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モテモテで修羅場な私の日常(百合)  作者: みりん
そして始まる新たな関係
24/25

雫先輩と噂


 朝、学校に来るととある噂が耳に入る。

 学園のお姫様、月城雫に彼氏が出来たと。


「ねえねえ、シノ聞いた? 月城先輩に彼氏出来たって。シノ、いつも昼ご飯一緒に食べてるし何か知ってる?」


 恵美が登校して早々に私に質問してくる。


「え、それ本当?」

「うん、今すごく噂になってるよ。今まであの人、男子との噂が出たこと1回もなかっただけに。月城先輩、学園の高嶺の花的なところあったからね」


 私たちの関係を内緒にするって決めたのはつい数日前の話。

 

 いや、さっそくバレてますがな。

 いくら何でも早すぎないか?


 いや、、でも彼氏って話だから私とのこととは違うのか。

 とりあえず、雫に話を聞かないことにはわからない。


「優、何やら月城先輩のことがすごく噂になってるな」

「そうだね、凛。ホームルームまで時間あるし見に行ってみる?」

「そうしてみるか。私も気になるしな」


 凛と話し合って雫先輩の教室に行ってみることにする。



   ***



 雫先輩の教室の前にたどり着く。

 教室の中を覗くと雫先輩が自席で何かの雑誌を読んでいる。


 その周りには、雫先輩を遠目に見ながら様子をうかがっているクラスメイト。

 その話し声がこちらまで軽く聞こえてくる。

 雫先輩は一切、自分が噂されていることに気づいていないみたいだけど。 


「月城さん、やっぱり彼氏できたのかしら?」

「出来たっぽいよね。私この前携帯見つめながら幸せそうな顔をしてる月城さんを見たわ」

「私もこの前おすすめのデートスポット聞かれたわ。ついに、学園のお姫様にも彼氏か……」

「それにしても、なんであんな雑誌読んでるのかな?」


 雫先輩が雑誌を読んでいるのが、そんなに珍しいのだろうか。


 うちの高校は雑誌とかの持ち込みは禁止されていないはず。

 漫画誌やファッション誌を誰かが読んでる姿はよく目にする。


 まあ、いままで雫は小説とかしか読んでなかっただろうし、雑誌を読んでいる姿が珍しいだけかな?

 それにしても、何を読んでるんだろうか。

 気になって、タイトルを見ようとしたら__


「ゼクシィいいいいいいい!」


 大きな声がクラスの違う方の入り口から聞こえてくる。


「__っ!? 急に隣で大声出してどうしたのよ、カレンさん」


 大声で雫が呼んでいた雑誌名を叫びながら、雫のもとに詰め寄るカレン。

 

 カレンも噂が気になって来ていたのだろう。

 

「なんでそんなもの読んでるんですか!」

「ん? 恋愛知識を蓄えようと思って。どうしたの?」

「いや、そんな私は普通ですけど? みたいな雰囲気を出さないでくださいよ。女性誌とかファッション誌とか読めばいいじゃないですか!」

「いや、本屋で何を買えばわからなくて迷っていたら結婚とか書いてあったから、恋愛関係の本だと思ったの。それにこれを見て、カレンさん」

「一体、なんですか?」

「婚姻届までついてるのよ」


 ドヤ顔で婚姻届を見せる雫。


「それがどうしたんですかぁあああああ!」

「さっきからそんなにイライラしてどうしたのよ? 朝だから低血圧なの?」

「とりあえず、その雑誌をすぐにしまってください。お願いですから」

「……まったく、そんなに言うならわかったわ」


 やれやれといった様子の雫先輩。

 

「それで、なんで1年生のあなたが私の教室にいるの?」

「いや、シロ先輩に彼氏が出来たって噂になってたから気になって」

「あら、そんなの勘違いじゃない? 私、男性と2人きりでどこかに遊びに行ったりなんてしてないわよ」


 そんな根も葉もないことをいってどうしたの? といった様子で勘違いだと主張する雫先輩。

 これだからカレンは……とでもいう、少しカレンを見下した感じの様子の雫先輩。


 あ、カレンがキレそうになる自分を必死に押さえつけている。

 頑張れ、カレン。耐えるんだ。


「いや、もうだいたい分かったんで大丈夫です。ちなみに、クラスメイトに恋の相談とかしてないですよね?」

「してないわ。強いて言うなら、隣の席の子におすすめのデートスポットとか聞いたくらいね」

「……昼休み、覚悟しててくださいね」

「?」


 昼休み、カレンが荒れそうで大変だ。


 私と凛は、そっとその場をあとにする。


 

   ***



「シロ先輩、あなたの彼氏の噂がすごい出回ってるんですけど。こっちまで視線を感じるんですけど。迷惑なんでしばらく自分の教室でお昼を食べてくれませんか」

「人の視線なんて気にしたら負けよ。それに、噂程度で生活に悪影響なんて出ないわ。気にしすぎると肌が荒れるわよ」


 あー、空気がまずい。

 2人がバチバチだ。


「まあ、2人とも落ち着いて。雫先輩は噂されてるの大丈夫なの?」

「あら優さん。心配してくれてありがとう。でも、大丈夫よ。むしろ面倒な告白が減って助かるわ」

「ならいいですけど……」


 その時、チャイムから呼び出し音。


 ピンポンパンポーン

『3年B組の月城雫さん。質問したいことがあるので職員室まで来てください』


「あら、何かしら? 少し行ってくるわね」


 ~15分後~


「月城先輩、何があったんですか?」

「いや、何故か不純異性交遊について担任から聞かれたの。なぜかしら?」

「まあ、それは仕方ないんじゃないですか……」


 凛がどう説明しようか頭を悩ませている。

 教室のど真ん中であんな雑誌を読んでたら無理もない。


「私は異性と不純なことをするつもりないのに……」


 そういう問題でもない。


 その後、私たちが昼ご飯を食べているところに恵美が来る。


「月城先輩。先輩に彼氏がいるって本当ですか?」

「いないわよ」

「じゃあ、好きな人は?」

「それはもちろん優さん。優しいし、私のことをいつも見ててくれるわ。それに、いつも困ったときに助けてくれるのよ。それに__あ、好きな人はいないわ」


 手遅れである。


「シノのことが本当に好きなんですね。じゃあ、好きな男性はいますか?」

「いないわよ」


 まあ、普通は女性が好きとは思わないか。


 その後、恵美が雫に付き合っている人がいないと周囲に広めたおかげで噂は割とすぐに収まった。

 だけど、代わりに結婚相手を探しているっていう噂が流れて、ひと波乱あったのは別の話。

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