42 死神 4
「それでいったいどのようなご依頼でしょ。」
ナナトス伯爵は何もしていないのに、吹雪のことを睨んでいる。
ただ聞いただけで睨まれるとか。いったい僕がなにをしたんだか。
「いや実はだな詳しいことは言えないのだが私の娘のカナとその夫のキラ君の離婚を考えているんだ。」
ココヅキ侯爵は少し言いにくそうに喋った。その様子は困ったようにも、笑顔のようによ吹雪には見えていた。
一方ナナトス伯爵は顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。
ココヅキ侯爵の娘カナはとくに反応無し。
ナナトス伯爵の息子キラはよく分からない。店の中に入ってから1度も喋ってないし、なにかに興味を示す様子もない。
なんで当事者の2人は反応が薄くて、親が暑くなっているんだよ。
なんて吹雪が考えているとナナトス伯爵は急に立ち上がった。
「やはり私は反対です離婚など。なぜ離婚をしなければならないのですか。そちらのカナちゃんが、他の男が好きになったのなら、その男とも結婚すればいいでしょ。」
「別にそうゆうわけじゃない。詳しい話はここでは言えないが、2人が決めた事なんだ。」
ココヅキ侯爵とナナトス伯爵が騒いでいるうちに、吹雪はカナとキラの2人を観察する。実は吹雪はカナとキラにあった事があるのだ。だがそれはもう8年前であり、その時のことを2人は覚えていないだろう。吹雪の記憶が正しければ今年で12歳になるはずだ。ちなみに2人はお互いに1歳の頃に結婚させられている。
「だがら他の男とも結婚して大丈夫ですから、どうか離婚だけは、別にキラがなにかをした訳ではないですし。」
「だからそうゆう事じゃなくてだな。」
エルランド王国は結構結婚について甘い国だ。
まず年齢は関係ない。生きているなら0歳でも、100でも結婚出来る。
次に重婚可だ。これは複数人の家族を養うことが出来るなら、とゆう話なのでほとんどの庶民には関係ない事だ。なので大商人や貴族が対象が多い。そのため何十人と妻または夫がいるのも珍しくない。実際ココヅキ侯爵は32人の妻を娶っている。
「なぜキラが離婚などしなければならないのかさっぱりだ。幸せに生活していたのだから、2人の日常を壊すのは親としてどうなんですか。」
「ナナトス伯爵少し落ち着け。別に公の場ではないからいいが、本来なら上の者にそのような態度は問題だぞ。」
ナナトス伯爵が少し怯む。確かに少し暑くなりすぎたかもしれない。だが家の為にも離婚させることは出来ない。
「失礼しました。しかしやはり説明もなしに、いきなり離婚と言われても私達も困るんです。」
「だがここで説明する訳には」
「なら説明したらいいんですか。」
ずっと空気になっていたカナが喋り始めた。カナが喋りだすと、空気が変わり始めた。更にカナから黒いオーラが出ている気がする。あれは怒りのオーラだ。
「え!ああうんそうだね。理由を話したら私達も努力するし、出来ることならなんでもするからさ。」
ナナトス伯爵も少し引いてる。とゆうかココヅキ侯爵も引いてる。あんたは引いちゃダメだろ。
「あのねカナその話はまた今度ゆっくり話す事だから。」
「いえ。お父様この反応を見て今すぐに計画を早めるべきだと私は判断しました。」
どうやら大切な話が始まるようだ。そして吹雪はこう思っていた。早く終わらないかな。
キツネは悩んでいる。そろそろ時間なのに吹雪の仕事が終わらない。このままじゃ時間に間に合わない。
「早くしてくれよ吹雪。」
「けい....かく?」
「はいそうです。ナナトス伯爵もう既に全てわかっています。あなたがキラなにをさせようとしているのかも。」
心当たりかあるのかナナトス伯爵は顔を青くした。
「まさかキラお前父を売ったのか。なんとか言ったらどうだ。」
「今度は逆ギレですか。あなたは親ではありません。ただのクズです。」
「こっちが黙っておけばいい気になって、この小娘が。ふふふはははははははそうだ元からこうすれば良かったんだ。お前たち入ってこい。」
ナナトス伯爵の呼び掛けと共に騎士が5人入ってきた。
「なんのつもりだナナトス伯爵。これはいったい。」
「なんのつもりじゃないですよ。知られてしまってはしょうがない。王家暗殺は誰にも邪魔はさせない。やれお前たち。」
騎士の剣がカナに襲いかかる。が剣はカナに届かず宙に浮いた。やったのはキラだ。護身用のナイフでどうやら弾いたようだ。
「あんたそんなこともやろうとしていたんだな。呆れたよ。」
「な!キラお前も父さんに歯向かうのか。」
「違うよ。」
「ならなぜ。協力してくれない。お前は父に恩を返さないのか。」
「そうじゃない。俺とあんたはもう家族じゃないんだよ。」
「は?なにを言っているんだ。」
「俺の家族はこの人たちだけだ。子供に暗殺を命じる父親も、それを見て見ぬふりをする母親も俺には要らない。」
ナナトス伯爵はもう爆発しそうな程顔を赤くしている。ここまで赤いと梅干しみたいだ。ちょうど顔しわくちゃだし。
「ならお前は要らない。父に貰った恩を返さない子供など私には必要な」
ナナトス伯爵は吹き飛んだ。向かいの店まで吹き飛んだ。きっと第三者から見れば綺麗な吹き飛び方だろう。それはともかく、吹雪はキレていた。吹雪は吹き飛んだナナトス伯爵の方まで移動して睨んだ。
「おいお前今なんって言った。恩を返さない子供ってなんだよ。お前を子供愛してないのか。」
「お、おいまて。お前ら早く私を助けろ。」
しかし騎士たちは動けない。いや動こうと思えば動けるが、動いた瞬間やられることが理解出来た。彼らは一応は訓練をしている。一般人なら片手で倒すことが出来るぐらいは強いのだ。しかしその彼らが動けない。ついでに言うなら騎士だけではなく、ココヅキ侯爵もカナもキラも近隣住民も動けない。
「お前ら早く助けろ。金ならやるから。こいつをこの死神をどうにかしてくれ。」
「僕には3つ許せないことがある。1つ目はは神だ。2つ目は僕の大切な人を傷つけること。3つ目は自分の家族を大切にしないやつだ。」
吹雪はナナトス伯爵の腹に1発蹴りを入れた。
「おおおおおお」
その結果ナナトス伯爵は泡を吹いてきせつしてしまった。そして吹雪が落ち着きを取り戻すと、やっと周りに気づいた。
あっやっべ。
その後ナナトス伯爵とその騎士たちは連行されて行った。吹雪も連行されそうだったがココヅキ侯爵が事情を説明してくれたおかげで無事だった。
「いや助かったよ店主。まさかあそこまで強いとは。」
ココヅキ侯爵が壊れた壁を見て笑う。笑う。それは笑う。別にそこまで笑わなくても。
「いえむしろお恥ずかしい限りです。もう一度やり直せるなら、やり直したいです。それより良かったですね。」
「どうゆう意味かな。」
自分の親が連行され喜ぶ者はいない。
「だってキラ君虐待を受けていたでしょ。そしてそのせいで両親の言いなりになっていた。違いますか。」
「驚いたな。そうだ。キラ君は虐待を受けていた。そして私たちを暗殺して家を奪うつもりだったらしい。だがキラ君はそれを教えてくれた。今回店主は関係ないのに巻き込んでしまったな。」
「いえいえ仕事柄仕方ないことです。それとキラ君養子にでもしたんですか。」
「そんなことも分かるのか!」
「一応副業で探偵もやっているので、観察力は自信があるんです。」
「そうなのか。......できればもう少し話していたいがこれから王城にこの事件を話してこなければならない。店主これで失礼する。」
「やっと終わったか。」
キツネは体を伸ばしながら外に出てくる。
「ああ。随分とながったよ。そしてギリギリだったな。」
カラスが吹雪とキツネの周りに集まってくる。そのカラスには足に2本の剣と男の首が縛られていた。
「それじゃあ今度はこのキツネの出番だな。」




