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モテモテで修羅場な私の日常(百合)  作者: みりん
私の修羅場な日々
16/25

私の悩み事と決意

コメディ少なめ


 学校のない土曜日。

 目覚めた後ベッドで横になりながら少し考え事。


 最近の私を振り返って思う。

 自分で思ってたより、私は優柔不断だ。


 最初は女性と付き合うことなんて、絶対に無理だと思ってた。

 だけど、最近はそんな関係も嫌でないかもと思う自分がいる。

 

 このまま3人の気持ちを保留しておくのにも罪悪感がある。

 うーん、1人で悩んでいてもきりがない。


 でも、こんな悩みを相談できる人なんていたかな?

 クラスメイトの恵美は余計なことをしそうだし、妹にこんなことは相談できない。


 記憶を探っていると1人の名前が思い浮かぶ。

 あの子がいたじゃないか!

 さっそく、私はその子と連絡をとってみる。



   ***



「お待たせしました、篠崎先輩」

「いやいや、今日は来てくれてありがとね冬花ちゃん」 


 私がファミレスに呼び出したのは冬花ちゃん。


「今日はどうしたんですか?」

「少し情けない話だけど、冬花ちゃんに悩み事の相談をしたくてね」

「カレンのことですか?」

「うん、大まかに言えばそう」


 相変わらず鋭い子だ。

 あれから一緒にカラオケに行く機会もあったけれど、彼女はすごく気が利くし周りが見えてる。

 それに聞き上手で、頼りがいがある。

 

 それに私とまだ仲が良すぎない。

 だからこそ、相談する相手としては最適だ。

 フラットな意見がもらえるだろうし。


「冬花ちゃんは女性同士の恋愛ってどう思う?」

「まあ、駄目とは思いませんね。でも、全肯定はできないですね」


 肯定も否定もせずって感じ。


「それはどうして?」

「私は付き合うことって、あえて定義するならたがいに互いのことを他の人より大切にしよう、優先しようっていう基本的に1人だけとしか結べない互助契約ごじょけいやくだと思ってるんですよ。それが学生なら契約内容は楽しい時間の共有だったりしますけど」

「確かに」


 冬花ちゃんの言う通りカップルとは一般的にそういうものだろう。

 逆にいえば、恋人は他の人よりも大切にしなければならない気がする。


 恋人と友人がいたときに、基本的に恋人を優先しようという人は多いだろう。

 程度に差はあるかもだけど。


「でも、それって女性同士で契約を結ぶ必要あるのかなって思うんですよ。息苦しくなるだけな気もして。特に学生だと。別に恋人にならなくてもいいんじゃないかって。1番の親友にでもなればいいんじゃないかって。女性同士の恋愛を否定したいわけじゃないですけどね。篠崎先輩は女性の恋人と友達がいたときに恋人を1番に優先できますか?」


 そう、問題はそこだ。

 異性の恋人なら、そもそもコミュニティが違う場合が多い。

 女性の友人と男性の恋人は基本的にまったく違うもの。

 どちらも違うものとして両立できる。

 

 でも女性の恋人と友達ならどうだろう?

 私自身、友達は女の子しかいない。

 私が誰かと付き合うなら、その人のことをある程度は優先しなければならない。

 そうなったとき、上手くできるだろうか。


 実際、そんなに重く考えるものでもないかもしれない。

 だけど、もし誰かと付き合うなら、私自身がカレンに手を取られることに、凛と肩を寄せ合うことに、雫先輩に抱き着かれることに罪悪感を覚えてしまうだろう。

 誰かと近い距離になることに抵抗を覚えてしまうかも。


「じゃあ、今からする質問に真面目に答えてもらっていいですか?」

「わかった、いいよ」


 真面目な顔をした冬花ちゃんに問われる。


「篠崎先輩は、カレンにキスされて嫌だと思いますか?」

「別に嫌ではないかな……」


 嫌ではないな。されたいって思うかどうかは別として。


「じゃあ、カレンにキスしたいと思いますか?」

「それはあんまり思わないかな」


 キスされるのは嫌じゃないけど、自分からカレンにキスしたいって思うことはない……はず。


「カレンが他の人にキスをされたらどう思いますか?」

「嫌ってほどじゃないけど、モヤッとはするかも」


 自分に懐いた子猫が、他の人にメロメロになってる感じかな。

 寂しく感じる気がする。


「じゃあ、近い距離で接するのは嫌じゃないんですね。それなら、とりあえず付き合ってみてもいいんじゃないですか? カレンと恋人になってみてなんか違うかもって思ったら別れればいいんですよ」

「恋人になってみてか……」

「なにも恋人だから最初から大切に出来るかっていったら違うと思いますし。もともと、赤の他人ですからね。それに、それまでの互いの人間関係もありますから。2人で過ごして大切に出来るなって思ったら真剣に付き合えばいいんですよ」


 まずは付き合ってみる、か。


 そういえば、冬花ちゃんに重要なことを話していなかった……。


「……言いづらいんだけど、私3人から好きって言われてるんだよね」

「はっ!? 何ですかそれ???」



   ***



 そこから冬花ちゃんの怒涛の質問攻めにあう私。

 大体の事情を聞いた冬花ちゃんはしばらく思考したあと口を開く。


「いや、確かに図書室であの先輩との距離近いなって思ったし、凛先輩も篠崎先輩のことをやけに嬉しそうに話すとは思ったけど……。さすがに予想外ですよ。カレンとの恋愛相談だけだと思ってました」

「なんかごめんね……」


 こんな3股クズ野郎の悩みを真面目に考えてくれるなんて、本当に申し訳ない気持ちになってくる。


「だったら結局、篠崎先輩はどうしたいんですか? 1番、大事なのはそこですよ」


 私はどうしたいんだろう。

 3人とは仲良くしたい。3人との時間はどれも大切なもの。

 キスもされた今となっては、付き合うことへの抵抗もだいぶ減っている。

 もともと男性が苦手だったし。


「結局、私は3人との時間が好きなんだ。1人に告白されただけなら真剣に悩んだ後に付き合ってたかも。ただ、どうしてもその中から1人を選ぶことが出来ないんだ」

「どうしても?」

「うん、散々悩んだけど」


 冬花ちゃんに呆れたような表情で見られる。


 カレンといると元気をもらえる、凛といると暖かい気持ちになれる、雫先輩は安らぎをくれる。

 どれかを選ぶことが他を捨てることになるのなら選べない。


「出来ればこのままの関係でいたい。だけど、告白されてる以上、このままでいるのは不誠実に感じるんだよね」

「まあ、それは無理ないですね」


 3人と今までみたいに仲良く過ごせる。

 そんな関係があれば楽なのに。


「なら、あとはもうオールorナッシングですね」

「どういうこと?」

「ハーレムor全員振るですね」


 冬花ちゃんから身もふたもない衝撃の提案がされる。


「先輩が1人を選べないなら全員と付き合うか、全員振って友達として仲良くするか。2択ですね」

「全員と付き合うなんておかしくない?」

「いや、現代日本だと女性同士で付き合うこと自体がおかしいことですもん。今更ですよ。私はそんな関係があってもいいと思うんですよ。面白そうですし」


 この子、私の状況を楽しんでるな。

 しっかりと考えてはくれてるみたいだけど。


「冬花ちゃんはカレンの味方じゃないの?」

「味方ですよ。でも、先輩の味方でもあるつもりです。今日は、先輩の味方で来てますからね。あとでカレンにごめんねって謝れば解決です。それに私は愉快ゆかいの味方です。楽しそうなほうに全力投球です」


 ちゃっかりしている。

 だけど、嬉しいことを言ってくれる。


 冬花ちゃんとは、これから長い付き合いになるかもな。

 もちろん、恋人じゃなくて友達としてだけどね。



   ***



「今日はありがとね」

「いえいえ、ゴチになりました」


 冬花ちゃんと別れて帰路につく。

 その後、冬花ちゃんとの会話を思い出しながら私は今後どうするか、どうしたいかを考える。


 そして、1つの決断をする。


次に閑話を挟んで2章終わり。


恋愛観は人それぞれ!

不快に思った方がいたらすいません。

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