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3,他の世界から来たという人(自称)


 オジさんの名前:ジークリート。世界研究魔導機関アルカーディアに所属している魔導師。上司はロドリック・リガー。監査委員会の委員長。無精髭とうさんくさい言動によりオジさん認定されてしまった可哀想な人。

ちなみに声はできれば東地 広樹さんで脳内再生お願いします。(趣味全開)


 『DM;Bx43−b:; gn_s』:ヤバい物。




 ◆ ◆ ◆




「という訳でして」

「は? なにが『という訳』なんだよこの野、いえ、まだ何も説明してないでしょう。ふざけてんの?」

「いやあ、ちょっと、このギスギス冷え冷えした空気を少しでも和らげようかな〜って思って! うわっ金属バット、持ち上げないで! やめて! ごめんなさい! すみません。冗談です……」

「まったく……」

「おねーちゃん、お菓子、食べる? この季節限定のレモンブッセ、美味しいよ! オレンジジュースもあるよ。いる?」

「お茶でいいわ。ああ、ありがと。もらうわ。……ふう」

「お、お姉さん。少しは、落ち着いてくれた……でしょうか?」

「おねーちゃん。お菓子も食べる?」

「……あーもう。頭、いたいわ。ありがと、あとで食べるから置いといて。それで? どういうことなの?」

「話せば長くなるんですけど」

「いいから。どうぞ」


「では……俺は、世界研究魔導機関アルカーディアに所属している魔導師で」


「ほおう? コテコテベターな展開の中に、少しオリジナリティ入れてきたな」

「オリジナリティ?」

「ああ気にしないで。話、続けてどうぞ。世界研究魔道機関って、なにしてるとこなの?」


「ああ、それはだな、その名の通り、世界について研究しているところだ。自分がいる世界はもちろん、そしてそれ以外の他世界についても。それから、魔音素文字の起源、派生、その組み合わせによる魔導術の種類や構成の研究、最古の神世秘匿文字で書かれた文書の解読、神世より続く他世界との結びつきの強弱、または断絶、再接続、新たなる世界との繋がりについて、または、各分野において関係性のある遺跡の発掘と調査、研究──」


「ほおおおう。なんか、面白そうなことしてるんだね」

「おっ!? お姉さん、もしかして興味ある? いやあ、だったら是非、来てくれると助かるわー。いやもう、とにかく人手がたりなくってさー」

「人手、足りてないの?」

「足りてない足りてない。最近は入ってもすぐに辞めちゃうヤツが多くてさー。最近の若い子は続かないんだよなあ。ちょっとでも仕事きついと耐えられないっつーか……」

「あー……どこの世界も、そういうのって同じなんだね。うちのお父さんも、新入社員ってちょっとでも叱るとすぐに凹んで辞めるとか言い出すから、下手に叱れなくて扱いが難しいって言ってた」

「それそれ! そーなんだよー! もうちょっと根性みせろ!って感じだわ。打たれ弱いっつーか、メンタル弱過ぎるっていうか……おまえらの心は卵豆腐で出来てんのかっつーの! もうちょっと頑張れや!! なんでこっちが気をつかわんといかんのだ! へなちょこ精神、叩き直してやろうかっつー……て、それやると、辞めるとか言いだすんだよなあ……」

「ああ……うん……お父さんも同じ事言ってたわ。お疲れ様……」

「おう……」


「卵豆腐ー! 昨日食べたよ!」


「あー……はいはい。うん。食べたねえ。ごめんなさい、話の腰を折ったわ。続けて」

「いや、別に気にしなくていいわ。俺も愚痴聞いてもらってすっきりしたし。それで、だ。俺の上司は、ロドリック・リガーという名の魔導師なんだけどな。監査委員会の委員長もやってて」


「監査委員会?」


「あー、まあ、簡単にいうとだな、魔導師達が悪さしてないか、経費やリソースを不正に使い込んでないか定期的に抜き打ちで調べたりする部署だ」

「ふむ。中立の第三者的な監視役、みたいな?」

「おお、それそれ! お姉さん、理解が早くて助かるわー。マジでうちこない?」

「考えとく」

「えっ、やだー! おねーちゃん、行くの? 行っちゃやだー!」

「あー、行かないから行かないから。冗談冗談。ほら、お菓子食べてて」

「うん」

「え、冗談なの? お兄さんマジだったんだけど」

「話、続けてオジさん」

「うぐあっ、胸が、痛い……」

「むぐむぐ、オジさん、胸痛いの、病気?」

「ええ……」


「いや、違うから。お姉さん、やめてその目! 俺、人にうつすようなヤバイ病気とか持ってないから! 病原菌見るような目つきで見ないで! 距離とったりしないで! 地味にダメージくるんだけど!」


「それで? 世界を救ってとかの話に、それがどうつながってくるの」

「まさかのスルー!! うう……三奈ちゃん……お姉ちゃんがひどいよう……なんとか言って……」

「うん? なんとか?」

「続き、早くして。私、これでもめちゃくちゃ忙しいんだから」

「俺、帰りたくなってきた……」

「別に良いよ。帰っても。どうぞ」

「そういう訳にもいかないんだよ……中間管理職って辛いわあ……」

「あ、それお父さんもよく言ってるわ。お父さんと気が合いそうだね」


「おうよ、さっきまで職場話で意気投合しまくってたわ!! 話を戻そう……それでだ。機関には、所属している魔導師が沢山いて、それぞれが好き勝手、いや、多種多様な研究をしています」


「なんでいきなり敬語……」


「魔導師にもいろんな奴がいて、まともな奴から、ちょっとヤバいのまで多種多様にいます」


「ふむ……え? ヤバいのもいるの?」


「いる。ヤバいのはピンからキリまでいるけど、監査委員会が特に要注意危険人物としてマークしてるのが数名います」


「数名もいるんだ……?」


「いるんだよ……勘弁してほしいぜ……スタンドアローンで頭狂ってるだけならカワイイもんだが、いつか世界壊すんじゃねレベルの災害予備軍野郎共がいます」


「えー……迷惑……」


「まったくだ。それで、その中の一人が、とうとうヤバい物を手に入れてしまいました」


「ほおう、そのヤバい物とは……?」

「なにー? うわー、すごい気になるー!」

「それは……」

「それは?」


「──『DM;Bx43−b:; gn_s』」


「んん? なに? ちょっと聞き取れなかった。ごめん、もう一回言ってくれる?」





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