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世界も人も狂ってる  作者: 拓斗
2 エルランドでの生活 (1)
30/67

30 神力

「それじゃあ家の中に戻るぞ。」


もう言いたいことは終わったとマサトはさっさと戻ろうとした。しかしユキはさっきから、マリィがユキに話があると訴えていることが分かった。


「いや僕はもう少し休んでから行くから先にいっててくれ。すぐに行くから。」


どんな話なのかは分からないが、きっと大切な話だろう。ユキは話を聴くことにしたが、別に声が聞こえる訳でもないのに、マサトと別れることにした。」


その事をマサトはなにか感じたみたいだが、あえて追求しないで家の中に入っていった。









「それでマリィ一体なんのようなんだ。もう日が昇ってきたし、出来れば手短に話してもらいたいんだけど。」


(話?そんなんもちろん訓練のことに決まってる。)


「·····?」


傷もまだ完治していない、なのでさすがに訓練をするのは無理だ。それどころか悪影響になる。だとゆうのにこの魔神は一体何を言っているのか。本当の目的は神ではなく僕を殺すことではないのか。


(別に体動かせなんて言わないが神と戦うためには、ユキお前も神にならなきゃ戦えない。)


「???」


何を言っているんだコイツ。神になれとか言い出したぞ。頭狂っているのか。いや狂っているのは明確だな。そんな事を考え始め現実逃避をし始めたユキを無視してマリィは話し続ける。


(目には目をって言うんだったか。まあとにかくユキお前も神にならなきゃ神となんて戦えないし、セシルも助けられないぞ。それに狂ってはいないまだな。)


最後の方は聞き取れなかったが、セシルを助けるためには神になって神と戦わないといけない。なるほどまあそれは理解出来る。が神になるってなに?神化なんて出来るのか。いやこの話をしているんだから出来るって事だよな。でもたかが人間が神になんてなれるのか。そもそも神なんて倒せるのか。


(おーい大丈夫か。んな事考えてないで話を聞け。)


マリィの呼び掛けでユキは気がついた。自分は一体何を考えいたのか。セシルを助けるためならなんでもすると決めたはずなのに。


(話を続けるぞ。神化についてだがこれはまあ死ぬ気で頑張れ。)


「いやいやちょっと、え?なに死ぬ気で頑張れなにか特別な魔法とか道具とかは?」


(ない。)


ユキの人生10年でここまで絶望したことは無かっただろう。変な黒い奴に殺されかけた時でさえまだ希望があったのに。


「·····そうなんだね。ちなみにどんな風になれば神なの。不思議な光が身体中から出るとか。そらを飛べればとかそんな感じかな。」


(本の読みすぎだ。何が神で何が神じゃないなんてのは1つだけだ。それは神力が使えるか使えないかだ。)


「神力?」


また新しい言葉が出てきた。聞いたことない言葉だ。ユキは元貴族として大量の本を読んで自慢ではないが知識には少し自信があったのだが、所詮人間のオマケに10歳の子供の知識なんて通用しないらしい。


(ああ神力ってのは、神それぞれに別々の力を持っているだが、それの事だ。ちなみに私の神力は覚醒って言って対象の真の力を使えるようにするんだ。お前も見ただろ。)


確かにマツブキ商会でマリィは確かに名もなき剣を魔剣ゼロにしていた。あれはそんな仕掛けがあったのか。


(私達はユキなんだからきっとお前も練習すれば覚醒を使えるようなる。がそれはあくまでも私の神力、借り物の力に過ぎない。だからユキお前にはちゃん自分の神力を使えるようなってもらう。分かったな。)


何も言わせてもらえそうにないのでユキは黙って頷く。本当はもっと詳しく聞きたいがどうやらマリィもあまり詳しくは知らないみたいだしいい加減家に戻らないといけない。


「どのみちセシルを助けるならない僕は神でも悪魔でもなんにでもなるつもりだし、どうやって神力を使えるようになるのかは分からないけどとりあえず頑張ってみるよ。」


(ああ頑張ってくれ。私は少し休む。)


マリィが寝始めたのが分かるとユキは家の中に入っていった。·····なにかおかしい。いつもと何かが違う。


「あユキさん怪我は大丈夫なんですか。あんまり動かない方が。」


どうやらセシルにはなにも起きて居ないようだ。だがいま家はやばい。なにかやばいのが家の中にいる。


「っ」


やばい気配がこっちに来る。今武器はないしこの怪我では逃げることも出来ない。そもそもセシルがいる中で逃げるなんてこと出来るはずがない。どうするマリィを起こすか?仮にも魔神なんだしマリィのあの強さなら勝てるかもしれない。いや待てこんなところで戦ったら、セシルが危ない。それにきっと神の刺客だろう。強盗程度ならマサトなら簡単に撃退するだろうが、さすがにコイツは、とゆうかマサトは何をしているのか、この気配に気づいてないのか、セシルなら兎も角歴戦の戦士であろうマサトがこの気配を気づかないのはおかしい。まさか今朝の会話。


「マサト。」


ユキは身体中に激痛が走りながらも廊下を走った。


「マサト無事でいてくれ。」

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