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世界も人も狂ってる  作者: 拓斗
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53 夫婦喧嘩 1

「ユキは剣術、槍術、弓術、体術、魔法、料理、勉学その他もろもろ全て十年に一人の逸材と言われても過言じゃない。まさに天才とはユキに相応しい言葉だろう。けどそれはあくまでも、才能つまりは可能性の話であって、今はまだユキの力ではない。それに気がついているのか?」


「........この世界では才能は絶対です。才能の無い者が努力しても、才能がある者には勝てません。そういう仕組みになっているんです。つまりはユキ様は最強です。とは言えませんね。あまりにもユキ様の望みは大きすぎる。今のユキ様には失礼ですが、何も守れないでしょ。天才とは言えまだその才能は開花してません。まだ無力のままです。」


「それは本当に失礼な話だな。いずれ俺たちの領域に達するなら別に構わない。まぁ本音はそんな道に進んで欲しくないがな。ユキにもセシルにも幸せな人生を歩んで欲しい。だがそれが叶わないのならせめて今だけは自由に......。」








吹雪にナイフが襲いかかる。が吹雪は慌てることなく、ナイフを蹴る。別に特別な靴を履いている訳では無いので、靴と靴下は斬られてしまった。ついでに言うなら足にもナイフが斬られ血が出ている。


「止めなさい!アリサ。」


エリーゼの一言でアリサと呼ばれた少女からの攻撃は止んだ。しかし未だにオーラというか、雰囲気で吹雪を攻撃し続けている。

本当になんなんだ。最近変なことがよく起きるよ。誘拐されたり、変なサイン書かされかけたり、麦食べろと言われたり、........それって全部王城が原因じゃ?


「ゴメンねユキ驚かせちゃって。それにしても良かったよ、生きてるって信じてたよ。けどまさか仮面を被って、偽名を使っているだなんて。」


「???」


吹雪はまさかと思い顔に触れてみる。無い。仮面が無い。つまり地顔で今対話している事に気がついた。目が覚めたらいきなり襲われたせいで、確認してないのがいけなかった。


「?どうかしたのユキ?それでねいっぱい話したいことがあるの。それに謝らないといけないことも、って話聞いてる?おーいまさか忘れてないよね。5年会ってないと言っても一応この国の王女だよ。まさか忘れてないよね。」


正直エリーゼの言葉は半分以上聞こえてなかった。それよりも顔を見られてしまった。王家に自分が、ユキ・エンゼルが生きていることがバレてしまった。そっちの方が問題だった。

これならさっさと逃げるべきだった。欲をかくべきではなかった。ワンチャン神の心臓を宝物庫から盗み出せるかもなんて考えるべきじゃなかった。冷静じゃなかった。それよりもどうする今ここで自害するのは、リスクが高いどうすれば良いんだ。


「おーいユキ大丈夫?ぼーっとしてるけど何かあった?」


「姫様がこんなにもテンションが高くなるなんてあの男一体何者。」


「ねぇお姉ちゃんもしかしてあの人本当は良い人なんじゃ?」


「駄目よアリス。あんな風な奴はろくな奴がいない。私のカンがそう言ってるの。」


「カンってお姉ちゃんが姫様に近づく不審者を倒すって、言って麦とか出したんじゃ。まさか本当はあんまり知らない人に言いがかりつけてたんじゃ。」


アリスは少し自分の双子の姉の行動に少し引いている。普段は頼りになる姉だが姫様の事が関わってくると、急におかしくなる。自分も人の事言えないが、姉は少しやりすぎる事があった。


「だって仕方ないじゃん。姫様に近づく者は全て排除するって決めちゃったじゃん。だからしょうがなく、しかもこんな男と私たち結婚させられちゃったし、そうよ夫なら妻の料理ぐらい食べてみせなさい。」


アリスはそれはちょっと無理があるのでは、思ったが姉は止まらない。


「そもそも仮面被って、いきなりやって来て、いきなり結婚なんて言われたら、そりゃ怪しむでしょ。確かに私も突っ走っちゃったけどあんたにも非があるわ。」


「........................................................................................................そうかあの料理全てお前が用意したのか。それにこの虫焼きも。オマケに全て勘違いだったと。そんでもって謝ることすら出来ないとそうか、そうか...懺悔の準備は出来ているだろうな。」


その瞬間全てが終わった。気がした。しかし現実では何も起きていない。


「食べ物で遊ぶ。人のことを勝手に不審者扱いする。謝ることも出来ない。本当に、本当にお前という奴は出来損ないだな。」


「そっ、それはそうだけど出来損ないは言い過ぎじゃない。」


「事実じゃないか。子供でも分かる。いや君はまだ子供か。それでも普通分かるだろう。一般常識だ。」


吹雪は体の小さなアリサを見下してやった。今の吹雪が出来る最大限の皮肉だ。


「は?今なんって言った?ねぇ今なんって言った?確かに今子供って言ったよね。私に向かって子供って............私たちは今年で17だーーー。」


アリサはナイフで斬りかかって来た。17歳もまだ子供だが、アリサは17歳にしては理由があるとはいえかなり、小さかった。様々な物が。例えば今固まっているメノッサにある物がなかったり、妹のアリスにも様々な大きさが負けていたり、兎に角小さい、子供、等はアリサには言ってはいけない言葉だった。


「待ちなさい。アリサではこうしましょう。決闘です。」


またもやアリサを止めたエリーゼ。アリサはどうやらエリーゼには逆らえないようだ。完全にやばかった状態だったが、一瞬で正気に戻すエリーゼはこの5年でかなり成長したのだろう。昔のエリーゼなら怖かって何も言えなかっただろう。


「決闘か。僕は良いけど。」


「.............私も姫様が言うなら分かりました。」


「それでは訓練所に向かおー。」


4人は歩き出す。吹雪の顔にはいつの間にか、新しい仮面を被っており、もう顔を見ることは出来ない。つまり今ユキの存在を知っているのは、目の前の3人と既に【消滅】した2人そして僕の仮面を取った人だけだ。

まずは先に仮面を取った方を消す必要があるな。最悪この3人には利用価値がある。

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