序章
――気が付くと、乙女ゲームの世界で生きていた。
あるとき、ふと気が付いた。
ここって、前世でやりこんだ乙女ゲームの世界じゃない?って。
私は、乙女ゲームの主人公では無かった。
主人公マリア・メイヤーのライバル令嬢の一人だった。
私の名前は、グインネヴィア。
魔法学園の二年生。
グインネヴィアは、生徒会長ランスロットの婚約者である。
生徒会に所属し、総務を担当している設定だった。
この世界で生きていくにあたって、グインネヴィアには多少の不安材料があった。
主人公マリアがランスロットと結ばれると、私は破滅する。
魔女であることを理由に、婚約破棄を宣言されたうえに、学園を断罪追放されるのだ。
でも私は、前世でこのゲームをやりこんだ記憶を持っている。
生徒会長ランスロットの攻略難度が高いことを知っている。
主人公が生徒会に所属しなければ、ランスロットの攻略はほぼ不可能なのだ。
私は、主人公が生徒会に所属しないように立ちまわるだけで、破滅を回避できるだろう。
さらに、グインネヴィアは『魔眼:人心操作』を持っている。
グインネヴィアが魔眼の魔女であることは、学園生徒には秘密である。
この魔眼が原因でランスロットに断罪されることになるのだが、ばれなければ問題ない。
ゲームは、新学期の四月から始まり、三月でエンディングを迎える。
ふふふ。なんだか楽しくなってきましたわ。
さぁ、乙女ゲームを始めましょう。
こんなの乙女ゲームじゃない!って、思った方は『星1』でも入れてあげてください。