第二章「愛に変わった日~救世主の再臨~」1
―――――憂鬱とした日々に一筋の光が差して、手を伸ばした先に、君がいる世界が広がっていた。
第八話「愛に変わった日~救世主の再臨~」
暑いばかりの夏も過ぎ、秋桜の咲き誇る秋の季節。
学園祭が近づき、本格化していく準備の中で、私は後輩たちとも協力して、一緒に学園祭の準備に取り組んだ。
樋坂君はというと、すっかり生徒会の中に溶け込んで、後輩たちとも一緒に仕事を手伝ってくれている。
学園祭準備の最終日は学園内でのお泊りも許されていて、申請を出せば、各クラス学園祭の準備のために学園に泊まることが許される。
だが、そんな特別な一日を甘いイベント一つなく過ごした生徒会一同。
生徒会は会長の引っ越しに伴う転校騒動を乗り越え、なんとか学園祭の日を迎えられることになった。
トラブル続きで奔走した日々、それももうすぐ終わる……、私は過ぎ去る日々に感慨深さを覚えるとともに、その後、どうなるのか、そんなことも少しずつ考え始めるようになった。
三年生になる前には後輩たちに任せて身を引く、それが通例であるから、私があれこれ後輩に向かって指示を出すのも、これを最後にするのがいいのかもしれない、そんなことを考える。
その先に向けて後任人事のことをいずれちゃんと考えなけばいけないんだけど。今はそこまで頭が回らなかった。
、今はそれに、もう少し自分のために時間を使うのもいいのかなと思い始めていた。
興味はあっても、時間の都合で置き去りにしてきたことだってある。
でも、そう思っても素直になれない理由もあった。
樋坂君とは生徒会を通じて一緒にいたから、生徒会から離れることで関係が途絶えてしまうかもしれないと心の奥でずっと恐れていた。
私は樋坂君のことを……、そんなことを考え始めるとどうしようもなく胸が苦しくなる。
そんな風に思うくらい、私の中で彼の存在は大きくなってしまっていた。
でも、どんな結果になったとしても、私は後悔のないように学園祭を過ごそうと、心に決めた。