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2.転生早々、やらかしました…

一人称(主人公)視点で話が展開されます。

こんな話絶対信じてもらえないだろうと思いチラリと青年の方を見ると、続きを促すような視線を送ってくる。

それから、寝て起きたらこの豪華な部屋のベッドにいたこと、この世界については何も知らないこと、元いた世界でこの子そっくりの人が映っている本を見たことなど、私の支離滅裂な説明を青年は真剣に聞いてくれた。


「質問しても?」

「はい」

「そのお嬢が映ってるっていう本は中身は見たんですか?」

「実は見てないんです…恋愛ものなのは確かなんですけど表紙にこの子ともう1人女性がいて、男性は1人も…なので誰のことも分かりません……」

「なるほど…」


青年は少し考えるような素振りを見せたあと黙り込んでしまった。それから少しした後、無音で私の後ろに回り込み、無言で私の背を押して、部屋の奥にある椅子に座らせた。


「な、なんですか…?」

「とりあえず事情は分かりました。これ以上お嬢に話を聞いてもなにも解決しなさそうなので、とりあえず"お嬢"について話します。一度しか言わないのでちゃんと聞いててくださいね?」

「…!はい!」

「お嬢の名前は"リーリア・アルメリア"、伯爵家のご令嬢です。

そしてお嬢は……


─────ということです。分かりましたか?」

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ…整理するので…!」

「分かりました」


青年から聞いた内容を整理していく。

名前はリーリア・アルメリアで、伯爵令嬢というかなり高貴な身分だ。父と母と私の3人で暮らしていたが、母はリーリアを産んだ時に亡くなってしまったらしい。なので伯爵の血を持つのは父とリーリアの2人だけとなる。

この世界には一定数(数はそれほど多くないらしい)魔法使いが存在し、そして父はこの国でも有名な魔法師(魔法を生業とする職に就く人のことを総称して魔法師と言うらしい)で、アルメリア家は魔法師としてかなり名が知れているという。


(ここまででも情報量が多い…やっぱり私って令嬢だったんだ……そういえば)


「あの、あなたは誰なんですか?あなたの事聞いてないと思って…」

「ああ、僕のことですか?僕はライラックです。お嬢の護衛兼お世話係と言ったところですかね。名前はライとでも呼んでください。それと丁寧な口調で話してもらわなくても大丈夫なので」

「…!わかった!ライよろしくね!」

「やっぱりお嬢が素直なの変な感じしますね。いつもは僕に対して横暴なので。朝の挨拶なんて返されたの5年ぶりくらいですよ。この前なんて…──」


リーリアは少し気の強い女性だったのかな?と思いつつ、ライのお嬢強強エピソードを聞き流す。ライが落ち着いてきたとこで、先程から気になっていたことをライに質問していくことにした。


「ねぇライ、私って何歳なの?」

「16歳です、ちなみに僕は18ですよ。あ、言い忘れてましたがお嬢、今日はクライシアン魔法学園の入学式に行く予定が入ってます」

「ええ!?なんで早く言わないの!急がないといけないんじゃない?」


起きてから軽く1時間は経っているが、まさか今日が入学式の日だったとは。これは言い忘れでは済まないのではと心の中で悪態をつく。早く用意をして行かないと行けないのはずなのに、言い出しっぺのライは全く急ぐ様子もない。


「昼からですよ」

「…っ先言ってくれない!?無駄に焦ったじゃん!」

「お嬢があなたになってから、考えてることが手に取るように分かります」


ライラックは何がそんなに面白かったのか私の言動がツボに入り、クスクス笑っていた。

魔法学校の入学式ということはリーリアにも魔法が扱えるということなのだろうか。魔法の使い方など全くもって分からないが、これは転生者あるあるで体が覚えているみたいな感じになるのだろうと漠然と考えていた。それよりもさっきから気になっていたが、触れられなかったものが視界の端でチラつく。

(…思い切って聞いてみよう)


「あのさ、ライはなんで拳銃なんて持ってるの?」

「これですか?魔法銃ですよ…僕の魔力を糧にここから力が放出される」


"ここ"と銃口を指でトントン叩きながら、"これは僕にしか扱えません"とライが言ってるのを右から左に聞き流しつつ、私は"僕の魔力"という言葉に目を輝かせる。


「ライも魔法が使えるの!?」

「僕"も"…まぁはい。使えますよ?」

「へぇ〜!ライすごいんだねぇ」

「まぁ僕はお嬢の護衛なので使えて当然です。それよりお嬢に魔法のこと、詳しく説明してなかったですよね」


そう言いライラックは魔法について淡々と説明しだした。私は興味津々で、前のめりになって話を聞いていたが、ライラックに手で押し返された。


魔法は炎、水、風、雷、地、光、闇の7元素と区別がある。

魔法使いにはそれぞれ属性があって、だいたい1元素から2元素ほどが使える。

しかし、稀に3元素以上使える魔法使いが存在するらしい。

魔法を使うには詠唱が必要で、無詠唱で魔法を使える魔法使いもいるがそれも数少ない…というより今まで存在したことがないらしい。

詠唱の短縮だとかは魔法使いの修練とかで成すことができるという。

魔法使いの中でも特に優れた人達は魔法師と呼ばれる。魔法師は王家の側近や国の警護などにあたる魔法師団に所属することが多いらしい。その優れたエリートを多く排出しているのがクライシアン魔法学園という訳だ。


「なるほど…それでライはどの属性の使い手なの?」

「………僕は炎ですかね」

「炎なんだ!確かに炎っぽいよね!」

「何を根拠に言ってるんです?」

「ライの瞳の色が綺麗な紅色だから」

「…ほんとにお嬢は面白いですね」

「どういうこと?」

「あながち間違ってないですって意味です」


ライは私がツボなのかなって思うほどに笑ってくる。清々しいほどに。そういえばリーリアの瞳は綺麗なスカイブルーだ。恐らく水か氷の魔法使いなのだろう。


「───う、お嬢」

「…はい!何!?」

「話ちゃんと聞きましょうね、そろそろ学園に行かないと行けないので、制服に着替えましょうか」


ライラックがクローゼットから制服を取り出し渡してくる。私はライラックに部屋から出てってもらい制服に着替えた。チョコレート色という珍しいワンピース型の制服で、高校生の頃着ていた私立の女子校のような上品さがあり、少し若返った気持ちになる。

(…まぁ実際4歳くらい若くなったんだけどね)


制服に着替え終え机の上にあったカバンに手を取り部屋を出ると、ライラックが部屋の外に立っていた。ライラックも制服を着ていて、年相応に見える。それに、さっきまではつけてなかったスカイブルーのピアスがキラキラ輝いていて思わず見惚れてしまった。ライラックは18歳って言っていたし、学園が日本と同じ3年間なら3年生にあたるのだろう。


「お嬢制服似合ってますね」

「ありがとう!ライも似合ってるねかっこいい」

「…ありがとうございます」


ライラックに道案内されながら、長い廊下を歩いていく。転生して早々学園の入学式という荷が重い展開に緊張が募る。緊張を解したい一心でライラックに話しかけまくった。


「あのさ、お嬢って外でも呼ぶの…かな?」

「はい。そうですが?」


それ以外の呼び名でもあるのかと言わんばかりの顔で見てくるライラックに大声で抗議する。


「お嬢はやめてくれない!?」

「呼びやすいんですけどね…まぁあなたがそう言うなら変えましょうか。あなたは"お嬢"では無い訳ですし…」


少し思案するようなライラックに私は、"普通にリーリアでいいんじゃない?"と言ったが、身分がどうだの外での僕の外聞がどうだの、正直に言うと長くて呼びづらいだの謎のこだわりが強かった。散々悩んだ挙句、結局呼び方はお嬢のままいくことになった。"お嬢で慣れてるから"らしい。


「……リアさま」

「え?」

「あなたと話す時はリアさまって呼びます。これでいいですか?"お嬢"のこと話す時に紛らわしくなりそうなんで」

「…!2人だけの時の特別な呼び方みたいな?」

「この少しの間で随分調子乗りますね…」

「…っ初めて会った時からそうだけど、その謎の殺気なに!?怖いよライ!」

「いやだってお嬢この家はそういう…」



ライラックが何か言いかけようとしたときに、真っ黒いスーツに身を包んだ男の人が廊下の両端に1列に並んでいた。そして私とライラックに気づくと一斉に敬礼しだした。

そして…、


「「「行ってらっしゃいませ、お嬢!!!!!!」」」


「………」


もはや驚きすぎて声も出ない。どういう状況なのだろう。放心状態の私の手を握り、ライラックが男の人に挟まれた道を進んでいく。奥に扉があり外に出ると綺麗な白い馬車が佇んでいた。ふと、そういえばライもスーツ着てたんだよねと今朝のことを思い出す。


(……スーツ、拳銃、謎の殺気…やばい…こういうの漫画で見たことある…でも魔法だよ?魔法の世界だよここ…ないないない)


ライラックの素晴らしいエスコートのもと無事に馬車に乗り、馬車は学園の方へと進む。馬車に乗り少し落ち着いてきたので、さっきのことをライラックに聞く。


「ねぇさっきのはなんだったの?」

「ああそうかリアさまは初めてでしたね。あれうちでは毎日なので」

「ええそうなの!?」


毎日あの通りを通らないと外に出られないなんて、正直怖くて通りたくない。



「アルメリア伯爵…お嬢のお父様ですね、その人が魔法師なのはさっき言ったでしょう。アルメリア家は魔法師であり王家専属の暗殺一家でもあります。王家から命令があった時だけ秘密裏に行うので、王家しか僕らの存在は知らないですよ」

「そうなんだ〜……って暗殺一家!?」

「大丈夫ですよ、周りからは普通の伯爵家としか思われてないので、それにお嬢は仕事したことないですよ。安心してください…ね?」


いやいやいや、まさか暗殺一家なんて…こんなの悪役令嬢ルートじゃない?…ちょっと待って、今まで忘れてたけどあの本リーリアの他にもう1人女の子が映ってた。てことは、恋愛漫画の定番で考えると、2人のうちどちらか1人は悪役令嬢になる。この感じだと、どう考えてもリーリアになるんだよね。だって、表紙に映ってたもう1人の方が表紙のほぼ半分以上を占めてたし。真ん中にドーンって。


(ああああああ終わった…これあれだよね、死亡フラグ的なあれだよねどうしよう…何も分からないまま死んでしまう……)


「リアさま…?リーアーさーま!!…また聞こえてないか…」


(何か策を…あ、そういえば悪役令嬢断罪のパターンってだいたい悪役令嬢がヒロインのパートナーに手を出して的なやつよね。リーリアは婚約者が取られて濡れ衣とかそういうのはなさそう…だから学園でヒロインのパートナーになりそうな人を避ければいいのでは?え、、、私天才…?)


誤字脱字等チェック漏れありましたらすみません。

日本語表現等、駄文な節が御座います。ご了承ください。

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