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勇者登場

 勇者、ではなく元勇者カツヨリこと魔族四天王ゲーリーは、龍に乗って魔王城上空に現れた。


「ビンビン感じるな。だいぶ魔源が集まってきているようだ」


 魔源が集まるとはどういう意味であろうか?木この魔王城にある木聖、ただのダンジョンコアではない。封印された魔王は周囲の魔源を吸収する能力を持っている。封印されてしまいその力はごくわずかになってはいるが、500年も経てばチリも積もればでそこそこたまる。


「だがまだ全然足りない。俺の貯めたダンジョンコアでも不十分だ。俺の計算ではあやつが来れば………… 」


 ゲーリーは魔王城近くの森で龍から降りた。


「ここまで運んでもらって助かったよ、龍神ドーラ」


「真の平和のためだ。時が近づいているのであろう。早く行け!」


「ああ、またな、と言いたいが多分次に会うときは俺だけど俺ではないけど俺だ、あれ?」


「母を頼む」


 それだけ言って龍神は去っていった。さあ、これからが正念場だ。





 リコ、コジローことカツヨリ、そしてムサシはパージからの話を聞いて考え込んでいる。コジローは思い出したように、


「400歳になるエルフと話をしました。その時に、エルフは生まれた時に木聖に挨拶をするそうなんです。そして挨拶をしたエルフだけが木聖に干渉できると。つまり、今生きているエルフは魔王城へ行っても何もできないと」


「その話は初めて聞きました。そうなのかもしれません。ですが、保証はない。リスクが高すぎます。リコ姫がエルフではないことはわかりました。ですがやはり魔王城へご案内する事は出来ません」


「何故ですか?」


「逆にお聞きします。何故そこまで魔王城へこだわるのでしょうか?目的は貿易なのでしょう」


 コジローは返答に困った。まさか俺がカツヨリだよーんとは言えない。そこに、伝令があらわれた。


「皇子、パージ殿。緊急事態です。龍が魔王城に!」


「なんだと!」


 龍から人が降り立ち魔王城へ入っていったという報告がありました。龍はそのまま飛び去り、降りた人は入り口の兵を眠らせて入っていったと。


「眠らされただと?固有魔法か?」


「わかりません。頬を叩くと簡単に目が覚めたそうですので傷つけるつもりはなかったのかと」


「何を呑気な!魔王城へすぐに軍を向かわせろ!皇子、私もすぐに向かいます」


 皇子は震えながら、


「いいのか?妹と会ってしまうかもしれんぞ」


「それは避けたいところです。最悪妹と戦わなければいけなくなるかもしれませんので。ですが、この500年の間に起きなかった事が起きているのです。リコ姫、すいませんが城でお待ちいただけませんか?」


 それを聞いたリコは、


「戦力が欲しいのでしたら私達も同行させてはいただけないでしょうか?」


「危険です。他国の方を巻き込むわけには」


「どうせ魔王が復活したなら同じ事です。それにこの国にない私の聖魔法は魔族に特別に効果があります。自分の身は彼らに護らせますのでどうかお願いします」


 パージはアンソニー皇子の判断を貰おうと顔を見た。完全に引き攣っている。今までは平和な国で自由に人生を楽しんできた皇子は、まさか自分の生きている時に有事が起きるとは考えていなかったのだ。とはいえ一応皇子である。責任感が動揺に勝ったようで、


「先程の聖魔法の力、是非お貸しいただきたい。パージ、俺も支度して後から向かう」


 と言って自室へ引き上げていった。パージはリコ達に向かって、


「すぐに馬車を出しますのでご用意を」


 それを聞いたコジローはアイテムボックス大から装備を出してその場で着替えた。ムサシもだ。


「すでに準備完了です。いつでも出発できます」




 馬車にはパージ、リコ、ムサシ、コジローが乗り、騎馬隊がその前後を進んでいる。その後を徒士が続いている。


「人数でどうにかなるもんなのか?龍に乗ってきたって事は龍人なんじゃねーの?」


「コジロー、控えなさい。私たちはあくまでも手助けをする側。指揮をする側ではありません」


 リコのやつ、あとでお尻ペンペンだ。それはともかくパージの強さはさっきの戦いで大体わかったけど、他の兵はそこそこやるのかね?到着するとパージが眠らされた兵達に質問ラッシュしている。


「なんで眠った?敵は何人だ?どんな奴らだった?龍に乗ってきたのは本当か?」


 兵達はオロオロしていたがその中で1人冷静に答えた者がいました。


「自分は魔王城門番主任のティムです。順番に説明させていただきます。空に何か見えると報告があり、そこにいるダンに見に行かせたところ龍から人が1人降りてきてこっちへ向かっている事がわかり、ここで対峙しました。其の者はゲーリーと名乗り、抵抗しなければ殺さないから通してくれと言いました」


「それで、通したのか?」


「我々は入り口の前に立ち抵抗しましたが、ゲーリーは笑ったと思ったら聞いたことのない詠唱をし始め、気がついたら寝ていました。睡眠魔法の類かと思われます」


「それでどんなやつだったのだ?」


「見た目は黒騎士、本で読んだデスナイトのようでした」


「わかった。休め!」


 パージは侵入者が四天王ゲーリーだと確信しました。つまり勇者カツヨリ、封印を解ける奴が侵入したと。

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