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世界も人も狂ってる  作者: 拓斗
3 さよならありがとう (1)
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48 分かれる道

「貴殿が吹雪殿でよろしいか?」


「........................」


落ち着け吹雪。とりあえず状況を把握するんだ。僕の名前は吹雪、エルランド王国で探偵兼相談屋をしている。そう今まで平和に暮らしていたのに、暮らしていたのに、暮らしていたのに〜どうして王城から僕を探しに来たんだよ。もしかしてあれがバレたのか。いやだとしたら、即刻斬られてもおかしくないはず。じゃあコイツらはいったいなんなんだ。

吹雪が混乱していると王城から来た騎士達が怖い顔をして向かってきた。


「貴殿が吹雪殿か?」


「はっはい。僕が吹雪ですけど。」


流石の吹雪も怖くなり、素直に返事をしてしまった。店の修理をしている大工達も、固まっている。それどころか、うわさ好きのおばさん達がヒソヒソ話しているのが聞こえて辛い。

僕は何もしてない。ってのは嘘だけど、バレるようなことしてないし、僕自身は余り動いてないぞ。まさかキツネがヘマしたのか?キツネは今頃

貴族達からもらった情報をまとめている。つまりこの店には居ない。最悪僕が犠牲になれば良い。


ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン


「........え?」


いったいどうやって呼び出したのか、数十体のゴーレムが吹雪の前に立ち塞がる。吹雪は命の危険を察知した。

あっ僕死ぬな。短い命だったなー。結局僕は何を成し遂げたんだろう。まぁ後はユキ達に任せれば良いかな。あはははは。

吹雪が迫り来る死から、逃げるように変な妄想を始めかけた時、1体のゴーレムが吹雪を掴んだ。そしてそのままにぎりふづされる........ことは無く、そのままゴーレムは歩き出す。とても優しく握られている。


「........え?」








よく分からないまま吹雪は王城まで連れてこられた。

なんなんだ。処刑する前に拷問でもするのか?できればさっさと、終わらせて欲しいんだけど。少なくとも僕はもう目立ち過ぎたからもうダメだし、どの道死ぬなら楽に死にたいよ。

しかし吹雪が連れてこられた場所は拷問場でもなければ、処刑台でもないし、牢屋ですら無かった。それは客人をもてなすための部屋だった。ゴーレムは吹雪を下ろし消えていった。


「しばらくお待ちを。」


「はぁ。」


それにしてもどうゆう事だ。全く分からない。考えても情報が足りなすぎる。........待つしかないのか......。


「失礼する。」


30分程たってゴーレム使いの騎士達が部屋に入ってくる。手には2枚の紙と、もう1枚大切そうな紙がある。


「どうだ?」


1人の騎士が話しかけてくる。さっきも話していたし、きっとこの人がリーダーだろう。とりあえず吹雪は状況を聞き出すことにした。


「どうだ?と言われましてもよく分からないです。あなた方はいったいどちら様ですか。恐らく出会ったことは無いと思いますし、人違いじゃないですか?」


どうせ本当のことは言わないだろうが、それでも何かヒントをくれ。そしたら僕は最良の選択をする事が出来る。

正直この時の吹雪は藁にもすがる思いだった。


「これに名前を書いてもらう。」


しかしそんな吹雪の思いも虚しく、騎士は何も答えてくれない。出された3枚の紙には認識阻害魔法が掛かっており良く見えない。そんな訳の分からない物にはい分かりましたとうなずけるわけが無い。

なんだ新手の詐欺集団か?だとしたら王城なんて入れるはずがない。ホント何?


「ええとすみません認識阻害魔法がかかってますよね。これでは読めないのですが。」


「そうか。茶を入れてこよう。」


「あのお茶じゃなくてですね。」


騎士達は行ってしまった。それにしてもなんで全員で行くのだろう。お茶なら1人で十分だろう。








「茶だ。」


「ありがとうございます。」


流石は王城の飲み物。きっと高価な葉を使っているのだろう。不思議とさっきまでの不安が少し解消された気がした。しかし油断してはいけなかった。


「これに名前を。」


再び紙を出してくる。恐らく書かなければ先に進まないだろう。しかし書く訳にもいかない。


「すいません分からない物にサインするのはちょっと。」


「これに名前を。」


「すみません。」


「これに名前を。」


「すみません。」


「これに名前を。」


「すみません。」







いったいどのくらい同じ会話(?)をしていただろうか。急に騎士が立ち上がった。そして他の騎士達も集まってくる。何やら話しているようだ。しばらくすると話し終わったのか吹雪の方を見た。


「合格だ。」


「???」


「茶を飲んだのは減点だが、決して分からない物に名前を書こうとしないその意思素晴らしい。」


「ありがとうございます。」


普通書かないと思うけどまさかこの人たち書くと思ってたのか!そんなことは当たり前のことで褒められてもな。それより早く事情を話してくれないかな。それに毒は僕には効かないから気にしなくていいんだよ。一応飲んだら毒かどうかは分かるし。


「君にはこれから王女の親衛隊として頑張って貰う。それから結婚おめでとう。」


「????????」


王女?親衛隊?結婚?

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