50 エルランドの闇
「おい、おい、おい、........いつまで寝てるだよ。」
キツネはカガノを蹴り飛ばした。結構力を込めたつもりだったが、そのおかげで意識が戻ったみたいだ。
「て、てめぇ。許さねーぞ。」
「はいはいわかったわかった。いいから早く行きましょうね。元はと言えばあなたのギャンブル癖が原因の借金ですよ。」
「ふん金なんてねーよ。どうする俺を殺すか?」
この男はいったい何を言ってるのだろう。死んだら返して貰えないじゃないか。どこかで頭ぶつけたのだろうか。それとも、借金で頭がおかしくなったのだろうか。たまにいるんだよな借金で頭おかしくなる人。
「とりあえず行きましょう。」
キツネはカガノを背負う。カガノは暴れているが、包丁の傷が痛むのかあまり激しくない。包丁が刺さったのは右肩なので特に右腕は痛そうだ。
そんなこんなで無事(?)に目的地に着いたキツネとカガノであった。その目的地とはエルランド王国の裏の部分が集まっている秘密のお店だ。お店と言っても売り物はほとんどが盗品か借金の肩代わりなので信用なんてあってもないようなものだが。
「けどお金だけはよく動くんだよなー。さぁ入りますよ。」
カガノは危険を察知したのか今まで以上に抵抗し始めた。
「嫌だ。入りたくない。こんな場所行きたくない。」
「はいはいわかったわかった。」
キツネはドアを開け、中に入っていった。正直空気は悪い。雰囲気も悪い。周りを見れば自分の体を売っている女たちが、気の弱そうな男に迫っている。あまりここにいると良いことはない。それにしてもこれは地下1階。まだ序の口だ。
「なんだよここ。まさか俺もここで。」
カガノはキツネですら、正体が分からない謎の肉を見て恐怖に怯えている。
この先もっとヤバいのに、地下1階でこの有様大丈夫なのか?まぁどうでもいいか。
キツネは地下2階、地下3階と降りていき、遂に目的の地下4階に着いた。そしてある店に入っていった。
「マダムいるか?居ないならここの酒持ってくぞ。」
「いるに決まってるでしょ。それで今日はどうしたのキツネちゃん。買うのそれとも売るの?」
「ここで売られている奴隷なんて要らないよ。だったら地下10階の所で買うよ。」
「あっそう。なら仕方ないわね。で今日はそっちの子?あらあらあら良い男じゃない。」
マダムはカガノに近ずき鼻息を立てている。
「ああこいつはカガノ。ギャンブル依存症だ。兎に角クズだから。」
ちなみにカガノはうるさくて腹に1発殴ったらきせつしたので、現在は意識がない。まぁ他の人達はよくある事だと、思ってきにしてなかったが、それでも恥ずかしい。
「具体的にはどんなことしたの。今日のツマミにするから。」
「まぁ僕が調べた範囲だとクズポイントはこういうのがあるけど
1 17年前に見つけたある女性を無理やり犯して
そのまま出産させた。
2 その責任をもって結婚したが働かず毎日ギャ
ンブルばかり。
3 その数年後第二子を作り一応仕事を始めたら
しい
4 だが直ぐに辞めギャンブル生活に戻った。
5 妻の両親が死にその遺産でまたギャンブル。
6 結婚から8年3人目を作る。
7 妻の収入でギャンブル。
8 酒が切れるとDV
9 妻が寝込み働けなくなると借金してギャンブ
ル。
10 勝手に妻の両親の店を売りギャンブル代金に
する。
とこんな所かな。」
キツネは自分が調べたことを全てマダムに教えた。改めて言っているとこいつはクズだ。オマケに家族を大切にしない。
「クズね。」
「ああクズだよ。」
「あっああうっ。」
「起きるか?」
カガノはゆっくり目を開けた。そしてそのままきせつした。
「また寝ちゃた。」
「そりゃマダムの顔が起きた瞬間目の前に入ってきたら、誰でもきせつするだろ。」
マダムは恐らく人生で、1度も切ってないであろう紫色の髪と、その濃すぎる化粧で、出会う人全てに恐怖を与える事で有名だ。ちなみに嘘かホントか知らないが、まだ28歳らしい。........きっといや必ず嘘だろう。とりあえずカガノを起こすことにした。
「おい起きろ。」
何度もビンタするが起きない。
「おい起きろ。」
水をかけるが起きない
「てめぇさっさと起きやがれ。」
キツネはカガノを蹴り飛ばした。
「ま、魔女が。魔女が。うぅ。」
「おい起きたか。」
「うっ、てめぇここはどこだ。」
「てめぇの言葉を借りるなら、魔女の店だな。」
「やっぱり良い男。でも性格が悪すぎるしーーーごめんなさい。私はパスで。」
「魔女。」
カガノはマダムを見るなり、すっかり大人しくなってしまった。ずいぶんとトラウマになってしまったようだ。
でもそっちの方が都合が良いかな。暴れられても面倒だし。
「さてさてカガノさん。実に悲しい事なんですが、僕はあなたの面倒を見る気はありません。そこでこのマダムがあなたの面倒をしばらく見てくれる見たいですよ。よかったですね。僕は借りてたお金を返してくれる。カガノさんは住む所がある。マダムは商品が手に入る。みんなハッピーで最高ですね。」
「商品だと?」
「ええここBARマダムでは飲み物以外にも奴隷を扱ってましてね。むしろそっちが本業って言うかなんて言うか、兎に角凄いんですよ。まぁ少し特殊な奴隷と言うか。非合法なんですけどね。」
普通の奴隷は、高い。それはもう高い。どこのかの貴族や大商人でしか買えないぐらい高い。それゆえあまり乱暴に使うことが出来ない。むしろ大金はたいて買ったのだから、それは大切にする。世間では奴隷は無理やり働かせている物ってイメージが大きいけど実際はそこまで働かせない。
しかしこの場所で売られている奴隷達はどうかと言うと、まぁろくな未来を待ってないだろう。変な店の従業員にさせられたり、頭のネジが外れた金持ちのおもちゃになるか、口に出すことも出来ないことをさせられるか。兎に角希望なんて無い。
そのことに気がついたのかは知らないが、カガノは逃げ出した。しかし既に足を縛っており、ほとんど動けない。
「大丈夫ですよカガノさん。このマダムは顔は怖いし、性格も怖いし、噂じゃ結婚詐欺の常習犯らしいので、きっとカガノさんのギャンブル癖も治ります。いやー良いことしたな。」
「そうねー。キツネちゃんの口の悪さには負けるけど、私も少し悪い人なのよー。さぁ行きましょうとりあえず調教しないと。最初は心は乙女身体も乙女をやろうかしら。ふふふ。あっ!これお金キツネちゃんどうぞ♥」
「ああどうも。それじゃまた来るよ。」
「ちょまて。俺には家族がいるんだ。そうだ奴隷ならあいつらを先にしろ。おい行くな、行かないでくれ。待ってくれ。」
キツネは店のから出ていった。
何やら声が聞こえた気がするな。けど僕には関係ない事だ。どこかで知らない人がどんな目にあっていても、僕には関係ない。恨むなら、今までの自分の行動を恨むことだな。......帰るか。




