第七章「舞い降る雪のように」2
朝になっても何もする気になれなくて、学園に向かう気力もなくて、食欲も湧かないまま私は学園をさぼって、ただ無気力に一日を過ごすことにした。
「たぶん、酷い顔してるだろうし、行かなくて正解だよね……」
鏡を見る勇気もなかった、時計を確認するが何時であろうと今の私には関係ないと踵を返した。
私は寒さに震えて、シャワーを浴びる気分にもなれず、再び布団をかぶって丸くくるまって、思い出すように孤独を実感し、また溢れる涙が止まらなくなった。
*
大事をとってもう一日真奈は入院することになって、病室にそのまま真奈を残すことにして、面会を続けた三人は家へと帰った。
結局、一睡もしないまま三人は支度を済ませて、学園へと向かった。
学園に行って、一日の授業が全部終わっても、羽月が登校してくることはなかった。
「羽月さん、来なかったね。羽月さん、皆勤賞だったのに……、やっぱり、昨日の事、引きずってるのかな……」
羽月と仲の良い唯花は心配そうだった。
「俺、帰りに家に寄ってくるよ」
心配で居ても立っても居られない浩二がそう言うと、唯花は驚いたようだった。
「えっ?! 身体に悪いよ、浩二だって昨日寝てないでしょ? 帰って休まないと身体壊しちゃうよ。真奈ちゃんの事も、後で迎えに行かないといけないのに」
「大丈夫だよ、さっきまで寝てたし」
「そういう問題じゃないでしょ……」
確かに昼休みも授業中も寝ていたけど、と思いながら唯花は言った。
「いいんだよ、嫌な予感がするんだよ。連絡しても出ないしさ」
昼休みにも浩二は連絡したが、羽月からの連絡は現時刻になってもきていなかった。
「そっか、心配して当たり前だよね……、浩二にとっては二人とも大切な人だもんね」
「当然だろ、唯花もな。授業中も起きてたんだから、帰って休めよ、真奈の迎えには俺が行くからさ」
「うん、無理しないでね……」
浩二は唯花が普段から授業中は寝ずにちゃんと勉強している優等生である事を知っていた。今日のような日でもそれは変わらないということも。
こうした、これまでの習慣を変えず動じない平静なところが、浩二は唯花の強さだと思っている。
「あぁ、行ってくるよ。唯花、真奈のそばにいてくれてありがとうな。唯花がいなかったらと思うと、怖くて考えられないよ」
「そんなに気にかけてくれてたんだ……、いいのよ、真奈ちゃんの事、私は家族だと思ってるから。私のことは、今はいいから。行ってきてあげて」
そこで会話を終わらせて、唯花に見送られながら、浩二は羽月のいるアパートに向かった。




