第七章「舞い降る雪のように」4
強引に浩二を追い出した後、一人になった後で、羽月は何も分からない混濁の意識の中に落ちた。
それから時が過ぎ、次に意識を取り戻した時には、深夜4時を過ぎていた。
「私、いつから寝てたのかしら……」
何故か床で倒れていて、あまりの寒さで目が一気に覚めた。
「一体、何してたのかしら……」
何があったのか思い出そうとするが思い出せない。
遊園地に行って帰ってくるところまでははっきりと思い出せる。
でも、そこからの記憶が酷く曖昧だ。
私は考えても思い出せないので、寒さのあまりエアコンの暖房を付けて、とりあえず顔を洗って着替えることにした。
部屋が異様に荒れている、一体何があったんだろう? 地震でもあったのかな? それで頭でもぶつけて記憶が曖昧なのかな? それなら今の自分にも説明が付くけど、よく分からない。
「掃除しないとな……、せっかく早起きしたし、学園に行くまでに終わればいっか」
私は洗面所に入ったところで、どうせならシャワーでもと思ってシャワーを浴びて、着替えまで済ませて部屋へ戻ると、改めて思った、このままにしておくわけにもいかない。
いつ終わるとも分からない掃除を開始し、さすがに学園に行くまでに全部片づけるのは大変なことに気づき、キリのいいところまで終わらせて、また学園から帰ってきたから続きをすることに決めた。
必要なものと必要のないものに分けて、必要のない物をどんどんごみ袋に詰め込んでいく。
一個一個確認して、いらないやと思って捨てていくと段々、殺風景な部屋になっていった。
「あれ……、私の部屋ってこんなだっけ」
気づけば学園祭の前の部屋みたいに生まれ変わっていた。
「そっか、浩二と別れたんだった。それは学園祭の前みたいになって当然か」
よくわからないけど、それで全部自分の中で納得してしまった。
部屋から物が減ってスッキリすると、どういう訳か気持ちが楽になった。
「ふふふっ、なんでだろう、笑えて来ちゃうっ、ちょっと面白いかもっ」
何だか生まれ変わったような気分になって、妙に心地よかった。
気づけば朝日が昇っていたのか、カーテンの隙間から光が漏れている。
私は、せっかくだからとカーテンを開いて、換気のために窓を開けた。
「あれ、なんでこんなところに……」
ベランダを開けて、驚いた。
そこには“猫が血まみれになって死んでいた”
ありえないと思い、瞬きをしてもその姿に変わりなくて、本当に猫が遺体となって横たわり死んでいるのだと分かった。
「誰の飼い猫だろう……、酷いことするなぁ……」
首輪が付いているからすぐに飼い猫だと分かったが、どこから一体ベランダに入ってきたかは分からなかった。
猫はベランダを渡ってくるくらい簡単だろうしと自分を納得させるとホースで血を洗って、亡骸となった猫の死骸を黒いごみ袋に片づけた。
私はごみ袋をすべてアパートの集合ごみ置き場に投げ捨てると、ようやく一段落したと思い、コーヒーとコーンフレークを食べた。
「すっきりしたなぁ……、さすがにベランダに猫の死骸があるのはびっくりしちゃったけど」
いつから食事を摂っていなかったのか、分からなかったけど、凄く空腹だったらしい。食べ始めるまで自覚症状がなかったなんて、ちょっと恐ろしいかも。
「ふふふっ、変なの。急に食欲湧いてきちゃった」
私は食欲が湧いたのでポテトサラダも一緒に食べた。
「まだ、時間あるし、散歩でもしてこようかな」
時計の時刻を見ると、まだ6時前だった。
私はメイクを済ませて、眼鏡を掛けると、散歩に繰り出した。




