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俺は強いのか?

 村に着いた。村の入り口には見張りなのかな?若者が2人立っていた。見張りがシルバーウルフを見て驚いていた。


「ゲンゾーさん、シルバーウルフを倒したのですか。流石ですね」


「いや、我ら3人がかりでも逃げられるところだった。倒したのはこのカツヨリだ」


 見張りはカツヨリの事を上から下まで舐めるように見て、


「何を冗談を。子供ではないですか。それにシルバーウルフは首が切られている。ギリクさんの風魔法で切ったのでしょう」


 ギリクが答えた。


「信じられないのも無理はないが本当だ。俺の風魔法はかすり傷ぐらいしか付けられなかったよ。このカツヨリがすれ違いざま首をスパッと斬り落としたんだ。早すぎてどうやったのか見えなかった」


 見張りは改めてカツヨリを舐めるように見て、


「そこまで言うのなら本当なのでしょうが、おい、どうやったんだ?」


 見張りが上から聞いてきやがったので答えずにいるとゲンゾーが、


「カツヨリ、すまん。恩人に対しての無礼な振る舞いを許してくれ。おい、お前にはシルバーウルフの肉は食わさないからな」


「ええっ!そんなあ」


 見張りに無茶苦茶睨まれた。ざまあみろ、って感じだよね。ところでシルバーウルフの肉って俺も食えるのかな?


「カツヨリ。後で肉を食べるから一緒にな。まずは村長のところへ案内するよ」


 カツヨリとリコはゲンゾーに連れられて村長宅へ赴いた。村長の家といっても他の家と対して変わらんが、馬がいた。馬車らしきものもあった。村にはお店のような物はなく、街まで行かないと買い物とかもできなさそうだ。周囲の様子から考えるとどうやら畑と狩で生計をたてているようだ。さっきの会話からいっても裕福には見えない。



「村長。紹介します。我が逃したシルバーウルフを倒してくれたカツヨリとその妹のリコです。どうやら旅人のようですが記憶を失っているようです」


「村長様。記憶を失っているのは兄だけで、私は大丈夫です。ただわたし達はヤンギュー国のシュールという町に住んでいたのですが、突然青い光があたったと思ったらこの近くに草原にいたのです」


村長と呼ばれた男はカツヨリという名前に驚いた顔をしたが、落ち着いた声で話し始めた。


「ほう、記憶を無くすなんてそんな事が実際にあるのか。それにリコの話は不思議だが嘘をついているようには見えん」


「私嘘なんてついてません」


「いやあすまんすまん。そういう意味ではないぞ。ただそのような話は聞いたことがないしヤンギュー国というのも知らん。町の冒険者ギルドへ行けば何かわかるかもしれんが。カツヨリ殿。村長のモーリだ。村の者がお世話になったようで改めてお礼を申し上げる。ありがとう」


「カツヨリです。一晩お世話になります」


「リコです。12歳です」


「リコはもう戦える年齢じゃな。まあ今日はこの村でゆっくりされるとよい。明日、町へ馬車が行くので乗って行きなさい。ゲンゾー、そうだキールの家がいい。カツヨリ達の宿として提供しなさい」


「そうですね。あそこならいいと思います。カツヨリ、リコ、行こう」


「はい。お世話になります」




 キールの家に着いた。キールというのは最近シルバーウルフに殺された村人らしい。家に入ると18歳位の巨乳のお姉さんがいた。


「誰?あ、ゲンゾーさん。どうしたのですか?」


「リリィ、この少年はカツヨリと言って村の恩人だ。今日一晩泊めてやってくれ」


「ええっ!男の人を泊めるの!この人信用できるのですか?」


「ああ、妹のリコもいるぞ。仲良くしてやってくれないか、村長の命令だ。それとこのカツヨリは記憶をなくしている。色々と話をしてやってほしい。何か思い出すかもしれないからな」


「カツヨリと申します。すいません、何も覚えてないのでこの世界の事を教えていただけると助かります」


「この世界ってオーバーな。ところでカツヨリって本名なの?ゲンゾーさん。カツヨリってあの伝説の?」


 伝説?何だそりゃ?ゲンゾーは、


「カツヨリとリコはヤンギュー国の出身だそうだ。伝説はこの国だけなのかも知れないな。そうでなきゃカツヨリって名前はつけないだろう。そうだ、今日は皆でシルバーウルフの肉を食う、このカツヨリが仕留めたんだ」


「えっ、カツヨリって強いの?私強い男好きよ」


 急にリリィの目がハートになって上目遣いになった。カツヨリは答えた。


「わかりません。そうだ、シルバーウルフを倒した時にレベルが上がった感じがしたのですが、自分のレベルやステータスを知る方法はありますか?」


「ギルドには勇者が残した鑑定鏡というアイテムがあって、それを使えば自分のレベルを見る事ができる。ギルドに登録すれば使えるぞ」


 勇者?そんなのが過去にいたのか。誰と戦ったんだ?


「勇者という人がいるのですか?」


「勇者を知らないのか?ああ、記憶を無くしていたのだったな、すまん。リコは勇者を知っているか?」


「勇者ですか?聞いたことがありません」


「そうか。この国には誰でも知っている勇者伝説というのがあるんだ。500年前に突如現れた魔王を倒した勇者カツヨリの話だ」


 カツヨリは驚いて聞いた。


「ええっ!カツヨリという名は伝説の勇者の名前なのですか?それは皆さんが驚くわけですね」


「そういう事だ。勇者カツヨリは5人の仲間を従えて魔王を倒したという。そしてその5人の末裔がこの世界にある5つの国を治めている」


「勇者はどうなったのです?」


「魔王を倒した後、行方がわからなくなったらしい。それを悲しんだ人達が神殿を作り勇者カツヨリを祀ったのだ。だからこの国に生きる者で勇者カツヨリの名を知らぬ者はいない。俺が知っているのはここまでだ。町に行けばもっと詳しい人がいると思うぞ」


「リコ、聞いたことがあるかい?」


 カツヨリはリコに聞いてみた。勇者伝説が有名なら国が違っても何か知っているかと思ったのだが、


「聞いたことがないよ。ヤンギュー国ではそんなの誰も知らないんじゃない?5つの国というのはどこですか?」


「このラモス国、ナッツピー合衆国、ドロス公国、サンドラ共和国、そしてマルス国だ。君達のヤンギュー国は含まれていないね」





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