ダークエルフ
ダークエルフだって!確かエルフと魔族の混血だよね?魔王が木聖の力を利用しようとしてエルフが言う事を聞かないのでエルフとの子供を作ったっていう。コジローは我慢できなくてついパージに聞いてしまう。
「ダークエルフという存在がいる事はサンドラ国でエルフから聞きました。姫の装備を疑っているようですが姫の実力を知ったエルフの女性に教わったのです。姫は3属性に加えて聖魔法が使えます。その才能を活かすためと言っていました。我々が聞いた話ではダークエルフとエルフは仲が悪いという感じを受けました」
「そうですか。それで魔道士セットをご存知なのですね。確かに物凄い魔法の威力です。さて、どうしてダークエルフとエルフが仲が悪いと思われたのですか?」
「エルフの女性が旅をする姫に、ダークエルフには気をつけるように言っていたからです。大変失礼ですが、魔族の仲間のように聞こえました。ですがパージ様を見る限り魔族の仲間のようには思えません。何かを守っているような感じを受けています」
パージはコジローを見た。そしてしばらく見つめた後驚いた顔をした。コジローは何か覚えがある感覚を受けた。何だっけこの感覚?
「コジロー殿はよく見ると不思議な力をお持ちのようだ。失礼ながら鑑定を使わせていただきました。ところが何も見えません。私の鑑定を防ぐ人間に初めて会いましたよ」
そうか、鑑定だ。前にギルドで魔道具みたいなので鑑定した時の感覚かあ。でもなんで見れないんだ?なんか色々付けてるからその効果かな?
「すいません。鑑定して見えないのは恐らく私の防具のせいだと思います。ヤンギュー国には鑑定という物がないので推測ですが。ところでダークエルフが魔族とエルフの子というのは本当ですか?」
「本当です。だがダークエルフが魔族の味方とは限りません、私のように。このナッツピーは魔王復活をさせないために存在する国です」
急に割り込んだ声がある。
「そこからは私が説明しよう」
アンソニー皇子が回復したようでしゃしゃり出てきた。リコにいいところを見せたいようだ。
「他の国では勇者カツヨリが魔王を倒したと伝わっていると思う。そうでしょう、リコ姫?」
アンソニーはリコにキラっと美男子スマイルで問いかけた。リコは満更でもなさそうに、
「はい、皇子。勇者が魔王を倒したと聞きました」
コジローことカツヨリは面白くない。ムサシをみると、抑えろボケ、と目で言ってきたので余計にムカついた。どうしてやろうかと思っているとアンソニーが話を始めた。
「それは間違いです。勇者は魔王を倒してはいません。封印しさらに木聖の力を利用して魔族に成り下がったのです」
えっ!?モンさんの話だと、あ、猿の神獣のことね、神獣は、カツヨリの事を勇者カツヨリと分離した存在のように話していた。つまり俺の片割れが魔族になったって事なのか?おっとそいつは驚いたぜ。ムカついていた気持ちがどっかに行ってしまう位衝撃的だった。
「もしや、勇者カツヨリは魔族になって今も生きているのですか?」
「恐らく。魔王復活を行おうとしていると思われます」
「皇子。不思議なのですが勇者は魔王を封印したのになぜ復活させたいのでしょうか?」
「わかりません。ただこの国に伝わる話がヒントにはなると思います。私は勇者は何か目的を隠していると考えているのですがだとしても、魔王復活をさせるわけにはいかないので」
アンソニー皇子は500年前にこの国ができる前のこの土地で起きたと伝わっている物語を話し始めた。
勇者カツヨリは突如現れ、各地で仲間を増やして魔王のいる魔王城へやってきた。魔王を倒す為だ。
その魔王は勇者と同じように突然現れた。勇者と魔王が現れたのは同じ頃と伝えられている。魔王は各地にくすぶっていた魔族を従えて魔族以外の種族に戦いを仕掛けた。魔王は欲望の塊のような存在で戦いを好んでいた。各地では争いが続き、戦闘力が高い魔族が徐々に生活区域を広げ始めた。魔王はさらなる力を求めた。エルフという種族の森に木聖と呼ばれる何かがあり、この世界の力の源である魔源を永遠に供給できるという話を聞くとエルフの森に侵攻を始めた。エルフは圧倒的な力を持つ魔王と魔族に蹂躙され、長年住んでいた土地を手放す事になってしまった。
木聖はダンジョンコアに似たクリスタルだった。エルフは木聖と会話ができるが魔族には出来ない事がわかり、魔族は各地に逃げたエルフ狩を始めた。ところが捕まったエルフは魔族に協力をしなかった。魔王はならばとエルフを犯し子を成した。魔族にもエルフとの子を作らせた。そして産まれたのがダークエルフと呼ばれる種族だった。
ダークエルフは木聖の力を僅かだが引き出す事が出来た。魔王はその力を使い世界征服を企んだ。