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モテモテで修羅場な私の日常(百合)  作者: みりん
そして始まる新たな関係
23/25

奈々さん襲来

 

 奈々さんからメッセージが送られてきて、しばらくたったあと。


「すいませんでした!」


 私は奈々さんの前で土下座をしていた。


 どうしてこうなった?



   ***



『そういえば、凛とはどうなったの?』


 夜に奈々さんからメッセージが届き、どうしようかと思案する。

 この人、全部を把握してそうなんだよな。


 とりあえず、無難に答えてみるか。


『おかげさまで仲良くやらしてもらってますよ』

『恋人になったの?』


 直球で聞かれる。

 まあ、そうだよね。そうじゃなきゃ、わざわざ聞いてこないよね。


『はい』

『それは良かったわ』

『ありがとうございます!』


 奈々さんは凛が女性と付き合うことに寛容なようだ。

 お祝いの言葉を頂く。

 よかった、よかった__


『で、他の娘とも付き合ってるんだって? (´・ω・`)』


 思わず吹き出しそうになる。

 凛に聞いたんだろうか。


 とりあえず、これは怒っているんだろうか? 

 誰か……お願いだから、この顔文字の意味を教えてください。

 顔文字って、感情の振れ幅がわからなすぎて怖い。


『既読無視?』

『見てるんでしょ?』

『ねえ?』


 続けざまにメッセージが送られてくる。 


 怖い怖い怖い。

 メンヘラ彼女かなにかかな。


 すると、すぐまた次のメッセージが届く。


『あたし、奈々さん。今、あなたの家の前にいるの』

『え?』

 

 メリーさんかな?

 恐怖レベルでいえば大差ない。


 少しすると玄関からインターホンの音がする。

 

 いくらなんでも早くない?

 メリーさんでももう何ステップかあるし、もう少し間をおくよ。

 心の準備がまったくできていない。

 

『あたし、奈々さん。今、あなたの部屋の前にいるの?』

『……おやすみなさい』


 今日もいい1日だった。

 部屋の鍵を閉めて、電気を消してと。

 おやすみなさい。


「ゆーうちゃーん、遊びに来たよー」

 

 抑揚がなく、平坦な声での呼び出し。


 どういう遊びをしに来たんだろうね。

 デスゲームじゃなければいいな。


「とりあえず、部屋を開けて欲しいな」

「……」

「……思いきり蹴ればいけるかな?」

「開けます、開けます。だから、扉を壊そうとしないでください!」


 発想がバイオレンス!

 それに、壊そうとするまでの切り替えが早すぎる。

 人間はコミュニケーション出来る生き物ですよ。


 まあ、これ以上奈々さんから逃げても仕方ないと部屋の扉を開く。


 すると、部屋の前には奈々さんが仁王立ち。


「優ちゃん、こんばんは。少しお話しようか」


 言葉での話し合いなら喜んでしましょう。

 だから、そんな怖い顔で睨まないで奈々さん。



   ***


「すいませんでした! でも聞いてください。凛のことをないがしろにするつもりはないんです」

「うんうん、それで」

「複数人と付き合うなんて不誠実かもしれません。でも、私なりに考えた結果なんです」

「そうなんだ、ならいいんじゃない」

「え?」


 もしかして、怒ってない?


「私は別に怒りに来たわけじゃないのよ。ただ少し話を聞こうと思ってね。勘違いさせたならごめんね。まあ、びびってる優ちゃんが面白くて悪ノリしちゃったけど」


 てへぺろといった様子でおどける奈々さん。

 この人はこういう人だった……。


「そもそも私は妹がヤクザとでも付き合わない限り、口を出すつもりないわよ。本人たちが納得してるなら勝手にすればいいと思ってるし」

「じゃあ、何を聞きたいんですか?」

「馴れ初めとか?」


 ケラケラと笑いながら答える奈々さん。

 この人は何を考えているんだろう?


「はあ?」

「まあ、本当は優ちゃんがどう考えてるのか知りたくなっただけよ。それに、どうせ何かあったら優ちゃんか凛が私に相談しにくるんだからね。多少、情報を共有しとこうかなって。そのほうがお互いにやりやすいでしょ」

「いろいろ考えてくれてたんですね。ありがとうございます」


 この人、なんだかんだで頭がいいからな。

 察しがよくて、頭もよく切れる。

 そのため相談相手にしやすい部分もあるが、相談したら隠したいことまで暴かれる。


「で、どういう経緯でそうなったの?」

「最近3人の女の子から好意を寄せられてたんですよ。まあ、その子達からいろんなアプローチを受けるうちに私もほだされましてね。でも、3人とも優しいからこのまま私が誰かと付き合うなんてことになれば自分から私と距離を置こうとするんですよ、多分」

「それで、それで」

「なら全員と付き合うのが1番いいんじゃないかって思ったわけですよ」

「わがままだねー」

「まあ、そういわれても仕方ないですね」


 そう言われるくらいは覚悟のうえだ。


「まあ、そういう状況でもないと優ちゃんが誰かと付き合ったりしないか。りょーかい、りょーかい」


 なにやら1人で納得した様子の奈々さん。


「話はそれだけかな」

「そうですか」

「まあ、なにかあったら相談にのるよ」

「そうしてもらえると助かります」


 頼るかどうかは別として、そう言ってもらえるとありがたい。


「じゃあ、私は莉子ちゃんで遊んでから帰るね」


 そう言って、私の部屋から出ていく。

 

 奈々さん、うちの妹のこと何故か気にいってるんだよな。

 警戒心の強い小動物っぽくて可愛いとのこと。


「りーこちゃーん、遊びましょ」

「今日はお姉ちゃんに用事があるんじゃなかったんですか。あいにく、あたしは忙しいんです。他を当たってください」


 奈々さんに対して、ツンツンな妹。


「__って、勝手に部屋に入ってこないでくださいよ」

「ゲームしよ」

「勝手に使っていいんで、1人でやっててくださいよ」

「え? いいの」

「いいですよ、別に勝手にやってくださいよ。ゲーム機ならリビングですよ」

「じゃあ、勝手にやらせてもらうね。今日は莉子ちゃんくすぐりゲームでもやろうかな?」

「え?」

「逃がさないわよ」

「ぎゃー、お姉ちゃーん助けて!」


 ごめん、妹よ。

 お姉ちゃんは、その人には逆らえないんだ。

 

 その後、莉子をいじれたからか奈々さんは満足した顔で帰っていった。


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