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世界も人も狂ってる  作者: 拓斗
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59 対決アリサ&アリス

「マサト様ひとつよろしいでしょうか。」


「なんだ?」


「努力とは必要なのでしょうか?結局の所最後は才能が全てだと思うのですが。」


今日も今日とてマサトとホロビの話し合いだが、急に不思議なことをホロビは聞いてきた。マサトは少し驚き少し考えてから自分の意見を述べた。


「確かにこの世界は結局のところ才能が全てだ。それは事実だからどうしようもない。だけど同じだけの才能を持った者同士が戦った時はやっぱり努力している方が勝つと俺は思うけどな。うーんだから努力が必要かどうかは分からないけど、努力をしても無駄には多分ならないと思うぞ。あくまでも俺の意見だかな。」


マサトは努力をする側の人間だ。だが例えばマツブサ会長は、自分の才能を信じて努力ではなく、才能を伸ばすタイプだ。どちらが正しいのかは分からない。そうではなくて、ホロビが聞きたいのは、


「ユキのことか。」


「ええ。あの人は少し言葉が悪いですが、あまり努力をしません。自身の才能で戦う人です。もし努力が必要になっても道具を使いその場を乗り切ります。それはどうなのでしょう。」


「そうだな。でも俺は悪い事だと思わんぞ。例えば火をおこす時には摩擦熱でおこす人もいれば、魔法を使う人もいるし、魔道具などを使う人もいる。個人のやり方があるからそれでいいと思うが。」


楽をするのは別に問題ではない。それにそれは考えての結果だ。何も考えずに行動すると無駄ばかりだろう。火の例え話をしたが摩擦熱で火起こしなんて今どきしない。ほとんどの人が魔法やその他の手段を使うだろう。ユキはそれが少し他の人よりすごいだけだ。いずれみんながユキと同じようなことをする日が来るだろう。


「そうですか。変なことを聞きました。ですが面白いことを聞けました。」


「そうかそれは良かった。」









「エリーゼ様並びにアリサ様、アリス様先程は失礼をしました。」


「........大丈夫?もしかして吹雪頭でもぶつけた?」


エリーゼ達は吹雪の事を心配している。そりゃいきなりこんな態度をとられたら心配するだろう。と吹雪は思った。


「アリス様の勇気そしてアリサ様の力正直に言うと見くびっていました。特にアリサ様の力は油断していました。あのまま戦っていたら負けていたでしょう。まぁ今は油断していないので負けないと思いますが。」


「それは私への挑発ってことで良いの?私は売られた喧嘩は買うよ。」


アリサは短剣を手に持ち威嚇する。アリスはオドオドしている。


この2人は本当に対照的だな。双子だとかなんだとかって聞いたような聞かなかったような。そんなことより何故エリーゼはノーリアクションなんだろう。1番うるさそうなのに。


仮にも今から主として使えるのに、そのイメージは少しどうなのだろうと吹雪は思った。


「あのエリーゼ様もしかしてなにか問題が?私はあなたには役不足でしょうが、私は全力を尽くす思いです。」


吹雪の中で少し闇が膨れ上がった。これはコンプレックスと言うべきか。ただの憎しみと言うべきか。それでもただの悪魔と言うべきか。


ダメだお前は吹雪だ。お前はユキ・エンゼルでは無い。決してエリーゼに嫉妬などしていない。自分の主に対して嫉妬なんてバカバカしい。それにエリーゼが僕より優れていることなんて、とっくの昔に知っていただろう。


「なら吹雪あなたに2つほど命じます。それが出来た暁には、私の騎士になることを許しましょう。ですが失敗すればあなたの命を貰います。」


どうやら今のエリーゼはただのエリーゼでは無いようだ。エリーゼはエリーゼでもエルランド王国第二王女エリーゼ・ラナティス・エルランドとしての顔だ。それにしても命と来たか。さすがにそれはやりすぎな気もしなくはないが、この時のエリーゼは本気だとゆうことを吹雪は知っている。


「姫様いきなりの発言をお許しください。騎士と言うのはそれは王城の騎士ですか?それとも姫様個人の岸ですか?その返答によっては私とお姉ちゃんは彼を排除しなければなりません。」


さっきまでのイメージが一気に壊れ去った。なにか発言するとしたら、アリサの方だと吹雪は思っていたが実際はアリスの方が言ってきた。逆にアリサは少し怯えている。一体誰に脅えているのかは不明だが。


「もちろん私個人の騎士です。王城に彼を渡すはずないでしょ。彼の主は私だけで充分です。」


それにしても王城の騎士も個人の騎士もそこまで実は変わりないのだが何故ここまでの覇気があるのだろう。もしかして僕の知らない間に制度変わってるのか。


結局の所国に仕えていても、王族に仕えていてもさほど変わらないのだ。


「そうですか......姫様少しの間目と耳を閉じていてくれませんか。5分でいいです。」


「分かりました。」


アリスは姉と同じ武器を取り出す。アリサと短剣を手に取り構える。そうゆうことだろう。吹雪も戦闘の構えをとる。


「武器は良いの?必要なら用意するけど。」


「必要になったら使いますよ。それよりも自分の心配をした方が宜しいのではアリス様並びにアリサ様。」


「..............お姉ちゃんこいつ必ず潰すよ!」


「う、うん。でも近くに姫様もいる事だし気をつけようね。」


本当に入れ替わったようだ。一体何がこの2人のスイッチを切り替えたのだろうか。それに少し離れたところでエリーゼが目を開き見守っている。


いったい閉じているとはなんなのか。吹雪は少し疑問に思いながら双子を見つめた。


「そりゃあただの護衛と騎士では違いますからね。あなたの気持ちも分かりますよ。」


「見え見えの挑発を。」


まぁそりゃ無理だよな。でも本命は、


「忠告しておきましょう。僕と戦う時は上下左右常に気をつけていた方が良いですよ。サンダー。」


双子に目掛けて雷を落とす。 威力はある程度抑えてあるが、一撃でも貰えばしばらくはベット生活が待っているだろう。だが双子は同時に避けオマケに挟み撃ちをしてきた。


「「王国流剣術ダブルファング」」


まともに喰らえばベット生活ではなく、空の生活が待っているであろう威力だ。特にアリスの方は加減を知らないのか全力で殺しに来ている。

挟み撃ちをされ逃げ道がない状況での大技普通ならここで倒されているだろう。だが吹雪は普通とはかけ離れていた。


「いきなり大技を打ってくるなんて、代わりにこちらも1つ手の内を見せましょう。」


ダブルファングには弱点がある。360度逃げ道がないが、唯一攻撃の範囲外がある。それは


「オーバーシステム起動。」


空だ。吹雪は魔道具により空を飛び攻撃を躱した。さすがの双子も空を飛ぶとは思っていなかったようだ。当然だ。人は空を飛ぶ生き物ではないし、一応風魔法で自身の体をぶっ飛ばすことはできるが、飛行は出来ない。また魔道具でも今まで空を飛ぶことはできなかったのだ。せいぜいリンゴを浮かばす位で。故に見とれていたそれが命取りだ。それに双子が気がついたのは、既に魔法を発動する瞬間だった。


「終焉の嵐。」


全てを飲み込む嵐が双子を襲う。ここまででまだ戦闘が始まってから3秒しかたっていなかった。そして吹雪は勝利を確信していた。それが吹雪の弱点だった。


「「王国流武術天馬の風。」」


「なっ!」


まさか無傷だとは思わなかったので、一瞬行動が遅れ双子の攻撃を避けることが出来なかった。吹雪は上にいる双子を見上げる。


「まさかあなた達まで空を飛ぶとは思いませんでした。いえ飛ぶと言うより浮かんでいると言うべきでしょうか。」


本来天馬の風は荷物を運ぶ時などに使う技だ。そして自分には使えない。きっとお互いに掛け合って空を浮かんでいるんだろう。だが天馬の風は


「わずか5秒しか使えない。」


それ故に最も使えない技として有名なのだ。


「あなたの弱点見つけたわ。あなたきっと随分と傲慢な性格なんでしょうね。さっき油断していないなんて言ってたけど、油断してるじゃない。」


アリサは少しつづ自分が戻ってきたのか笑っている。アリスは無表情だ。一方吹雪も笑っている。


「なんであなたが笑ってるの?ここは笑うところじゃないでしょ。」


「いやだって僕の知らない使い方を知れたんだ。これだけでこの戦いに意味がある。僕は自分が知らないことがあるのが少し許せないんだ。」


セシルやユキのことがなければ、旅でもして様々なものを知りたいと思っている吹雪だ。本当に戦って良かったと思っている。


「傲慢だけではなく、強欲もだなんて。大罪を全て背負う気ですか。」


「どうでしょう?ただ1つ訂正するならもしかしたら、既に嫉妬の罪を背負っていると思います。あなたなら分かるでしょうアリス様。」


「私には分からない。」


「そうですか。」


自分で聞いておいて吹雪は心底興味無さそうだ。


........何故僕は今認めてしまったんだ。僕は嫉妬なんてしていない。


「?どうやら顔が怖いですよ。一体何を怒っているですか?そしてこれで大罪4個目ですね。あと半分ですよ。」


「いえ関係ないことです。それよりさっさと終わらせましょう。雷電の誓い。」


吹雪は雷を纏った。実を言うならユキ含め吹雪は常に雷をまとい続けているのだが、それが目に見えるほどになっただけだ。ちなみにユキは体がそれほど優れている訳ではなく、むしろ一般かそれ以下なのだが、この技のおかげで圧倒的な身体能力を得ることが出来るのだ。逆に魔力を常に使うので、人を超えた魔力を持つユキにしか出来ない芸当だ。


「いきなりのパワーアップは見てる人には驚かれるからやめた方が良いよ。そんなフラグもたってなかったし。」


「結構メタなこと言ってきますね。少なくともエリーゼ様は気に入ってくれたみたいですよ。」


エリーゼは目を子供のようにキラッキラさせている。何とか隠そうと顔は強ばらせているがその様子は本当に子供のようだ。


「まぁそれはともかくあと少しで5分たってしまいますよ。どうしますか?」


「次の一撃で終わりって言いたいの?」


吹雪は笑った。


「お姉ちゃんあれやるよ。」


「本気?あれを人に向けてやるなんて。」


いったいあれとは何なのだろうか。とは言え吹雪自身も大技の準備をしなければならない。終焉の嵐が効かないなら、火力での突破は厳しいかもしれない。なら


「いくよ。」


双子はまた天馬の風を使い宙を浮いた。その様子は本当に天馬が空を飛んでいるように見えた。だがどこまで浮かぶのだろう。もう既に普通の人なら目視出来ない高さまで登っている。やっと止まったが、間違いなく山よりも高いだろう。


「「宇宙の落し物。」」


「おいおい嘘だろ。エリーゼまで巻き込む気なのか。」


エリーゼの方を見るとちゃっかり逃げていた。そりゃ隕石が降ってくれば逃げるだろう。ちなみに大きさは分からないが、落ちてきたら間違いなくこの辺りは大変なことになるだろう。土属性上級魔法でメテオがあるが、まさか本物の隕石を使うなんて思ってもみなかった。


「ったくしょうがない。闇属性魔法の真髄を少しだけ見せてやるか。」


本当は力でごり押すつもりだったが、それだと双子にも被害が出るので、吹雪は作戦を変えた。これでは雷電の誓いを使った意味が無いがしょうがない。 吹雪は魔力を高める。1つの魔法は双子にもう1つの魔法は隕石に向かって狙いを定めた。


「こんなむちゃ実践でやるのは初めてだ。失敗しても文句言わないでくれよ。」


まずは、双子に対して


「闇属性封印術、封印のオーロラ。」


双子にオーロラが包まれる。そしてオーバーシステムを発動させ空を飛ぶ。次は


「魔界流武術、星の舞・月下」


隕石に強烈な連打が打たれる。だが壊れない。なら壊れるまで攻撃するだけ。


「魔界流武術、星の舞・月華並びに星の舞・月火オマケに星の舞・彗星」


同時に3つの技を入れ込み何とかヒビは入ったが、まだ壊れない。

なんだこれ!ただの隕石じゃない。

吹雪入ったそこで初めて気がついた。隕石ではなく隕石に似た何かだと言うことに。だからなんだと言うのだこのままじゃ全員サンドイッチだ。だが吹雪には破壊できない。どうすれば。と考えていると1つの影が迫ってきていた。その影は剣を握り隕石に攻撃を開始した。


「王国流剣術、神秘の舞。」


彼の斬撃が隕石に当たるとさっきまでの隕石が砂のようになってしまった。だが吹雪にはギリギリ見えていた。砂になるぐらい細かく切っていた所を。そして斬った人物はエルランド王国第一王子エクス・ラナティス・エルランドだった。そして下には、逃げたのではなく、エクスを呼びに行ったであろうエリーゼが立っていた。ユキがエルランド王国で恐れる2人と出会ってしまった。


これは面倒なことになるな。

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