47 六大龍
(おーいユキ、おーきーろー。いつまで寝てるんだ。)
「ん?なにかようマリィ。」
ユキは正直もう少し寝ていたかったが、マリィがうるさくて起きてしまった。2度寝する訳にも行かないし、もう完全に目が覚めてしまった。
(ようも何も、気づいてないのか!感覚が【消滅】の影響でしばらく失われているのか。それとも)
マリィは自分の世界に入ってしまったようだ。何やらブツブツ言っている。そんなマリィをほっといて、ユキは立ち上がる。がふらついて上手く立ち上がれない。そして自分の手を見る。
「え!なんだこれ。」
そこには血が大量に出ていた。 恐らくサウザントウルフのボスによる攻撃が原因だろう。
「さっきの攻撃で血が出たのか。けど痛みは無い。とりあえず止血しないと。マリィ頼む。」
(え!ああ分かった。ヒール。)
マリィの魔法によりとりあえず止血は完了した。だが失われた血は戻ってこない。傷を塞いだだけだ。黒竜の服も血まみれだ....し。
(なぁマリィ。僕が寝ている間に黒竜の服に何かしたか?)
(いや私は何もしてないよ。私も起きたらそうなっていたんだ。)
(それじゃあ何故黒竜の服が僕の血を吸っているんだ。)
黒竜の服はユキの血を吸収していた。心做しか寝る前と、形が変わっている気がする。
(んーーー!)
(マリィ今何か気づいただろ。)
(いや別に何も気がついてないよ。ただの妄想だよ。)
(妄想でもなんでも良いから、教えてくれ。何をやったんだ。)
(どうして私が何かを、やったって前提なの。まぁいいや。ユキはこの服の生前を知っているよね。)
(ああ魔神であるマリィと一緒に戦った黒竜だろ。)
今更なんだよゆうのだ。生前とか関係あるのか。もう既に生きていないのだから関係ないはずだ。まさか幽霊なんてはずもないし。
(うん。でも実はね私黒竜じゃなくて黒龍に手出すけ、してもらいたかったの。でも黒龍は寿命で既に死んじゃってて、仕方なく黒龍の子供の黒竜に手伝ってもらったの。)
(はあそれでいったいなんの関係が?)
(だから私はずっとその服は、私が手伝ってもらった黒竜の服だと思ってたげど、実際は黒竜の父親の黒龍の服かも知れないって話。私も会った事はないけど人の血を飲むのが、好きって聞いた事あるし。)
(なるほどね。黒竜の服じゃなくて、黒龍の服。けどだから何?って話だよ。別に困ること無くない。)
マリィの言う話が全て本当だとしても、別に問題ない。むしろよりレベルの高い防具だと喜ぶべきだろう。それなのに何故マリィはこんなにも怯えているのだろうか。魔神が怯えるなんて聞いたことない。
(困るって言うより、なんて言うか、本当にヤバいんだよ。)
(なにが?)
(黒龍は六大龍の1体だからだよ。)
(ろくだいりゅう?)
初めて聞いた単語だ。少なくとも余り広く認知されていないだろう。
(六大龍ってなに?)
(六大龍ってのは6体の龍の事だよ。とにかくヤバいぐらい強くて怖くて私も1回しか会ったことないけどとにかくヤバいんだって。)
(とりあえず落ち着けって。いったい何があったんだよ。)
マリィの話をまとめるとこうだ。
1 六大龍ってゆう化け物が昔存在した。(今でも生きているかもしれない)。
2 マリィは昔ちょっかい出して返り討ちにあった。
3 六大龍に関わるとろくなことが起きないと言われている。
4 六大龍には赤龍、青龍、白龍、黒龍、邪龍、魔龍の6体が君臨している。
5 六大龍は少し動くだけで災害が発生する。
6 そんな化け物の服なんて着たくない。
しかしそんなことは言われても困る。この黒竜の服改めて黒龍の服は、防御力がものすごく高い。1度この防御力を味わったら、他の防具ではなかなか満足出来ない。
(でももういいだろ。既に死んでいるやつのことを考えるより、この服をどう使うか考えよう。そっちの方がまだ実用的だ。)
(................................................................................................................................................................分かった。)
とは言え流石に血の付いた服を着るのはユキも嫌だ。既にこの道はハズレだ。このまま進む必要は無いだろう。
(マリィ提案なんだけど1回エリスダールに行こうと思うんだ。着替えたいし、この27番の道は魔獣は出るし、歩きずらいし、使うことは無いだろう。)
ユキはポケットから手帳を取り出して、最初のページを開いた。そこにはエルランド王国からギース帝国に向かうための道が、書かれていた。
「27番はダメ。やっぱり3番か6番か15番が良いかな。っと。」
27番と書かれた場所にバツ印を付け手帳を閉じる。
(エリスダールに行くのは構わないが、少し遠回りになるぞ。良いのかユキ?)
エリスダールは迷いの森とゆう場所に置いてある。その名の通り霧が深く迷いやすい森だ。だが実際は魔法の類ではなく、ただ単に迷いやすいだけの森だ。1度道を覚えてしまえば問題ない。変な噂に尾びれが付いているだけだ。
(まぁ大丈夫だと思うよ。ギリギリ間に合うと思う。........多分。)
(何とも情けないね。)
(別にいいだろ。とにかくエリスダールに出発だ。)




