第五章「本当に大切なこと」2
日々の経過と共に季節は流れていく。
クリスマスもお正月も。
寒い季節が続いて、吐く息が白く染まって、分厚いコートを着込んで歩く人々が街に溢れて、すっかり冬になったことを伝えてくれる。
雪が降ると、誰よりも真奈ははしゃいで、両手を広げて嬉しそうに駆け回っていた。
羽月の誕生日の日に、浩二と羽月は遊園地に行く約束をした。
市外に出ることはなかなかなかったが、これを機会に遠出もいいだろうということになった。
浩二は羽月からのプレゼントである毛糸のマフラーを巻いて、誕生日プレゼントをデートの前日に買いに行った。
羽月に似合う物をと思って悩みながら手が届きそうなイヤリングを買って家に帰る。
明日のことを考えると何もかもが楽しみで、羽月の喜ぶ顔が見られるのが今から楽しみだった。
「おかえりなの、おにぃ」
家に帰ってくると一番にこの季節柄、暖かさそうなセーターを着た真奈が迎えに来てくれる。
「おう、ただいま」
浩二は真奈に会えた嬉しさのあまり両手で頬に触れた。
「うにゃ! おにぃ、やめー! それ、つめたいのにゃ!!」
寒空から帰って来たばかりの浩二の手は冷たく、頬を触れられた真奈は嬉しそうにはしゃぎながら、つめたいつめたいと言葉をこぼした。
「真奈、ちゃんと休んでたか?」
浩二は出かける前、真奈が微熱を出していたこともあり心配していた。
「あったかくして、おふとんにくるまってた」
ちょっとまだ目も充血していて、髪も乱れていて、パジャマ姿の真奈がまだ本調子でないのが浩二にも分かった。
「お昼はまだか?」
「うん、ずっとお部屋にいてたのにゃ」
「じゃあ、元気付けるためにも、一緒に食べるか」
そういって浩二は真奈をダイニングの連れていき座らせると、一緒に昼食を取ることにした。
いつもほどの食欲も元気もない真奈が心配だったが、とりあえず美味しそうに食べてくれたので、浩二は一安心した。
「おにぃ、プレゼント買ってきたの?」
真奈は事前に羽月の誕生日ということで明日兄が出掛けていくことを聞いていた。
それに、さっき帰ってきた浩二がとても嬉しそうにしていたことも真奈は見逃さなかった。
きっと、明日のことが楽しみでたまらないのだと、それがすぐに分かった。
「おう、買ってきた、明日渡してくるよ」
「楽しみだね。きっとよろこんでくれる」
「うん、真奈にもお土産買ってくるよ」
「本当? 冬はやっぱり甘いチョコレートがいいのだ!」
真奈は冬の場合はチョコレートが溶けないので、チョコレートを買ってくると喜ぶ。
浩二は一人、家で待つ真奈が喜んでくれるのならと、お土産を買って帰ることに決めた。
日々を過ごしながら、時が過ぎれば、恋人同士であることも受け入れられる、そういうものなのだろうと浩二はひっそりと思った。




