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エッセイシリーズ

近年日本での自殺者は後を耐えないが、それにはどのような理由があるのか2000文字以内で答えよ。

作者: 夢野亜樹

やれやれ、どうしたものか、と言う気持ちで書き始める。

将棋には詰みというものが存在するが人の人生にも似たようなものが存在する。では人生での詰みというものがどういうものかをここに書こうと思う。

まず、将棋でいう詰みという状況は、そこに負けがあるという、つまり、自分の玉が相手に取られる筋があることを指す。では人生の負けとはどのようなものだろう。多額の借金をした?友達が1人もいない?なんらかの障害がある?犯罪歴がある?……人生には様々な不利な状況を考えられるが、それは決して負けというものではない。何故なら、友達がいなくても成功した人はいるし、犯罪を犯しても幸せに生きている人は数多く存在しているからだ。では、人生における詰みとはどういうものか、それには個人的な条件がある。



だいたいの勝負ごとで、個人的条件で正式に負ける競技があるだろうか。例えば、野球でスライングをしたから負けるとか、テニスで靴紐が解けたから負けといったものだ。週刊少年ジャンプのキャラクターならあるかも知れない。「この俺に右手を使わせた。だからお前の勝ちで良い」なんて言うセリフはきっと何処かにあるだろう。しかし、ほとんどの競技にはルールがあり、そのルールに従って勝敗が生まれる。


では、人生のルールは何だろう。

法律?否。法律はルールではない。

「おい、ちょっと待て、法律は守らないといけないよ」と誰かに言われてそうだが、そんなやつにはこう言ってやればいい「くたばれ馬鹿」と。

世界にはどこの国にも法律というものがあるが、そんなものはどうにでもなり得る。日本では罪を問われるが、アメリカでは合法なんてものも存在する。具体的に大麻がそれに当たる。それに、今の政治家や有識者は法律を犯していても、暫く経てばまた自分の椅子に座り、咎められないではないか。

ズバリ言おう。法律とはただ単に、金を動かす仕組みである。



人生のルール、それは学校の教科書や六法全書には載っていない。それは自分の中にある。つまり心だ。

どんなに貧しくても、どんなにハンデがあっても、どんなに惨めでも、心が負けていないと言うのならば、それは負けていない。例え、サッカーで0対5の状態で試合終了の笛が鳴ろうが、ボクシングで10カウントを取られていようが、心が負けだと思わなければ負けでない。それが人生である。



午前3時頃にいつも考える事がある。お金持ちになれたら幸せか、とか素敵な人と結婚して子供ができたら幸せかなどだ。どんなに幸福になることを考えても結局最後には幸福になりきれず、私は幸福に確信が持てない。

まだ小さい頃は幸せだったと思う。体も小さかったし、夢は夢のままだったが世界は希望で溢れていた。大人になって、欲しいものは金を払ってなんでも手に入れた。夢は叶えた。しかし、どうだろう。カラフルだった世界はモノトーンに見えるようになったではないか。

今の私に夢はない。ただ何となく生きている。私の心はいつしか失ってしまった。心を失うというものは取り返しのつかないものだ。将棋でいう詰みというより、これは必至かも知れない。私は敗北から逃れられないものになってしまった。




すまない。私のことを話し過ぎた。

私が言いたいことはつまり、人生における詰みというものは、個人の心の中にあるということだ。

ある人は声を失うことかも知れないし、またある人は誰かに嫌われることかも知れない。

心は強くもあり繊細で、枕元に隠したナイフみたいなものだ。時にはそれが自分を守ってくれるが、時に自分の命さえも奪ってしまう。私は眠れない夜に思う。心が最初から無ければ、人生はあまりにも簡単だったのにと。

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