第16話 Halloween Party
緊張してきた。ハロウィンパーティー。何をするのか、僕にはわからない。仮装が僕の緊張を高めているのは言うまでもない。
チャイムが鳴った。誰かがやって来たようだ。
「茉生ちゃん、こんにちわ。可愛いわね。天使が来たかと思ったわ」
「ありがとうございます。ゆんちゃんのお母さん、今日はお世話になります」
「うんうん。3人とも赤ずきんと警察官がきたわよー!」
雫から聞いた話によると、イツメン4人がそれぞれゲストを連れて集まるとか。つまり、伊藤茉生……ちゃんの後ろに隠れている警察官はそのゲストだろう。
「伊藤さん、後ろの子は……警察の方?」
「あ、香くん。メイドさんかなあ? すごく似合ってるよ! それと、この子は愛桜ちゃんって言って愛桜ちゃんて言います」
僕、また『似合ってる』のか。
「ちょっと茉生、自分で説明するよ!」
愛桜ちゃんは茉生ちゃんの前に出て話し始めた。
「えっと、改めまして僕、神賀愛桜と申します。茉生とは一緒に手芸部に入ってて、幼なじみというか親友やらしてもらってます」
あれ、茉生ちゃん手芸部だったんだ。
それからまたチャイムが鳴り、高木さんたちが入ってきた。もちろん、彼氏の野田くん付きだ。
「里美っち、よっす! うわー! カップルで美女と野獣のツイン仮装ですか? 良いですねー」
意外と愛桜ちゃんの食い付きが良くてビックリした。2人は茉生ちゃん経由で知り合っていたらしい。そりゃそうか。野田くんがこちらを見ている。あの日のこと、だよな。里美がこちらを睨みながら彼の興味をひこうとしているのか大きく手を叩く。
「あ、あのもう皆さん揃われてるみたいだし、始めませんか?」
由紋ちゃんはドアを開け僕らを案内した。
「そうね。よし、下の客間に案内するよ」
「改めてお集まりいただきありがとうございます。みんな格好よく、可愛くなってきてくれて超嬉しいです。今回、茉生、雫、里美、それと私。それぞれが企画を用意しています。私は企画を全て把握しているので進行は私がさせてもらいます。まず茉生ちゃん、お願いしても良い?」
なんか、こんなしっかりしてる人だったんだ。雫と共謀して僕をおめかししてくれるから、変な人だと思っていた。
「わかりました。愛桜ちゃん、私が説明するから配ってくれる?」
「あいよ」
「えっと、私が持ってきたのはトランプゲームです」