3.ヒロインのお相手候補は、私の警戒対象です
一人称(主人公)視点で話が展開されます。
「ねぇライ!」
「っ…戻ってきました?」
「ごめんね!あのさ、学園にいるめちゃめちゃイケメンで目立つ人っているのかな!?」
「急になんです?…そんなこと知って何が…あ、まさかリアさま、あの人たちのこと狙ってるんですか?」
「いやいや違うよ!!警戒対象だよ!私はこの世界の人じゃないから、もしかしたら断罪されるかもしれなくて…」
「ちょっと言ってることよくわかんないですし、仮に僕らの家が断罪されるとして、できる権力なんて王家くらい………あーそういうこと…」
「…っ王家!そうだよ!そういう有名な人!教えて!ライ!」
"仕方ないな…"と言いながらライラックは丁寧に教えてくれる。
「まず、王家ですね。皇太子は2人いますけど、1人は学年が違いますし今留学中なんで、リアさまと同じ学年の方。カリス・エルブンガルド…この人基本無口であんま喋んないんで、リアさまと関わることなさそうですけどね。魔法とか剣術とか全部均等に優秀って感じで、成績もトップだったんで多分今日の入学生代表挨拶するんじゃないですかね」
「カリス・エルブンガルド…さすが王家って感じの名前だね…そして優秀なのね…」
(この人がヒロインの相手なのかな…)
「次にファンネル・クライシアン…この人はこの国トップの魔法師一族であるクライシアン家の一人息子で、魔法がとにかく優秀で…確か3元素持ちです…ファンネルに魔法で敵う人、学園内にいないんじゃないですかね」
「魔法の使い手かぁ…かっこいいなあ…」
「……リアさま」
「ぐっ…」
ライラックが物言いたげな顔で見てくる。
(仕方ないじゃない…ファンタジー要素もりもりのイケメンに弱いんだから…)
私は気を取り直す意味を込めて、姿勢を正した。それに気づいたライラックが続きを話してくれる。
「……最後にエルネス・アクロライトです。エルネスは王家直属の騎士団の団長ですね」
「団長なんだ!凄いね!」
「エルネスの父から団長の座を受け継いで、直ぐに頭角を現しただけあって、素晴らしい働きぶりだそうですよ」
「なるほど〜…3人とも凄いね…これだけ凄かったら私とは関わり無さそうだし、気にしなくても大丈夫かな!?」
「……だといいですけどね〜」
含みのあるライラックの言い方が少し気になりながらも、それ以上に気になることについて聞いてみた。
「ライはさ、なんでずっと丁寧な口調で話してるの?私は本物じゃないんだし、口調崩してくれてもいいんだよ?」
「あー…ずっとこの口調で話してたから、つい…。リアさまがそう言うなら、学校内では崩して話しますね。僕たち同級生ですし…ね?リア?」
「っ……」
至近距離での急な名前呼び捨てに私は心臓が飛び出そうになった。いや、飛び出た。
ライラックは自分のイケメンさを自覚した方がいい今すぐに。
「リ〜ア……俺に名前呼ばれただけでそんなんなってたら、この先耐えられねーよ?」
「ライ……ずるすぎない?!それは反則だよ!!」
「反則?なにがぁ〜?」
「確信犯のくせに…っ!!」
こういった雰囲気に耐性のない私を「恋愛経験ないの丸わかり」だの「顔近づけるだけで真っ赤になって、俺の顔そんなに好き?」だのとからかい始めたライラックから逃げるように外を見ると、馬車は学園の門をくぐっていた。
誤字脱字等チェック漏れありましたらすみません。
日本語表現等、駄文な節が御座います。ご了承ください。