41 死神 3
吹雪はエルランド王国で相談屋兼探偵の仕事をしていた。こんな仕事で儲けていけるのかと聞かれると答えはノーだ。だがやらなければ行けない理由がある。だがいくら理由があると言っても
「暇だなー。退屈だなー。誰か来ないかなー。」
暇すぎるのだ。ここ一月は客が来てない。お金はどうでもいいとしても、暇すぎる。することが無い。だがここから移動する訳にもいかない。
「暇だなー。」
もう何度目なのか吹雪自身も分からない暇だなーコール。吹雪は相談屋とゆう仕事は結構人気が出ると思っていた。こんなご時世だ、誰もが悩みや不安の1つぐらい持っている。実際に解決しなくても、話すだけでも人の心は変わってくるのだ。故に常に忙しくなると思っていた。しかし実際は相談屋なんて不気味な者に、自分の問題を話してくれるはずもなく、ここに来るのはほとんどが探偵としてだ。
「とは言え探偵の仕事も猫探しとかだもんな。もっと僕の知識を使う舞台が欲しいよ。」
これではせっかくの吹雪の知識が無駄になってしまう。仕方ない寝て過ごすかと吹雪が思いかけた時相談屋のドアが開いた。
「すまないがここか。相談屋とゆうものは。」
「···············」
(今なんと言った。相談屋と言ったよな。探偵ではなく相談屋と言ったよな。まさか本当に相談屋としての仕事なのか。それならいったいいつ以来だろう。ここに来るのは落し物やペットの捜索ばかりで)
「君が店主なのか。.....おい大丈夫か。」
「はっ!」
「ねぇお父様やはりこんな変な人に話すのは、止めましょう。」
「しかしカナこのままじゃあどうしようもないだろう。他の誰かに話すわけにもいかないし。」
「とりあえずは中に入ってからでも宜しいのでは。」
「·····」
豪華な格好をした2人の男性と豪華な格好をした2人の男女の子供。そして恐らくはその護衛の騎士たちが店の中に入ってくる。吹雪は護衛以外の者は知っている。2人の男性と子供達は椅子に座る。
「ふん座り心地が悪い。」
「まあまあナナトス伯爵ここは庶民の店なのです。それは我慢しましょう。子供達も何も言わないでしょ。」
「お茶を」
「いらん。それよりも早く解決策を教えてもらおう。」
「そうですか。では早速始めさせていただきます。」
吹雪も椅子に座り話に入る。
「なぜお前も座っているのだ。普通は貴族である我々に許可を貰ってから座るものだろう。それになんだその仮面は、普通商売なら顔ぐらい見せてみろ。」
ナナトス伯爵は物凄く機嫌が悪い。吹雪はそう思った。
いや普段のナナトス伯爵は上の者に愛想を振りまいて、下の者はいびるただの小物だったな。ならばこれが本当のナナトス伯爵か。
「はぁ。とは言いましても、ここは私の店ですし。それに失礼ながら、私は今貴族と知ったのです。今後は気をつけますので、どうか今回は見逃してくれないでしょうか。それと仮面ですが過去に起きた事件の怪我が酷いので、見てもあまりいいものでは無いと思いますよ。それでも良ければ仮面をとります。」
我ながらよくもまあここまで嘘が言えるものだと吹雪は思った。
「なんだと私に口答えするのか。お前らこいつを斬り伏せろ。」
ナナトス伯爵の命により3人の騎士が吹雪に斬り掛かる。
(さてどうしたものか。喰らうのは止めた方がいいよな。だけど反撃するのも後が面倒だし。仕方ないか。)
吹雪は3人の騎士の攻撃を避けた。避け続けた。店の中が酷いことになったが、とにかく避けた。
「やめないか。」
もう1人の男性の止めると3人の騎士達は攻撃を止めた。
「ナナトス伯爵いったいなにを考えているんだ。」
「しかしココヅキ侯爵この者は貴族である我々に口答えしたのですよ。殺されても何も文句は言えないはずだ。」
「そんなことをしに来た訳ではないだろう。」
ココヅキ侯爵は吹雪の方を向いた。
「どうか許してやってくれ店主。悪気は無いんだ。ただか彼は元がこうなだけで。あと仮面はそのままでいい。」
「いえいえこちらが元はと言えば悪いのです。許してもらうのはこちらの方です。」
「そうかならこの話は、これで終わりにしよう。ナナトス伯爵も良いな。」
「.......はい。分かりました。」
(全く猿芝居とはこの事だな。)




