表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/154

闇の杖

 闇の杖。魔王専用の魔道具であり武器でもある。四天王グーリーが、ドワーフの力を借りて発掘し使用していたものだ。カツヨリはグーリーを倒した後、この闇の杖を装備できずにアイテムボックスに入れて持ち歩いていた。それが、ここで事件を引き起こした。闇の杖は、カツヨリがアイテムボックスを開いた時に主人である魔王を見つけた。そして魔王の元へ飛んで行ったのだ。


 ムサシが奥義をぶち当てる前に魔王アリエルが闇の杖を握った。その瞬間、闇の結界が発動した。闇の杖の特殊効果で、闇特性の者がこの杖を使うと発動する黒の領域だ。そしてムサシの奥義が当たったものの、闇の杖の全ステータス2倍の効果で軽傷で済んでしまった。しかも黒の領域の効果で瞬く間に回復してしまう。


 ムサシは一瞬気を抜いてしまった。まさかこういう展開になるとは思っていなくて意表を突かれた。そこに魔王の魔法が直撃する。


「エアースクリュー」


 リコのドリルストームに似た横方向の竜巻のような風魔法をまともに食らったムサシは、宙を飛ばされてカツヨリにぶつかって止まりました。カツヨリは支えきれず2人して倒れています。リコは慌てて駆け寄り回復魔法を使います。魔王アリエルは、余裕ができたようでまだ苦しんでいるゲーリーに話しかけます。


「ゲーリー、いやカツヨリ。あの変な大きいやつから出てきたのは誰だ?なんかお前に似ているようだが」


 ゲーリーは苦しそうにしながら答えた。


「あれが前に話したカツヨリだ」


「そうか。本当に来たのだな。さて、邪魔者もいなくなったし昔の武器も手に入った。まさかそのカツヨリが持っているとは。どういう縁なのか、不思議な事もあるものだ。それでは私は行くぞ。久しぶりに外へ出てみたい」


 そこにパージが立ち塞がる。両足がガタガタ震えているが、使命感だけで立っているようだ。


「貴様もダークエルフか。私に従え。力を与えてやるぞ」


「なんという事を。私はナッツピー共和国のパージ。魔族には屈しない」


 と、そこに今頃アンソニー皇子が部屋に飛び込んできました。怯えていて城から出れなかったのです。兵に催促されやっとの事で魔王城まできたところ、封印が破られたと聞き、渋々ここまでやってきたのでした。


「パージ、状況は?」


 アンソニーはそこまで言って周りを見たときに視界に魔王が入りました。女好きのアンソニーは一目で魅了されてしまいます。フラフラと魔王アリエルに近づいていきます。アリエルは妖美な笑みを浮かべながら、


「お前の名は?」


「アンソニー、この国の皇子です」


「そうか。私のしもべにしてやろう。国を私に寄越せ」


「お言葉のままに」


 パージが焦ります。


「皇子、しっかりしてください。ナッツピー共和国の使命を思い出してください。この女は魔王ですぞ、気をしっかりと」


 アンソニーは目がいってしまっている。魔法抵抗力のない者は魔王のスキル 魔魅了に抵抗する事が出来ないのだ。特に性的欲望の強い男ほど虜になりやすい。カツヨリの魅了とは効果が違う。


「パージ。余はこの女性を嫁に迎える。城へ戻るぞ」


 アンソニーは阿呆な事を言って魔王アリエルを伴って魔王城から出ようとしている。パージが止めようとするが妹のガーリーに阻まれる。


「兄上、魔王様の言う通りに。いえ、違いますね。皇子様の言う通りにしたらいかがですか?そうすれば兄妹争う事なく暮らせましょう」


「し、しかし」


 パージは困惑している。ただ自分の力では魔王の足元にも及ばない。抵抗したところでただ殺されるだけだ。だが、今まで生きてきた意味を否定されているようで、結局その場に座り込んでしまう。ガーリーはパージを置いて魔王アリエルについていこうとしていた。



 ゲーリーはやっと苦しくなくなった。魔王から奪った魔源が体から完全に抜けたのだ。苦しみの理由、それは魔族から人間に戻る過程の苦しみだった。そしてゲーリーは人間に戻っていた。ただ、今まで魔族として500年生きてきた反動がゲーリーの身体を襲う。気がつくと老人となっていた。それを見たカツヨリは元ゲーリーの老人に駆け寄る。


「魔族で無くなると老けるのか?」


「まさかこうなるとは。俺も詰めが甘い」


「お前は色々知っているのだろう。こっちはチンプンカンプンだ。教えてくれるのだろうな」


「俺たちはある理由で2つに別れた。だから1つにもなれるはずだ。手を出してくれる」


 カツヨリが手を出すと、元ゲーリーがその手を握った。すると眩しい光が2人を包んだ。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


「姫。この光、何か不思議な感じがしますぞ。暖かいというか」


 リコとムサシが見守る中、光が徐々に薄くなっていく。そして光が消えると2人のカツヨリが一つになっていた。年齢は25才くらいになっている。そしてその横には白い服をきた魔王アリエルに似た女性が立っていた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ