はお留守かなあ。」


とシーラ、


「留守番がシーラとあの二人じゃあ心もとないな。」


とは、あの二人とやらの意見も聞かずには発言するマキシム。


「俺も居残るとするか。」


と、ダリ、


「私は冒険者ギルドに精算に行ってきます。」


とウイル、


「姫は?」


「うーん、マスターと商業ギルドに行こうかな。」


とのお言葉に  


「姫のお共とは光栄です。」


そう答えたのはこのキャラバンの主にしてリーダーのカナタ。12歳の年相応の少しちっこい男の子。 黒目黒髪のちっこい男の子。



いつの間にか馬車の屋根に戻って空を見上げるセーラ。


ケールはそのまま荷車でうたた寝。






キャラバンの午後が始まる。

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