63 幼き記憶 1
初めてエリーゼに出会ったのは父が仕事で王城へ行くことになった時。当時まだ5歳程だった僕だが暇を持て余していてなんとなく父に着いて行った。いや馬車に隠れて忍び込んだんだっけ?まあいいや兎に角僕は王城に行くことになった。だが5歳の子供が仕事が終わるまでじっとするのは難しく僕は城の探検を始めた。でもなんで探検なんてしたんだろう。
「まだ父さんの仕事終わらないの。もう3時間もお話してるよ。」
「ごめんなユキ。あともう少しで終わるから。もうあと少しだから我慢してくれ。そうだ昨日父さんが買ってきた本を読んでいたらどうだ。」
「あんなの2時間で読んじゃったよ。なんか難しい言葉ばっかりでつまらなかった。」
「そっそうなのか。あれは古代ミーニャ語で書かれた魔法書だったはずだが........うーんじゃあ馬車で待ってなさい。本当にあと少しだから。父さんはここでまだお話しないと行けないから1人で馬車に戻れるね。」
「分かったよ。」
ああそうだ。ここで少し好奇心が出て探検をし始めたんだった。でも今思えば馬鹿なことをしたな。王城を5歳の子供が一人でいたらどうなるかなんて目に見えてるのに。
「迷った。........何処ここ?」
王城は広い。案内も無く探検などすれば大の大人でも迷う。子供なら尚更だ。ユキは辺りを見渡すがどこを見ても同じ景色だ。どこから来たのかすら分からない。
「まずい。どうしよう。」
ユキが真っ先に思い浮かんだのは父に迷惑をかけることだ。今現在進行中で迷惑をかけてるが
とにかく父にバレたくなかった。馬車は歩けばいずれ見つかるし人に聞けば簡単に見つかる。でも人に聞くとゆうことは父にバレるかもしれない。よって自力で馬車を見つけるしかない。
「とにかく歩くしかないか。」
出来ることは歩くことだけ。元々探検が目的だったので馬車を見つけれたら良し、見つからなくてもまあ仕方ない。そんな気持ちで歩き出した。
さてどのぐらい歩いただろうか。よく覚えていないがとにかく結構歩いた。歩けば当然疲れる。疲れれば休む。よってユキは休んでいた。
「疲れた。父さんもう仕事終わったかな?もしかして僕のこと探してる?もしかして怒られる?」
ユキは慌てて立ち上がると少しだけ壁がおかしかった。風の流れを感じるし、壁を叩くと少し音が違った。ユキには一瞬で分かった。隠し部屋だと。隠し部屋は男のロマン。ユキはどこかにボタンか何かがないかと探した。もう既に父のことは忘れていた。子供の探究心とは本当に恐ろしい。たった10秒で物事を忘れられるのだから。
「あっこれかな。」
壁が1部分だけ盛り上がっておりユキはそれをボタンだと睨んだ。そして思いっきり押した。
「........?」
だが何も起きない。もう一度押した。
「........違うのか?」
念の為もう一度押した。すると壁が動き隠し部屋が出てきた。どうやら3回押さないと動かないようだ。確かに1回や2回では間違いて押す可能性がある。でも3回なら確信がなければ押さないだろう。まぁ確信はなくても子供は押すが。
「わぁー。」
隠し部屋を見つけたユキは喜んで隠し部屋に入っていった。




