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モテモテで修羅場な私の日常(百合)  作者: みりん
私の修羅場な日々
11/25

クラスメイトと昼休み

日常パート


 朝から疲れた……。

 あのあと1年と3年の教室が上階にあるのもあって、雫先輩とカレンは言い争いながら階段を昇って行った。

 何だかんだ仲がいいのか悪いのか。

 

 その代わり、今は凛が私の腕に抱き着いてる。

 やっとそれらしいことが出来た……と嬉しそうに呟く凛。くっかわ!

 

「よっす、シノ。今日はいつにもましてあさりんと仲良しだね。なんかあった?」


 話しかけてきたのは、去年も同じクラスだった渡良瀬恵美わたらせえみ

 誰にでもフレンドリーで活発な少女。

 私のことを苗字みょうじの篠崎からとってシノ、凛のことを苗字の朝海と合わせてあさりんと呼んでいる。


「実はだな、私が優に告は__んぐぅ!?」

「ちょっと待った、凛」


 慌てて凛の口をふさぐ。

 私はクラスで悪目立ちしたくないんだ。


「こくは? どうしたの?」

「凛が私に酷薄こくはくな人間に襲われそうになってるのを助けてくれたんだよ」

「え、それ大丈夫だったの!?」


 苦しい言い訳だけど恵美なら大丈夫だろう。

 この子、割と頭が弱いから。


「大丈夫、大丈夫。無問題モーマンタイ

「それにしても、そんなに凛と密着するとまた小説のネタにされるぞ。ただでさえ優と凛のカップリングは人気なんだから」

「え? 何それ」


 気になるワードが聞こえたんだけど。

 私と凛のカップリングとは?

 これは詳しく問いただす必要がありそうだ。


「やっば、これ言っちゃいけないんだった。忘れて」

「詳しく教えなさい、恵美」

「あ、ホームルーム始まっちゃうよ。席に戻らないと。凛のことも早く離してあげないと息苦しそうだよ」

 

 そういって、自分の席へと逃げていく恵美。

 ずっと凛の口を押さえたままになっていた。


「あ、忘れてた。ごめん、凛」

「__ぷはっ! 大丈夫だ、優。こちらこそ不用意なことを口にした」

「出来ればでいんだけど、凛が私に告白したってことは学校では内緒にしてもらえると助かるんだけど」

「ああ、わかった」

「ありがと、凛」


 凛に告白されたとなると、うちの高校になぜかある凛のファンクラブの人たちに怒られそうだしね。

 凛は女子から人気だ。噂ではうちの高校の女子の半分がファンクラブに加入しているらしい。

 そして、何故かファンクラブ会長は私。なぜだ。

 あなたこそ会長にふさわしいと言われ気づけば会長になっていた。


 実は、このとき朝海凛が男性と付き合うのは許せない。けれど、他の女性に付き合われるのは嫌。

 そんな会員たちが篠崎優なら許せるといった考えに至って、優と凛のカップリング信者としていたのを私たちは知らない。


 まあ、そうなった大きな原因は凛の笑顔が私の近くで1番輝くからだったらしい。



   ***



 授業が終わり昼休み。

 各自、購買に向かったり弁当を取り出したりする。

 私も購買に向かおうと席を立つが、恵美に捕まる。

 

「一緒に購買に行こうぜ、シノ。あ、また胸が大きくなった? わしわし」

「……っ!? ちょっと、恵美」


 恵美は相変わらず距離が近い。私は胸を揉まれることに対してそんなに怒らないけど……。

 教室の外で雫先輩とカレンが弁当片手にこっちをにらんでいる。


「あのアバズレは誰ですかね。月城先輩」

「あのビッチは誰でしょうね。星宮さん」


 やっぱりあの2人って仲がいいよね。

 息がぴったりだ。

 

 ものすごい圧を感じる。


「あれ? なんかあたしすごく教室外の美人2人ににらまれてる気がすんだけど……これって気のせい?」


 気のせいだといいね。

 ご冥福をお祈りいたします。


「まあ、いっか。よし、じゃあ購買行くぞ。レッツラゴー」


 私の腕を引いて教室の外に出ようとする恵美。

 なんか2人の雰囲気が怖いし、私もしれっと購買へと向かおう。 


 教室を出てすぐに両肩をがしっと捕まれる。

 あ、やっぱり。


「優さんには、弁当を作ってきました」

「アタシも作ってきました」

「モテモテじゃん、シノ。じゃ、あたしは購買へと急ぐぜ。また後で」


 二人の雰囲気に不穏なものでも感じたのか、恵美はすたこらさっさと走り去っていく。


 この薄情者!


「先輩、どっちの弁当食べます? アタシのですよね」

「優さんは私の弁当を食べますよね? ね?」

「わ、私も弁当を作ってきたんだが……」


 凛も参戦する。

 雲行きが怪しくなってきたぞ……。


「わー、全部美味しそう」

「無理しなくていいんですよ、優さん。私の弁当だけで大丈夫ですよ?」

「栄養に気遣ったアタシのヘルシー弁当をどうぞ、先輩」

「朝、早起きして頑張って作ったんだ。少しだけでもまんでくれ、優」


 ここで1つを選ぶと揉めそうだ。

 場を収めるためにも、これは3つとも食べなきゃだね。

 しゃーなしだな。覚悟を決めよう。


「わ、わーい。全部もらおうかな。私はこう見えて大食いなんだ」

 

 1つ1つ弁当を見ていく。

 雫先輩は和食系のバランスいい弁当、将来はいい奥さんになりそうだ。

 カレンは野菜中心のヘルシー志向の弁当、健康と美容に良さそう。

 凛は可愛らしい弁当、ご飯の真ん中には桜でんぶでハートマーク。あら可愛い。でも、恥ずかしいから次回からは止めてもらおう。

 ベbb等1つとっても、1人1人の個性が表れている。


 さあ、いただきます。



   ***



「美味しかったよ……」


 なんとか食べきった……。

 もう動けない……。


 でも、味はどれも本当に美味しかった。


「優さん……あんまり優さんに無理させるのもあれだし、次からは順番に作ってくることにしましょうか……」

「そうですね……」

「賛成だ……」


 雫先輩、お気遣いありがとうございます。


 さすがにきつかったので、明日からどうしようかと思っていたところだ。


「で、優さんはどれが1番美味しかった? あ、優さんが選んだ人が優さんと週末デートしてもらえるっていうのはどうかしら?」

「いいですよ、先輩はアタシのを選ぶはずです!」

「わかった。私も弁当には自信がある!」


 え?


「それぞれ違う美味しさがあって良かったよ」

「強いて言うなら?」


 え???


 答えろと真顔で圧をかけられる。

 迫力たっぷり。


 これは1つ選んで答えるしかないだろう。


「まあ、本当にあえて選ぶなら凛のですかね。私の好みを全部理解してるみたいで味付けがぴったりでした」

「よしっ!」

「「……くっ!?」」


 凛が小さくガッツポーズ。

 雫先輩とカレンが悔しがる。


「次は先輩の放課後を賭けて勝負です!」

「乗ったわ」

「人を勝手に賭博対象にするなー!」


 私の明日は前途多難である。

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