自白・1
不定期更新、稚拙な文章・ストーリーではございますが。どうぞよろしくお願いします
…私は、余りにも酷い末路を辿った。
主観的ではあるが、そう思える。
少しの間、私の自分語りに付き合って欲しい。
私は、とある国の山間部に存在する古都。そこの警官隊に所属していた。
何の事件もないこの古都では、退屈な仕事ではあったが。
私は別に頭が特別良かった訳でも、何か特別な技能があった訳でもない。
その中で、警官隊の中でも高い立場にいられたのだから……。
だから、その生活には満足していた。
話は変わるが、私には、たった1人の肉親で、十八になる可愛い妹と、信頼出来、私には無い特別な医療の才能を持つ親友が居る。
私の親愛なる二人が恋仲にある。そう知ったのはこの二人が結婚をする二ヶ月前だった。
突然知らされたその真実に淑女らしからぬ狼狽えを見せている所に
『来月結婚します』
だなんて言われれば、当然気絶する。
目覚めた時には頭が冷えていて、少し冗談めかしく「いや認められん。」だなんて否定したが、私は自身の妹を預けるならばこの男ぐらいしかいない。
そう確信していた。
まぁそれはそれとしてゴネて結婚を1ヶ月先送りにしたが。
だって仕方ないだろう!?三年の間、私に黙って恋仲を続けていたんだぞ!?
…ごほんっ!咳払いを挟んで、まぁここまで長々しく話したが、とにかく私が言いたいのは。
──私はこの生活に満足していた。そういうことだ。
"あの事件"が起こるまでは。
この事件と、私の人生の終幕までの顛末を説明する上で、説明しなければならない組織がひとつある。
組織。それはこの古都の管理者にして、私達の、"私"の罪。
『真智教』
真理大主教と名乗る三人の黒いローブを身に纏った男達と、怪能力とでも言うべき異様な力や現象を扱う集団により構成された宗教。
その権威を示すような巨大な"大聖堂"は街の中心に存在する。
表向きは古都全体を賄うほどの大規模な炊き出しや、発達した薬学や医学で住民達を救っている組織。
だが…その実態は、古都の私を含む上層部だけが知っている。
大聖堂を入口として山間部の古都と隣接する2つの山の内部に広がる巨大な地下施設。
その中で行われる凄惨な、血に塗れた人体実験と兵器開発。
明らかなオーバーテクノロジーで構成された機械の数々を、私たちは知っていた。
人として大きく道を外れたその実験を、私たちは見逃した。
いや、見逃すだけではない、警官隊として本来は身を投げ打ってでも助けるべき市民達を、影で攫い、彼らにモルモットとして捧げてその人道なき行いに加担した。
警官隊 特殊部隊『人攫い』リーダーとして。
その異常と言ってもいいほど発達した医学薬学や、馬鹿げた性能を誇る機械の数々がなければ、まずこの古都は今の時代まで存在していない。
真智教と、この古都は大昔から密接に結びついており、古都の設立にも、真智教は関係している。
だから、私にどうにかすることなんてできない…
だなんて、理由にはならない。
私は知っている。血に穢れ、汚れきった私の手を。
私は聞いている。地下に連れ込まれた末、阿鼻叫喚という言葉すら生ぬるい叫び声を。
だが、そんな中、私は目を背けていた。見たくはなかった。私だって幼い頃に両親を失って悲惨な目にあった。
仕方がなかった。そう逃げていた。
だから、あの事件は天罰だったのだろう。
"血の白昼夜"
人型や、5mを超える全長を持つ謎の獣の古都を中心とした大量発生。
それにより、発生地の古都はもちろん、周辺の街の全てが崩壊。もしくは復興不可能なほどの未曾有の大打撃を受けた。
────古都を含めた周辺の街の生存者は0名。
察しのいい者達なら気づいているだろう。
血の白昼夢。これは真智教が起こした故意的なテロだ。
それにより、大幹部を初めとした真智教のメンバーも大量に死を迎えたことから、本当の上層部しか知らされていなかったのだろう。
それはもちろん、人攫いでしかない私にも、知らされてはいなかった。
なら何故故意的なテロだと知っているのか……だって?
焦らないでくれ。じっくりと、その話もしよう。
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